165.冬彩氷祭~いよいよ開幕~
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聖なる水が湧き出る国、それが冬羽国。
最先端の科学や医療が発展している医療大国である。
その冬羽国で開催される冬彩氷祭。
冬羽国中にあるありとあらゆる技術が一箇所に集結する一大イベントだ。
夏陽国を出て3日。
皆で馬車で移動して冬羽国にたどり着いた。
「怜琳様!みなさんようこそお越しくださいました!」
「お久しぶりです!冬條殿」
明るくハツラツとした様子で出迎えてくれた冬條殿。
会うのは本当に久しぶりだった。
たしかわたしが怪我してお見舞いに来てくれたときぶり?
うーん…時間が経つのって本当に早いわ!
「今回はご招待頂いてありがとう」
「こちらこそお忙しいのに来て頂いて嬉しいです!さぁお疲れでしょう。お部屋までご案内します」
そう言われて冬條殿に部屋まで案内してもらった。
彼がいるお城に来るのも本当に久しぶりだった。
わたしが誘拐されてその後オークションに出されているところを
冬條殿に助けてもらって以来だった。
あの時はどうなることやらと思っていたけど今となっては懐かしい思い出だった。
「冬彩氷祭は明日からですから、今日はゆっくり休んでください」
「ありがとう。冬條殿」
「あと怜琳殿から以前頼まれていた、枯れない花です」
「まぁ!用意してくれたのね!!ありがとう」
「それから、誘拐された時の護身用道具と助けを呼ぶ時の物と鍵を外すときに使えるものと…」
「あ…ありがとう冬條殿。こんなにたくさん…」
両手に抱えきれないほどのお花と護身用道具を手渡された。
よっぽど心配してくれていたんだな…。うれしいな!
それに本当に冬條殿はいい人だわ!
「あ!あとこれはキーサ帝国のシャチー王女に」
「冬條殿、本当にたくさんありがとう」
「いえ!怜琳様のご友人なら僕にとっては大切な人ですから」
「これは…一体何なの?」
「小さい子供でも楽しめるよう改良したぬいぐるみで、話しかけると声真似をしてくれるんです」
「すごい!冬條殿って本当に頭がいいのね~」
「いえ…僕はそれほどでも…でもありがとうございます」
冬條殿がとてもうれしそうに微笑む。
人のためになにかをすることが楽しいようだった。
「明日は朝から移動よね?」
「そんなに急がなくても大丈夫ですよ。お昼頃にお祭りの会場に来てくれたら大丈夫です」
「わかったわ!じゃあまた明日ね」
「はい!また会場でお待ちしております」
世間話もそこそこに冬條殿は部屋を出ていった。
わたしは彼からもらった数々の品を整理しながら寛ぐ準備に取り掛かった。
今回はかなりハードなスケジュールだった。
秋唐国から夏陽国へ移動して
その後すぐに冬羽国へ移動。
合計18日間の大移動だった。
シャチーは疲れてるのか冬條殿にあっている最中に寝てしまっていた。
今は雷覇に連れらて部屋でぐっすり眠っている。
大人のわたしでも大変だったんだもの小さな子どもにとっては大変だっただろうな~。
明日起きたら冬條殿のプレゼントを渡そう。
きっとぬいぐるみを見たらシャチーは大喜びしそう。
想像するだけでほっこりした。
「すごい数の貰い物だな…。全部、冬條殿からか?」
「そうなの!護身用って言ってたくさんくれたわ」
「なるほど…。どれも使えそうなものばかりだな」
「ええ。冬條殿が全部作ったって言ってたから、本当にすごいわ」
「これを見る限り本当に彼が善良な人で良かったと感じるな」
「確かにそうね…。冬條殿が悪い人なら悪用もできちゃうもんね」
これだけの技術を人のために使える冬條殿は本当に素晴らしい人格者だ。
彼がアシュラ王子のような危険な考えをもつ人だったなら大変な事になっていただろう。
冬條殿がピュアな人で本当に良かった!!
冬羽国に来た次の日。わたし達は遅めの朝食をとって会場へ向かった。
朝ゆっくり眠れたおかげで疲れていた体も回復した。
会場までは珀樹殿が案内してくれることになっている。
「それにしても…冬羽国は寒いわね~」
吐く息が白くなるほど冬羽国の空気は冷たい。
秋唐国よりもはるかに気温が低かった。
それもそのはず、氷の塊をそのまま外に置いていても溶けないのだ。
顔や手足がしびれるほど風が冷たい。
マダムベリーからもらったコートを持ってきて良かった~。
とっても軽くて温かい毛皮のコートで以前、お詫びの品でもらったものだ。
雷覇やシャチー達も厚着の格好をしている。
どれも冬條殿が用意してくれていた衣装だった。
「怜琳お姉様!私こんなに冷たいの初めてです」
「わたしもよ。シャチーは寒くない?大丈夫?」
「はい!このお洋服とってもあったかいです」
「良かったわね。後で冬條殿にお礼を言わないとね」
「はい!」
「よし!じゃあ、会場までは俺が抱っこしてやろう」
そう言って雷覇が軽々とシャチーを抱っこした。
どうも彼はシャチーを抱っこすることにハマっているらしい…。
はじめは違和感があったけど、段々なれてきたせいか二人が一緒にいても自然になっている。
シャチーもとてもうれしそうに素直に抱かれている。
最初は恥ずかしがって甘えるのを躊躇していたけど、今となっては素直に要望を言えるようになっていた。
「雷覇殿はシャチー王女がよっぽどかわいいんだね」
「怜秋!おはよう」
「おはよう!姉さん」
雷覇達と会場に向かおうとしていたら、後ろから怜秋に話しかけられた。
怜秋の横には珀樹殿も一緒だ。
「今日はよろしくね!珀樹殿」
「はい!お任せくださいませ。怜琳様」
「どんなお祭りなのか楽しみだね」
「ええ。冬羽国のお祭りは初めてですものね」
「楽しみにしていて下さいませ。きっとご満足いただけると思います」
怜秋と合流したわたし達は珀樹殿の案内で会場に向かった。
会場はお城から歩いてすぐのところで開催される。
メインの通りを抜けて大きな噴水があり、その先に大きな庭園がある。
噴水の水をそのまま引いてきており、綺麗な水が所狭しと流れていた。
さすが聖なる水が湧き出る国!庭園のいたるところに大小様々な噴水が置いてあった。
これを見るだけでも楽しかった。
なんと噴水の水は凍らないよう温かいお湯になってながれているそうだ!
すごい!どんな技術を使っているのかしら…。あとで冬條殿に聞いてみよう。
そして庭園の中央には、数々の氷の彫刻が並んでいて綺麗に飾られていた。
「わぁ…!すごくきれいですね!」
「そうだな。これはどれも見事な彫刻だ」
「本当にとても細かいところまで再現されていて綺麗だわ…」
花を型どったもの、動物の形をしたものや、人物の彫刻まで様々な氷の彫刻があった。
それの全部が細部まで再現されていて美しかった。
中には今でも動きそうなくらい精密に再現されているものまであった。
シャチーは嬉しそうにはしゃぎながら雷覇と眺めている。
わたしは少し離れたところで怜秋達と一緒に見ていた。
珀樹殿が丁寧に解説してくれているおかげで見ていて面白かった。
「これは、五神国の神々を模したものになります」
「うわー…大きいな」
「ほんとね~。本当に昔こんな人達がいたのかしら?」
「史実ではいるとされていていますね。昔はもっと身近に神々がいたとか…」
「そうなんだ~。この像なんて龍みたいじゃない?」
「そうだね。綺麗に鱗の細かいところまで彫刻がされてるね」
ゆっくりと練り歩きながら氷の彫刻を見て回った後は
研究の発表や技術開発の説明などが行われている会場へ行った。
展示されていた氷の彫刻をどのようにして作成したのかが細かく説明されている。
わたしには難しすぎてさっぱりだけど…。
氷の彫刻と技術開発の両方から採点が行われて上位3名に金一封が国王から授与される。
会場の熱気は凄まじいものだった。
皆自分たちがどんなことをどれだけの時間をかけて研究してきたのか熱弁している。
審査委員席には冬羽国の国王と、冬條殿も座っていた。
冬條殿はこちらに気がついてこっそり手を降ってくれた。
一通り説明を聞いたところで皆で昼食を取ることにした。
午後から採点が始まり夕方には発表される流れだった。
珀樹殿の案内でおすすめのお店に連れて行ってもらうことになっている。
やっぱり案内人がいると迷わないからいい。
とてもスムーズに観光することが出来ている。
珀樹殿はとても詳しくて、何を聞いても丁寧に答えてくれた。
自分の母国という事もあり見ていてとても楽しそうだった。
お店に到着したわたし達は個室に案内された。
しばらくしてから冬條殿が部屋に入ってきた。
「皆さん。お祭りは楽しんで頂けましたか?」
「ええ!とっても素晴らしかったわ」
「私も綺麗だなって思いました」
ニコニコしながらわたし達の感想を聞いている冬條殿。
怜秋や珀樹殿達とも普通に会話できている。
初めて会った頃の事を思うと彼の成長ぶりは目を見張るものがあった。
そしてシャチーもぬいぐるみのお礼を述べていた。
とても気に入っていて、名前を今考えている所だと言っている。
因みに冬條殿がくれたぬいぐるみはうさぎのかわいいものだ。
雷覇の時とは大違い。
冬條殿の方が乙女心が分かっていそうな気がする…。
マーリンと一緒にいるからかしら?
まぁ…シャチーが喜んでいれば何でもいいんだけどね!
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