【番外】雷覇《らいは》の禁断症状
アホ話です。(*´∀`)
読まなくても本編にはあまり関係ありません。
ほとんどギャグです笑
こんな事あったらおもしろそうだな~と思いながら書きました!!
楽しんでもらえたら嬉しいです\(^o^)/
秋唐国から戻ってきてしばらくしてから雷覇がある日突然倒れた。
周りいた人々はみんな騒然となった。
呼吸が乱れるほどの高熱。
頬も真っ赤になり額には大量の汗がにじんでいる。
雷覇が病気で倒れることは非常に珍しい。
幼い頃から雷覇を知る水覇やサイガ、ムツリも
彼が倒れている所は見たことがないほどだった。
「怜琳・・・・」
うわ言のように、名前を呼ぶ。
主治医の見立てでは、体はどこも悪いところはなくむしろ健康そのもの。
にも拘らずこれだけの高熱がでるということは精神的な面が大きいらしい。
いわゆるストレスと呼ばれるものだった。
怜琳に会えることが出来ず触れる回数が減ったことによる禁断症状。
彼女に会えない事への過度なストレスが体の症状となって表れたらしい。
「ばかばかしい…本当にそんなことあるのか?」
呆れた様子でサイガが言う。
「にわかに私も信じられません…」
同じように呆れた様子で話すムツリ。
「小さい子供が過剰に感情を揺さぶられてなる知恵熱みたいなものかな…」
割と冷静に状況を理解する水覇。
それぞれが思う所はあるものの、雷覇が倒れたとなっては仕事に支障が出てくる。
ひとまずは、水覇が代わりに負担をするとして
どのように回復させるかが問題だった。
先ほどから雷覇はずっと、怜彬と呟きうなされている。
よほど彼女に会えない事が精神的に堪えたらしい。
「でも会えない状況なんて今までにも沢山あっただろ?」
「今回は状況が違います。怜彬様と両想いになってから会えない時間ができたのですから」
「うわー…それでストレス貯めて熱を出したって事?」
「で?結局…これは治るの?」
「風邪ではない以上、薬を処方するわけにも参りません‥‥ストレスの元となる原因を改善しないといいけません」
主治医もこんな症状は見たことがないと言って匙を投げている。
申し訳なさそうに頭を下げるばかりだった。
「はぁ…。ひとまず様子を見よう。長引くようなら風邪薬でも何でも飲ませるしかない」
苦々しい表情で話を進める水覇。
まさか自分の兄がこんなにメンタルが弱いなどとは夢にも思っていない様子だった。
「なんかちょっとさ…お姫様を思い出せる品を渡したら治らないか?」
「怜彬様が着ていた服とかいう意味か?」
「そうそう!ちょっとでも身近に感じたら症状がよくならないかなーって」
「うーん…何もしないよりかはましでしょうが…」
「じゃあ悪いけど後は頼むよふたりとも。僕は仕事に戻るよ…」
やれやれといった表情で部屋を出て行く水覇。
これから雷覇の分の仕事もこなさないといけないせいかその足取りは重かった。
「うわー…水覇様、相当イライラしてるな…」
「そうでしょうね。雷覇様が五神国会議に参加する事に加えて、その前に冬羽国へ行ってお祭りに参加されるのですから…」
「まっ仕事は倍増だわな~」
「ただでさえ忙しいこのタイミングで、雷覇様に倒れられるのは痛いですね」
「さっさと元気になってもらいますか!」
「ですね!でないと私達まで被害が及びます」
サイガとムツリはかつてないほど結束した。
二人共これ以上の過重労働はしたくないからである。
「ではまず怜琳様がよくお召になっていた服をもってきました」
「ほら!雷覇~。お姫様の服だぞ~」
「う…れ…いりん?」
意識が朦朧とするなか雷覇はゆっくりと手を伸ばし服を手にとった。
そしてぎゅっと抱きしめると荒かった呼吸が少し収まり落ち着きを取り戻した。
「おー!!ちょっと効果あったんじゃね?」
「ですね。では次に写真を見せてみましょう!」
ムツリが怜琳と雷覇の写った写真を手に取り雷覇に見せた。
雷覇はそれもゆっくりと手に取り見つめた。
「怜琳…会いたい…」
「もうすぐ来るって~。この前手紙届いていただろう?」
「そう…だったな…はぁー…」
「雷覇様、水でも飲まれますか?」
「ああ…もらう」
よろよろと起き上がりぐったりとしながらも水を飲む雷覇。
先程の症状と比べるとかなり改善されているように思う。
後もう一息で治るのではというところで、部屋の扉が勢いよく開いた。
リヨウとスバルがお見舞いに来たのである。
「雷覇様!!大丈夫?」
「熱が出たんですって?本当なの!」
二人共とても心配そうにしながら雷覇のもとへ駆け寄る。
手には大量の香水を持っていた。
「二人共その手にしてるのは何だ?」
「フッフッフッ…これはね…」
「雷覇様を元気にする魔法の香水よ!!」
「なに!?魔法の香水だと!」
「いつの間にそんな物を作れるようになったのですか?」
二人が手にしていた香水。それは怜琳の体臭を忠実に再現した香水だった。
雷覇が怜琳に触れられないことへの禁断症状が出たと聞き急いで作ったのだ。
ここまでくるともはや、変態の域としか言いようがない!!
「さぁ!とくと味わいなさい!!」
「怜琳様の芳しい体臭を!!」
そう言うと二人は部屋中に持ってきた香水をばらまいた。
すると…雷覇はみるみるうちに熱が下がり表情が改善していったのだ!!
オーマイガ!!
「これは…懐かしい怜琳の香り!!」
「どう?雷覇様。私達の技術を駆使して作り上げた香水は」
「普段から、怜琳様が使っているヘアオイルや石鹸、それから私達が作った香水それらを融合させた傑作よ」
「ああ!まるで怜琳に包まれているような心地だ…これでようやくゆっくり眠れる…」
そう言うと雷覇はバタリとベットの上に倒れてしまった。
そして規則的な寝息をたててぐっすりと眠り込んでしまった。
「信じられていない!さっきまであんなに高かった熱がもう下がっております!!」
「げっ!!まじかよ…」
「雷覇様の怜琳様に対する執着は凄まじいですね…」
「一生懸命この香水を作ったかいがあったわ!!ね。リヨウ!」
「そうね。スバル!調香師としてはこれ以上ない出来栄えだったわ」
どうやら、怜琳と離からというもの雷覇は
まともな睡眠をとっておらず、それどころか食事の量も減っていたらしい。
一時的に免疫力が低下し普段かからないような風邪に侵されてしまったようだった。
主治医は、再度検査したところやはり体のどこにも異常がないことを確認した。
病は気から。
まさにそれを体現した雷覇であった。
それから怜琳が夏陽国に訪れる日まで
リヨウとスバルが作った香水を毎晩使用する雷覇なのだった。
しかしこれは一部の人しか知られていない。
もし万が一怜琳に知られるようなことがあったらきっと嫌われているだろう。
そして怜秋に知られてでもしたら一生結婚を許してもらえないだろうからだ。
そうなってしまっては、水覇を初めてとする雷覇の周りの人々が
過重労働を強いられることになる。そんな事には絶対になりたくない人たち。
みんなそれぞれ切に願った。
どうか早く怜琳様…雷覇様と結婚してください!!!
と…。
…。
「うわー…ひでー夢見た~」
頭を抱えながらのそりと起き上がったサイガ。
今まで見ていたのは全部サイガの夢だったのだ。
「でも…夢にしてはリアルだったな…実際に有り得そうな感じだったし…」
雷覇がお姫様に会えないだけで、突発的に熱が出る。
なんとも笑えない話だった。
「本当に…香水を作っておいてもらおうかな…」
ベットから起き上がり、身支度を整えながら本気でそう考えていたサイガだった。
最後までお読み頂きありがとうございます!
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