159.我慢
我慢って難しいですよね~(´;ω;`)
わたしは感情の赴くままに行動してしまうタイプなので
コントロールできるようになりたいです!!(*´Д`)
「シャチーそんなに走ったら危ないわよ」
「大丈夫です!怜彬お姉様」
「ふふふ。焦らなくてもお庭は逃げないわ」
わたしが誘拐されて一週間。今日はシャチーと二人でお庭の手入れをすることになっている。
五神国会議については今調整中のため、まだアシュラ王子の今後については決まっていない。
それでも、毎日穏やかに過ごすことが出来ている。
シャチーは本当に素直でいい子だった。
わがままを言わず、再開してい以来は泣いていない。
わたしはできるだけ彼女の傍にいるように努めている。
雷覇は一足先に夏陽国に帰って行った。
これも‥‥かなりごねてたんだけど。
流石にこれ以上、秋唐国にとどまることは難しかった。
雷覇も、五神国会議に出席する必要があるし
夏陽国での仕事もある。
必然的に帰る方向になってしまったのだ。
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~三日前~
「怜彬…。もう会えないと思うと…俺の心は砕けそうだ」
「雷覇大袈裟よ…。五神国会議で決定が出たらすぐにでも会えるわ」
「そんなの…いつか分からないじゃないか…」
「でも…シャチーはここにいたいだろうし…わたしも傍にいてあげたいの」
「それは…分かってる」
明らかに落ち込んでしょんぼりしている雷覇。
久しぶり見たな…。わんこ雷覇…。
今もわたしの手を握りながら、耳を垂らしているように見えてしまう。
「結局…怜秋殿にも許してもらえなかったし…」
「お手紙の返事がきたの?」
「ああ。俺の気持ちは理解したが、まだまだ認められないそうだ…」
「あら~」
「はぁ…。俺は一刻でも早く君と結婚して夫婦になりたいのに…」
「でも…ほらっ。楽しみは最後に取っておいた方がいいって言うし…」
「1年もお預けを食らっているのにか?」
じとっと恨みがましい目で雷覇に見られてしまった。
雷覇の言っている事も分かるけど…。自業自得だしね…。
まぁ、わたしは慌ててないから別にいいんだけれど。
「お互いに気持ちは通じているんだし、そんなに慌てなくてもいいんじゃない?」
「…怜彬は俺と結婚したくないのか?」
「えっ?」
「もう…俺と一緒にいるのは嫌になってしまったのか?」
「そんな事ないわ!どうしてそうなるのよ」
「俺ばかりが結婚したいと思っているように見える…」
「勿論、わたしも雷覇と結婚したいって思ってるわ」
「本当に?」
「ほんとうよ!」
うーん…。なんか違う方向に話が変わってきたな~。
このままだと雷覇拗ねちゃいそうだな…。
なんとか機嫌を直してもらわないと。
「じゃあ…怜彬の方から口づけしてくれ」
「えっ!!」
「いつも俺からだろう?たまには怜彬からして欲しい…」
「そんな…こと…」
「嫌なのか?」
「いや…じゃないけど…でも‥‥」
うわーん!どうしてそうなるのよー!!!
わたしから‥‥するってそんな…そんなこと…
恥ずかしい!!!!
金色の瞳が艶めいている雷覇に、熱いまなざしで見つめられる。
じりじりとわたしの方に寄ってきて、ソファーの端に追い詰められる。
これは…逃げられない…。
ううう。ほんとうに恥ずかしいんだけどな~。
「じゃあ…目を閉じて…」
「わかった」
雷覇が目を閉じてわたしからの口づけを待っている。
ドクン ドクン
心臓が早馬の様に激しく鼓動している。
口から出てくるんじゃないかと思うほどだ。
わたしは勇気を振り絞って雷覇に顔を近づけて‥‥
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「怜彬お姉様!」
「はっ…!!!」
「大丈夫ですか?ぼんやりしてましたけど…」
「え…ええ。大丈夫よ。ごめんね」
「じゃあ、何からお手伝いすればいいですか?」
「えーと。お花にお水をあげてくれる」
「分かりました!」
シャチーとことこ歩いて行ってリンリンから如雨露を受け取った。
ふぃー…。危ない。
雷覇のやり取りを思い出してぼんやりしてしまったわ。
今さらになって恥ずかしさでどこかに入ってしまいたい気持ちになる。
わたしができたのはほっぺに軽く口づけするだけだった。
結局あの後、雷覇から口づけされてしまったんだけど…。
思いっきり。ものすごく長く‥‥。
って!!だめ!!また恥ずかしくなってきた!!!
ううう。顔が熱い…。
シャチーと一緒にいるのに、こんな邪な気持ちになってはいけないわ!
しっかりしなくっちゃ!!
わたしは自分のほっぺを両手で叩いて気合を入れた。
「大丈夫ですか?お嬢様」
「ええ。ちょっと自分を戒めていたの」
「どこか具合でも悪いんですか?」
「どこも悪くないわ。ありがとう」
「それなら…いいのですが、無理なさらないでくださいね」
心配そうにリンリンに顔を覗き込まれてしまった。
わたしは、心配かけないよう笑顔で大丈夫だと伝えた。
「ふぅ…。早く五神国会議が始まるといいんだけどな…」
でないと、雷覇の我慢の限界がきて反動が凄そうだ。
想像するだけでドキドキした…。
4年に一度しか行われない五神国会議。
理由は各国の首脳陣のスケジュール調整が整う時間がそれだけ必要なのだ。
みんなそれだけ多忙だということだ。
ついこの前開催したばかりだし、そんなにすぐには難しいだろうな…。
開催がこれ以上長くなるようなら…シャチーと一緒に夏陽国に行こうかな…。
わたしは楽しそうにお花に水をやっているシャチーを見ながらどうしようか考えていた。
あ…!あるじゃない!雷覇を大人しくさせる方法が!!
怜秋を説得すればいいんだわ!
結婚を認めてもらいさえすれば、少しくらい会わない時間があっても
大丈夫なんじゃないだろうか?
雷覇の気持ちも収まるし、わたしもシャチーの傍にいることが出来る。
我ながらいい案だと思った。
「でも…あんまり…強要はしたくなかったんだけどな…」
怜秋が認めてくれるまで結婚しないといった手前
すぐに認めて欲しいと言うのも気が引ける。
でも何もしないでいては雷覇が爆発するかもしれない…。
どうしたものかな~。
「お嬢様…何かお悩みですか?」
「リンリン…」
「先ほどからため息と独り言しか言っていないので…」
「ごめんね。心配かけて、雷覇がいつ我慢の限界がくるか分からないから…」
「結婚の件でございますね…」
「そうなのよ~。どうしようって思って」
「それなら、珀樹様にご相談されてはどうでしょうか?」
「珀樹殿に?」
「はい。怜秋様ととても親しいようですし、信頼されておられます」
「たしかに…そうね」
リンリンのいう通り、怜秋は珀樹殿にとても懐いている。
ほとんど毎日と言っていいほど、珀樹殿と一緒に行動してる。
前はわたしにあんなに会いたがっていたけど、今はそうでもないし‥‥。
「ありがとう!リンリン。珀樹殿に相談してみるわ」
「はい」
「よーし!このあと珀樹殿をお茶にお誘いしようっと」
「では、わたしが珀樹様に伝えてまいります」
「お願いね!リンリン」
にっこりと微笑んで、リンリンが珀樹殿の元に向かった。
さすがはできる侍女!!目の付け所が素晴らしいわ。
これで何とか怜秋に認めてもらえたらいいのだけど‥‥。
両方大切だから…難しいわね。
二人ともわたしにとってはかけがえのない人だ。
その二人の想いを汲み取ろうとすると、両方から手を引かれているような状態になる。
雷覇がもうちょっと我慢してくれたらなぁ…。
「まぁ、十分待ってくれているわよね…」
わたしはしゃがんで、土をいじりながら雷覇の事を考えた。
1年も前から変わらない気持ちでわたしに接してくれている。
怜秋との関係を大切にしてくれている。
それがとても嬉しかった。
雷覇と一緒にいることは変わらない。もう決めているから。
珀樹殿に相談することで何かいい流れになってくれればいい。
そう思いながらシャチーと一緒にお庭の手入れをするのだった。
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