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156.小説のまさかの活用方法

怜彬誘拐編いよいよ最終局面です!!!

お楽しみいただければ幸いです(*^▽^*)

アシュラ王子に攫われてから2日目。

あと1日もしたらキーサ帝国に連れていかれてしまう…。


わたしはあれからベットを動かすことをやってみたけど

なかなか窓際まではたどり着けないでいた。

頼みの綱だったシャチー王女も行方不明。絶体絶命の大ピンチだった。

アシュラ王子は忙しいのか頭突きをして以来こちらには来ていない。

はぁ…。どうしよう。

今度逃げれるとしたらキーサ帝国に向かう途中くらいか。

流石にベットに繋がれたままで移動はしないだろう。


「シャチー…無事だといいな…」


ベットのふちに座りながらシャチー王女の事を思い浮かべた。

誰かに連れ去れてしまったのだろうか?

それとも自分から外に出て行ったのだろうか?

情報が何も入ってこないから想像するしかない…。


「怪我とかしてないといいんだけれど…」


ふと床に視線を落としたらベットをこすったせいで

床板が外れかけていた。

釘が少し浮いていてちょっと引っ張り出せば取れそうになっている。

あの釘を使えば!!!

わたしは急いで床に転がって手を伸ばした。


「だめだ!!鎖が短くて…届かない」


あともう少し…。ほんの数センチだ。

もっとベットを動かして近づいていけば‥‥。

わたしはありったけの力を込めてベットに体当たりする。

すると勢いでずるりとベットが少しだけ動いた。


「やった!」


急いで屈んで釘を引っ張り上げる。

ちょっと固いけどこうして…。ぐりぐりしながらやれば…。

数十分釘と格闘した末に、釘が一本抜けた。


「後はこの手錠に入れて‥‥」


ガチャ ガチャ



開け方は分からないが、手錠の鍵穴に差し込んで動かしてみる。

しばらく上下にしていたらカチャと音を立てて手錠が外れた。


「よし!」


わたしはベットから飛び降りて扉まで向かった。

幸い扉に鍵は掛けられていない。

わたしが手錠でつながれているから油断したのだろう。

そっと扉を開けて外の様子をうかがう。

今なら…。誰もいない。

廊下の突き当りには、外階段がありそのまま外に出れそうだった。

私は足音を立てずにゆっくりと廊下を歩き外に綱がる階段を目指した。


怜彬れいりん王女!どこへ行く!!」


振り返るとアシュラ王子が部屋を覗きに来ている所だった。

私は大急ぎで扉までかけた。

そして扉を開けて勢いよく階段を駆け下りた。


「待て!!待つんだ!怜彬れいりん王女」


後ろの方からアシュラ王子の叫び声が聞こえる。

振り返ってはダメ。

わたしは全速力で階段を下りた。

螺旋階段で下までは少し距離がある。

背中の方からは追いかけてくる足音がする。


これが最後のチャンスだわ!!

ここでつかまったらもう…逃げられない。


ダンダンと激しい階段を駆け抜ける音を立てながら

下へ下へくだっていく。

そしてあと数段で地上に着くところまで来た。


やった!


わたしは思い切り反動をつけて地面へ飛び降りた。

裸足だから足の裏が痛い。

でもそんな事に構ってられない。

急いで大通りに出て助けを求めた。


「だ…誰か!!助けて!!」


怜彬れいりん‥‥王女様だ!!」


わたしの姿に気が付いた通りすがりの男性が駆け寄ってきてくれた。


「おーい!!誘拐された怜彬れいりん王女様だぞ!!」


「なんだって!」


「見つかったのね!!」


最初に見つけてくれた男性の呼びかけでわらわらと人がたくさん集まってきた。

みんな…どうしてわたしが誘拐されたって知ってるの…?


怜彬れいりん王女!こちらへ!」


振り返るとアシュラ王子が追い付いて来ていた。

わたしは必死になって彼から遠ざかる。

するとさっきできた人だかりの人達がわたしを庇うように前に立ち並んだ。


「お前が怜彬れいりん王女様を誘拐した犯人だな!!」


「な…っ!何を言っている!?」


「みんな知ってるんだから!あなたが連れ去ったって!」


「捕まえろ!王宮に知らせるんだ!!」


何十人もの男性たちがアシュラ王子に覆いかぶさるように取り囲んだ。

わたしはほっとしてその場にへたり込んでしまった。


怜彬れいりん王女様…。こちらへ!」


傍にいた女性に手を引かれて建物の中に案内された。

わたしが捕らえられていた場所は王宮から少し離れた場所にある

背の高い建物の旅館だった。


怜彬れいりん王女様。こちらへかけてください」


「ありがとう…」


案内してくれた女性が、上着を掛けてくれた。

やっと…外に出れた…。

わたしはぐったりしながら椅子に腰かけた。


「足の手当てをしますね…。可哀想にこんなに擦り切れて…」


「あの…どうして皆さんはわたしが誘拐されてるって知ってたんですか?」


「王宮から国中に知らせがあったの。怜彬れいりん王女様が誘拐されたって」


「そうだったんですか…」


「私も小説の大ファンですから…捜索の協力をしていたところだったんです」


「えっ…あの…小説ですか?」


「はい!雷覇らいは国王様とのラブロマンス!とても素敵ですわ!」


えぇー‥‥。

小説がこんな時に役に立っていたの?

何でも私の似顔絵や姿は小説に描かれているため捜索しやすかったそうだ。

しかもほとんどの人が小説を知っていた。

それが捜索に大きく影響していたようだった。


ちょっと…いや。かなり恥ずかしいけど、皆がわたしだって気が付いてくれてよかった。

もともとあまり姿を見せることをしてこなかったため

国民のみんなはわたしがどんな姿か知らないだろう。

だが小説を持っている人達はそれをもとに捜索をしてくれていたそうだった。

なんてこった!!


「あの…。今すぐ王宮へ行きたいんですが…」


「今連絡しているから大丈夫です。もうすぐ迎えが来ますよ」


髪の長い女性が微笑みながら優しく諭してくれる。

わたしはほっと胸をなでおろした。

この女の人は芙雅はすがおば様と同じ年くらいかしら?

よく見るとパンを売っているお店で、部屋の中にはパンの焼き立ての香りでいっぱいだった。

いいかおり…。そんな事を考えていたらぐうっとお腹がなってしまった。


「すみません…!!」


「ふふふ。いいんですよ。焼き立てパンをお持ち致しますね…」


にっこり笑って女性が立ちあがって、パンと飲み物を持ってきてくれた。

わたしは有難くもらう事にした。

そう言えば…朝から何も食べてなかったんだったわ。

頂いたパンを口に入れる。サクッといい音がした。


「美味しい!!」


「お口に合ってようございました」


わたしはパンを食べながら王宮からの迎えを待つのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!

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