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155.覚悟と祈り

雷覇とシャチー王女のコラボ何気に萌えです( *´艸`)

幼女と軍人さんってなんかいいですよね☆(゜∀三゜三∀゜) ウホー!

「シャチー王女…少しは落ち着いたか?」


「はい…取り乱してしまい…申し訳ございません」


「気にしなくていい…ホットミルクを作らせた飲むといい」


「ありがとう…ございます」


自分を人質にして欲しいと言ってきたシャチー王女。

どんな意図があるか分からないが、彼女の場合…アシュラ王子の指示ではないだろう。

小さな手でゆっくりとホットミルクを飲みほっと息をつく。

先ほど沢山泣いたせいか目が腫れてしまっている。

冷たいタオルも持ってこさせよう…。


「美味しいか?」


「はい…とっても甘いです…」


怜彬れいりんも泣いたときはよくそれを飲むんだ」


怜彬れいりん…お姉様もですか?」


「ああ…」


ちょっとだけ表情が和らいだ。

シャチー王女はよほど怜彬れいりんの事が好きなのだろう。

怜彬れいりんの話をするときだけはとても嬉しそうな顔をする。

ある程度飲み終わったところでシャチー王女が話し出した。


「お兄様は…怜彬れいりんお姉様を手放すつもりはないと思います…」


「どうしてそう思う?」


「こんな事初めてだからです…」


「そうか。さっき人質にして欲しいといったな?どう意味か聞いてもいいか?」


「はい…。私と交換なら…怜彬れいりんお姉様を返してもらえると思って…」


「そんな事を…自分で考えたのか?」


「はい…来る途中いっぱい考えました…」


俺は愕然とした。まだ8歳だろ?

まだまだ子供だ。もっと甘えたり駄々をこねたっていい歳だ。

でもシャチー王女の口から出てくる言葉はとてもじゃないが

子供のモノとは思えない言葉ばかりだった。

可哀想に…。よほど苦労して育ったのだと思った。


「アシュラ王子は…君に酷いことをしたりしないか?」


「はい!絶対にしません…。アシュラお兄様はいつも私を大事にしてくれてます」


「そうか…。サイガ…どう思う?」


「うーん…一番得策だとは思うけど気が乗らないね」


「だよな…俺も気が進まん」


「そんな…!」


「シャチー王女…君の勇気には敬意を示すが…幼い君を人質にするのは正しいとは言えない」


「お願いします!雷覇らいは国王様!どうか…」


泣きそうな顔で必死に懇願するシャチー王女…。

俺の服をぎゅっと握りしめてじっと見つめてくる。


「お兄様は知らないんです…!大切な人が…奪われたらどんな気持ちになるのか…」


「だから君がそれをやるというのか?」


「はい。お兄様は今…普通じゃないです。目を覚ましてもらわないとだめなんです」


「シャチー王女…」


「私は今までずっとお兄様に頼りきりで…何もしませんでした…」


「それが普通だ。君はまだ子供だ…。大人を頼って何が悪い」


「でも…お兄様が悪いことをしているのに…分かっているのに…何も言いませんでした…」


俺の服を掴む手が白く変色していく。

彼女は彼女なりに沢山考えて、自分が正しいと思う事をしようとしている。

どうすることが最善だろうか?

彼女の提案通り、怜彬れいりんと交換で差し出すか?

でも…もっと他にいい方法はあるんじゃないか?


雷覇らいは国王様…どうかお願いです。お兄様に私とお姉様を交換するように伝えてください!」


「分かった」


雷覇らいは!いいのかよ!!」


「ああ。だが…君の兄を許すことはできない。この国の法律にのっとり裁きを受けてもらう」


「はい…。覚悟しております」


もう…泣かないのだな。

シャチー王女の瞳には強い意思が光っていた。

相当な覚悟でここまで来たのだろう。

先ほどまでの表情とは明らかに違っていた。

この子はきっといい王女になるだろう…。

シャチー王女の表情を見てそう感じた。


「サイガ。さっそくさっきの話で準備を進めてくれ」


「…分かった」


「あと冷たいタオルも持ってこさせてくれ」


「はいよ!」


「シャチー王女。ひとまず俺達と一緒に王宮へ戻ってくれるか?」


「はい」


「よし!それじゃあすこし目を冷やしてそれから王宮へ戻ろう」


「ありがとう…ございます」



従業員にタオルを持ってこさせ、シャチー王女の腫れた瞼にそっとあてる。

俺の手に小さなシャチー王女の手が重なる。

何とも言えない気持ちになった。まだ子供である彼女がここまで…。


俺はシャチー王女を抱き上げ膝の上に乗せた。

抱っこされたのがびっくりしたのかシャチー王女が慌てた様子で

俺に降ろすように言って来た。


「あの…!雷覇らいは国王様…」


「この方がタオルを当てやすい。じっとしていろ」


「…はい」


「どうだ?気持ちいいだろ」


「ひんやりして気持ちいいです…」


「俺も泣いたときはこうしてもらった…」


雷覇らいは国王様でも泣くことがあるんですね…」


「あるさ。小さいときはもっと泣いていたそうだ」


「…ふふふ。想像できません」


少し緊張がほぐれてきたのか最初に会った時よりも声に余裕がでてきている。

ここからは時間との勝負だ。

アシュラ王子が次の手を考える前にこちらが先に動く必要がある。

サイガには一足先戻って、人質交換の準備を進めて貰っている。

これがうまくいけば怜彬れいりんにようやく会える…。


「シャチー王女…」


「何ですか?」


怜彬れいりんは…元気にしていたか?」


「はい。元気でした」


「そうか…」


俺はホッと胸をなでおろした。

アシュラ王子は理性的な人物だと聞いた。

感情のままに何かすることは少ないだろうが…何かあってもおかしくない。

人を意のままにする方法は沢山ある。


「シャチー王女は怜彬れいりんが好きか?」


「はい!怜彬れいりんお姉様は大好きです」


「そうか…なら俺と同じだな」


「同じですか?」


「ああ」


「嬉しいです…頑張ってここにきて‥良かったです」


「シャチー王女は偉いな…。そしてとても聡明だ」


「いえ…わたしは…」


シャチー王女が頭をふるふると可愛く横に振って否定する。

俺はそっとタオルをとって彼女の顔を覗き込んだ。


「うむ。少し腫れは収まったな…」


「ありがとう…ございます」


「よし!では王宮へ戻るとしよう」


俺はそのまま立ち上がり、ドアの方へ向かった。


「あの…!雷覇らいは国王様。わたし歩けます…」


「いや。この方が早い。すまないが我慢してくれ」


「…はい…」


顔を真っ赤にして俺の首に掴まったシャチー王女。

ふ…。可愛いな。それにとても軽くて小さい…。俺は彼女の頭をポンポンと撫でた。

自分に娘が出来たらこんな気持ちになるのだろうか?

怜彬れいりんを愛おしいと思うものとは別の感情…。

父性愛ともいうのはこんな感情が沸き起こるのだろうか…?

俺はそんな事を思いながら、シャチー王女を抱いて王宮へ戻っていった。



*-------------------------------------*

雷覇らいは国王様のおおきなゴツゴツした手…。

とても温かくて、ほっとする。


雷覇らいは国王様に会えてよかった…。

一目見た瞬間、嬉しさと安心感とでその場に座り込んでしまった。

緊張と不安で胸がいっぱいだった。

ぎゅっと服を握り締めながら記憶の中にある道を歩いてきた。


街はとても活気があって沢山の人が歩いている。

皆の表情を見ると、とても明るくて楽しそうに見えた。

わたしの国とは…大違い。

キーサ帝国の人々はみんな疲れ切って無表情な顔をしている人が多い。


きっと怜彬れいりんお姉様が王女様だからだわ…。

そんな事を思いながら王宮へ続く道を急いで歩いた。


「どうしたら…お兄様を納得させられるかしら?」


あまり人に関心を示さないお兄様が捕らえるほど

怜彬れいりんお姉様に執着している兄…。

普通に話しをしても無理な気がする。


建物の形を確認しながら方角を確かめる。

うん。こっちであってる。大丈夫…。

さまざまな事が頭の中を行き来する。

王宮までの道のり。アシュラお兄様のこと。怜彬れいりんお姉様のこと。

いつもは歩かない距離を歩いた。もう足はクタクタだ。

ふうと息をついて立ち止まったときだった。


見上げた視線の先には、探し求めていた相手がいた。


雷覇らいは国王!!」


気が付いたらそう叫んでいた。

いた!会えた!!


こちらを見て驚いた顔をしながら歩み寄ってくる雷覇らいは国王様…。

良かった…。良かった…。

思わずその場にへたり込んでしまった。


私は怜彬れいりんお姉様が囚われていることを伝えた。

そしてここに来るまでの道のりで思いついたことも伝える。


「私を…人質にして下さいませ…」


アシュラお兄様に目を覚まして頂く方法。

それは私が人質になること。

どうか…お兄様気が付いて…。


祈るような縋るような思いで雷覇らいは国王様にそのことを話した。


*-------------------------------------*


最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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