154.気分爽快
アシュラ王子は初めはぐーぱんするつもりでした笑
でもよく考えたら怜彬は両手が拘束されてるよな~…えーい!頭突きしちゃえ♡
って感じで頭突きに変えました(*^▽^*)
シャチー王女が行方不明…。
その言葉を聞いたとき嫌な予感がした。
もしかたらわたしの為に行動したかもしれなかったからだ。
アシュラ王子が部屋を出て行ったあと一人取り残されたわたしは
シャチーの事で頭がいっぱいだった。
「シャチー…無事でいて」
わたしは祈るように呟いた。
この辺は恐らくまだ治安がいい方だ。わたしが想像している場所だったらだけど。
外で迷子になったとしても誰かに保護されていれば無事に戻ってこれるはずだった。
シャチーの事も気になるが、わたしが掴まっていては何もできない。
ひとまず鍵の件は難しいから、別の方法を考えないと…。
「はぁ…頭突きなんてするつもりなかったのに」
ちょっと動揺させて鍵のありかを探れればそれでよかった。
それがアシュラ王子の態度を見ているとだんだんと腹が立ってきて…。
うーん…我ながら突拍子もないことしちゃった。
ガツンとやったから気分は爽快だけどね!!
「とにかく出来る事からしなくちゃ!」
わたしはアシュラ王子が置いて行った食事を食べた。
体力まで無くしたらいざというときに逃げれない。
人間どんな時も食べないとね!
わたしはもくもくと食事をつづけた。
後で手の傷も手当てしよう…。
アシュラ王子が包帯と消毒を持ってきてくれていた。
繋がれていて不便ではあるができない事もない。
よし!まずはそこに集中しよう。
色々考えてしまってモヤモヤするが、できない事を考えても仕方ない。
シャチーの事はアシュラ王子が全力で対処するだろう。
「それにしても…もっと妹の事みなさいよね!」
さっきのやり取りを思い出してまた腹が立ってきた。
あれだけシャチーの事を切実に訴えたのにまだ私が欲しいだなんて…!!
ほんっっとにダメな王子!
わたしが言いたいのはそこじゃない!!
食事を食べ終えてわたしはプリプリしながら傷の手当てをした。
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生まれて初めて頭突きをされた。
しかも女性に…。
あまりの衝撃的な展開に理解が追い付かない。
こんなことは初めての経験だった。
なんて人だ…。何もかも予測を上回っている。
彼女は怒り心頭で目の前に仁王立ちで立っている。
僕をヘタレ王子と罵り、いきり立っていた。
でも…それでも美しさは変わらない。むしろ引き立っているくらいだ。
「アシュラ王子様!大変でございます!!」
慌てた様子で男の従者が入ってきた。
僕はゆっくり立ち上がり止まっていた思考をフル回転させた。
「なんだ?ここには来るなと言っていたはずだが?」
「申し訳ございません!緊急事態の為、急ぎ知らせに…」
「用件は何だ?さっさと言え!」
「はっ!!シャチー王女様が行方不明でございます」
「なに?!」
僕は慌てて部屋を出た。さっきから…何が起きている?
こんな事態は想定していない…。
僕の計画に狂いはないはずなのに!!!
シャチーのいた部屋に戻るともぬけの殻だった。
置手紙もない…。いったいどこへ…?
シャチーはこんな行動的な子じゃなかった。
自分から何かを率先してやるような子ではなかった…。
眩暈がして倒れそうだった。
さきほど怜彬王女に言われた事といい頭突きされた事といい…。
なんなんだ?
僕はどっと疲れを感じた。
先ほどの従者に急いで人手を増やしてシャチーの捜索を当たるように命じ
近くに会ったソファーに座り込んだ。
もう…。ここまでかもしれない。
怜彬王女は全く僕に心を開く様子はない。
それにシャチーの安全をまず優先しないといけない…。
人手が足りない。僕一人では対処できない。
ソファーにもたれかかり天所を見上げた。
「はぁ…。今日は最悪の日だな…」
おでこが痛い…。
先ほどの衝撃でジンジンと皮膚が痙攣している。
「ふっ‥‥ハハハ!!!」
可笑しくなって思わず大声で笑っていた。
こんな事誰が予想できる?
あの【死神姫】だぞ?頭突きするか?普通…。
彼女の行動力の凄さには驚いていたがこれほどまでに凄いとは…。
「はー…。こんなに笑ったのは久しぶりだ…」
思い返してみれば最近はほとんど笑っていない。
いつも作り笑顔を顔に張り付けていた。
誰にも弱みを見せないように…。付け入る事ができないように…。
「あなたがそんなだから、シャチーはあなたの前で泣けなくなったんじゃない!!」
先ほど怜彬王女に言われた言葉が頭の中で木霊する。
真っ直ぐな瞳で、正面から僕にぶつかってきた。
あんな女性は初めてだ…。
母親ですら俺にはよそよそしいのに…。
「そりゃ…雷覇国王がぞっこんになるはずだ…」
美しく気高く、そして度胸もあり、なんの物差しもなく思い込みもなく相手を見ることが出来る人。
怜彬王女はそんな女性だった。
だから…。どうしても欲しかったんだ…。
こんなに誰かに対して執着したのは初めてだ…。
怜彬王女は本当に不思議な人だな。
彼女がなぜ傾国の美女と呼ばれいるのかが理解できた気がした。
皆手放せなくなるんだ…。どうしても欲しいと思ってしまう。
国が傾いてもいいと思えるほどに。
驚きもあったがなぜか今は心地良い…。
気持ちが高揚して頭の中がスッキリしている感じだった。
彼女の頭突きの効果かもしれない。
「はぁ…。まずはシャチーを探さないとな」
怜彬王女の件は、先にキーサ帝国に護送していれば問題なかった。
いつも理性的に考えるこの僕が…。手元に置いておきたいと思ってしまっていた。
感情でも物事を進めていた。
いつも嫌悪していたのに…。兄たちがそうだったから。
切り替えろ。感情に流されるな。
どうしたら有利に進められるか考えろ…。
僕は机をトントン叩きながらこれからどうするか考えを巡らせた。
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