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149.誕生祭~暗中飛躍~

色々と誤字すみません!!修正しました( ;∀;)

*-------------------------------------*


「警戒されてたといは言え…まさかこんなにあっさり手に入るとは…」


目の前で静かに眠る【死神姫】を見つめて、僕はポツリと呟く。

艶やかで常闇のような黒髪に、宝石のような輝きを放つアメジスト色の瞳を持った神秘的な女性。

誰もが彼女に魅了され、彼女に傅く。


「フッ…あなたが僕のモノだとわかったら…あいつはどんな顔をするかな…」


眠っている怜彬れいりん王女の頬にそっと手を触れた。

ずっと僕を威嚇し続け圧力を掛けてきた雷覇らいは国王。

怜彬れいりん王女に惚れこんでいる。初めて会った時からすぐに分かった。

分かりやすい牽制。わかりやすい視線。わかりやすい態度。

全部僕を警戒してやっていることだろう…。


そう言う分かりやすい人は引っ掻き回しがいがある。

ちょっと怜彬れいりん王女に近づくだけで番犬のようにやってくる。

彼はきっと単純で素直な人物なのだろうな。


意外だったのはシャチーが怜彬れいりん王女に懐いていた事。

心を開き笑顔まで見せている。

驚いた。あの短期間でここまで人を魅了することが出来るのか…。

ますます欲しくなった。

最初は利用しようと思っていたけど、力づくでも手に入れたい。そんな欲が出てきた。


「じゃあ…また来るね…怜彬れいりん王女…」


僕はそれだけ彼女の耳元で囁くと部屋を後にした。


*-------------------------------------*



~誕生祭三日目~


奉納の儀式も無事に終わり、誕生祭も残すところあと一日となった。

今日は朝から準備に追われて王宮の中がざわざわしていた。

集められた献上品をこの一日で消費してしまわないといけない。

王宮の人員総出で準備にあたっていた。


わたしも毎年手伝っていたけど、今年はシャチー王女と過ごすためできていない。

今は部屋で二人で絵本を読んだり、絵合わせなどをして遊んでいた。


「じゃあ次は怜彬れいりんお姉様のばんよ!」


「よーし!今度は負けないわよ~」


20枚ある絵札の中から同じ柄を見つけて合わせるという単純なゲームだ。

これがなかなか記憶力が試されるので大変だった。

シャチー王女は記憶力抜群でさきほどから何枚も絵札をとっている。

一枚めくり柄を確認してもう一枚めくる‥‥。


「あー!!はずれだわ…」


「ふふふ。このままではまた私の勝ちですね!」


「シャチーは本当に賢いのね」


「記憶力は良い方だと思います。一度見たら忘れません」


「そうなの!天才じゃない」


次から次へと絵札をめくって柄を合わせていくシャチー王女。

これは勝てる気がしない…。まぁいいんだけどね♪

もともと勝つつもりはなかった。8歳の女の子に本気になるほど大人げない事はしない。


「これで全部です!」


「あちゃー!また負けちゃった!」


「ふふふ。とっても楽しかったです…」


「そう…。わたしもよ」


わたしはシャチー王女の頭を撫でた。

妹がいたらこんな感じなのね~。きっと…。

シャチー王女は立ち上がって持ってきていた人形を見せてくれた。


「お誕生日にアシュラお兄様に買っていただいたの」


「まぁ!かわいいお人形ね。名前はあるの?」


「はい!エミリーって言います」


「いいお名前ね。始めましてエミリー」


今帝国で流行っているという人型の人形だった。

金色の長い髪に綺麗な水色の瞳。服を着替えさせて遊んだり

話し相手にして遊んだりするそうだ。

秋唐国しゅうとうこくにはない文化ね~。


コンコン


「どうぞ」


ノックした方角を見るとアシュラ王子が部屋に入ってきた。

いつもと違って生気のある笑顔だった。

シャチー王女の前だからかしら…。


「シャチー。楽しそうに遊んでるね!」


「アシュラお兄様!」


シャチー王女が立ち上がってアシュラ王子の元に駆け寄っていく。

駆け寄ってきたシャチー王女をアシュラ王子が抱き上げる。

二人ともお人形みたい。綺麗な髪に綺麗な瞳。お人形がお人形を抱いているみたい…。

並んでいる姿は絵になるくらい煌びやかだった。


怜彬れいりん王女。本当にありがとうございます」


「いえ…わたしもとても楽しく過ごさせてもらってます」


「シャチーがここまで懐くのは珍しいんです…。僕にしか懐かない子ですから…」


「そうなんですか…」


「絵合わせをしてね!それからお人形遊びしてたんです」


「そうかい。よかったねシャチー」


「はい!」


本当に仲のいい兄妹だった。

わたしと怜秋れいしゅうも他人から見たらあんな風に見えているんだろうか?


コンコン


また部屋の扉がノックされる。

今度は雷覇らいはが入ってきた。


怜彬れいりん。そろそろ祝いの席が始まるぞ」


「わかったわ」


「わぁ…」


ものすごくキラキラした目で雷覇らいはを見つめるシャチー王女。

人形を抱きしめながら、じっと雷覇らいはを見つめていた。


「どうかしたか?シャチー王女」


「あ…あの…」


「ん?」


雷覇らいはが優しい口調で話しかける。

シャチー王女はもじもじしながらお人形をいじっている。

かわいい!!照れてるシャチー王女かわいい!!

わたしは一人ひっそり心の中で悶絶していた。


雷覇らいは国王様は…。あの…」


「俺がどうかしたか?」


怜彬れいりんお姉様の…どこがすきなんですか?」


「うむ。怜彬れいりんの好きなところか‥‥」


うわー。嫌な予感がする…。

シャチー王女は無邪気に聞いているだけだから仕方ないけど…。


「それはもちろん…」


「もちろん?」


「全てだ!」


「うわー!!」


さらに目を輝かせながら雷覇らいはを見つめるシャチー王女。

ほっぺを真っ赤にさせて興奮しているようだった。

っていうか…。もっとほかに言うことないのかしら?


雷覇らいは国王は…分かりやすい方ですね」


「だったら何なんだ?アシュラ王子」


「さぁさぁ!会場に行きましょう!遅刻したら大変」


雷覇らいはとアシュラ王子が変な空気になりそうだったので

わたしは慌てて二人の間に割って入った。

シャチー王女はまだ、雷覇らいはをみつめて目を輝かせている。


「シャチーは雷覇らいはの事が好きなのね」


「はい!雷覇らいは国王は妖精さんのだんなさまですから!」


うう!笑顔がまぶしい!!

ちょっと小説の影響で異様な憧れとか持ってそうだけど…。


「宝石の妖精さんがピンチの時にいつもたすけてくれるんです」


「へっ…へぇ…そんなお話しなのね…」


「はい!剣をもってドラゴンに乗ってかけつけるんです」


「なるほど…」


どんな話だよ!!

と思わず心の中で突っ込みを入れてしまった。

空想の要素がかなりつよい話になっているのね…。

最初読んだときは普通の物語だったけどな…。


シャチー王女はこの小説が好きで毎日読んでいたのだとか。

子供に読ませて大丈夫なの?とちょっと心配にはなったが

シャチー王女が喜んでいるからよしとしよう。


祝いの席は王宮の中で最も広いスペースのある広間で開催される。

多くの人が集まり立食形式で料理をふるまうのだ。

会場の出入り口で招待客のチェックをして条件が合う人のみが入れるようになっている。


天井には豪華な宝石を付けた装飾品が飾られ、壁一面には金箔をあしらっている。

床一面大理石でできているまさに豪華絢爛という言葉がふさわしい場所だ。

父の時代にかなりのお金をつぎ込んで作った部屋で普段は一切使用しない勿体ないと思っている部屋だった。


「すごーい!綺麗なおへやですね」


シャチー王女が無邪気に反応している。

周りをきょろきょろしながら、あれはなに?と質問攻めにしてくる。

ふふふ。とっても楽しそうね…。


アシュラ王子に連れられて食事を楽しんでいる。

わたしは一旦離れて雷覇らいは達と壁際で食事をとることにした。

どの料理も美味しい!!

贈られてくる食材はどれも新鮮で色つやのいいものばかり。

それらをふんだんに使った料理は食べ応えがある。

雷覇らいはも美味しいと言いながら食べていた。


「このまま何もなければいいわね」


「そうだな。まぁ何かあってもすぐ対処できるようにしているがな」


実はこの会場にいる人達は全て、王宮の警備隊だった。

貴族のふりをしてもらいいざという時の為にスタンバイしてくれいる。

本当の貴族の人達は別の会場で桐生きりゅうおじ様達が案内してくれている。

雷覇らいはの言っていたいい案があるとはこのことだったのだ。


「アシュラ王子達も気が付いていないみたいだし‥‥。このまま今日を乗り切ったらこの件は終わりね」


「そうだな。まぁ最後まで油断せずに行こう」


「ええ。そうね」


二人で料理を食べながら、アシュラ王子の動向をうかがう。

色んな人達と話ながら料理を楽しんでいるように見えた。

そばにはシャチー王女もいる。

彼女がいる前ではおかしなことはしないだろう。

祝いの席が始まって数時間。アシュラ王子がシャチー王女を連れて部屋に戻ると告げてきた。

お腹いっぱいになりねむくなったので部屋に寝かしてくるとのことだった。

大事そうにシャチー王女を抱きかかえながらアシュラ王子は部屋から出て行った。


「本当に…拍子抜けするくらい何もないわね…」


「ああ。でもまだ油断はできない。怜彬れいりん一人になるなよ」


「わかったわ。雷覇らいはの傍にいるわ」


「ぜひそうしてくれ」


雷覇らいはに手の甲に口づけされる。

わたしも雷覇らいはも料理は食べれないため

食後のお茶を飲む為、場所を移動した。


リンリンが用意してくれたお茶を飲んでいた時だった。

珀樹はくじゅ殿が慌てた様子で部屋に入ってきた。


怜彬れいりん様!雷覇らいは様!」


「どうしたの?珀樹はくじゅ殿」


「大変なんです!シャチー王女がいなくなってしまったんです」


「えっ?」


「なんだと?」


全く想定していない事態だった。

アシュラ王子が寝かしつけた後、しばらく経ってから

侍女が部屋を確認しに行ったところ居なくなっていたという事だった。


「急いで捜索しよう。俺もシャチー王女がいた部屋に行く」


「じゃあわたしも…」


怜彬れいりんはここにいろ。もしかしたら罠かもしれない」


「でも…そうじゃなかったら…シャチーは」


「だとしても、俺がまず確認してくる。だからここで待っててくれ」


「それなら俺が様子を見てくるよ。雷覇らいははここでお姫様といた方が良い」


「サイガ…」


雷覇らいはが部屋を出ようとしたとき、サイガが止めに入ってきた。

確かに彼が言ってくれた方が良いかもしなかった。


「わかった。じゃあサイガ、頼んだ」


「ああ。ここの守りは指示してあるが…二人とも気を付けろよ~」


いつもの軽い感じで部屋を出て行ったサイガ。

珀樹はくじゅ殿も一緒に様子を見に行ってくれることになった。

わたしと雷覇らいはは応接室で待つことにした。

シャチー王女…。無事だといいんだけど…。

でも、狙いはわたしじゃなかったの?どうしてシャチー王女が…。


アシュラ王子が妹巻き込むとは考えにくい。

彼女を何より優先し大切にしているように見えたからだ。


「大丈夫だ。怜彬れいりん。シャチー王女は無事だよ」


「そうよね…。何もないわよね…」


雷覇らいはがぎゅっと手を握りしめてくれる。

するとパリーンと何かが割れる音がした。


「なんだ?」


「みて!窓ガラスが割れてるわ!」


何か固いものが当たったように窓ガラスが割れていた。

雷覇らいはが様子を見に立ち上がった途端、部屋がいきなり真っ暗になった。


「えっ…?」


怜彬れいりん!」


雷覇らいは!」


まったく何も見えなかった。外は月も出ておらず真っ暗で明かりがない状態。

リンリンは変えのお茶を取りに行っていていないから、非常用の蝋燭もつけれない。


怜彬れいりん。その場でじっとしていろ。そちらに行く」


「分かったわ…。雷覇らいは気を付けて」



わたしは、雷覇らいはに言われた通りその場でじっとしていた。

するとどこからか何か変なにおいがしてきた。

これは…なんの香り?


そう思った瞬間意識が遠のいていった。


最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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