13.夏陽国滞在~雨降って地固まる?~
ちょっとずつ怜彬ちゃんの過去が出てきます!( *´艸`)
暖かく見守ってくれると嬉しいです!!
「怜彬。大丈夫だ」
そういいながら、頭をポンポンされる。
わたしは、すっぽり雷覇殿の腕の中におさまってしまった。
あたたかい…。いい匂いがする…。
「無理に話す必要はない。ゆっくりでいい。落ち着いて呼吸をしろ」
「でも…。早く言わないと雷覇殿が…」
「俺のことは気にするな。ゆっくり深呼吸して」
雷覇殿は、わたしの背中を優しく撫でてくれる。
子供をあやしてるみたいだけど、すごくホッとする。
言われたとおりにゆっくり深呼吸する。体のちからが抜けてくみたいだった。
なんだろ、力が抜けてきたら急に瞼が重くなってきた…。
「らい…は…。ご…めん…な…さい」
「怜彬…」
その後何か言われた気がしたけど、わたしの意識はそこで途切れた。
目が覚めたらいつもと違う天井が見えて、知らないベットの上で寝ていてびっくりした!!
あれ?わたし昨日何してたっけ??パニックになってて、頭が真っ白だ。
「そうだ…。わたし夏陽国に来て、雷覇殿と話してて…」
だんだん記憶が戻ってくる。それと同時に恥ずかしさもこみあげてくる。
雷覇殿に抱きしめられてた感覚が蘇る。
「っつ…?!」
わたし昨日寝ちゃったんだ!!話してる途中で。なんかあったかいな~。いい匂いするな~。
とか考えてたら急に眠くなってきたんだ!!!
そういえば前の日はまともに寝てなかったんだ。恥ずかしい…。寝落ちとか…。
もう~。また顔を合わせずらい…。別の意味でだけど。
一応、きのう謝ったしこの前の件はもういいよね!!雷覇殿は怒ってなかったし。
ベットの上でジタバタしてたら、リンリンが軽食を持ってきてくれた。
「おはようございます。お嬢様。体調はいかがですか?」
「たっぷり寝たから元気よ!ありがとう!!今何時?」
「もうお昼です。ちょうど軽食をもらってまいりました。召し上がりますか?」
「ええ。頂くわ!!」
食べ終わったころに雷覇殿が部屋に訪ねてきた。急いで部屋着に着替える。
「怜彬。体調はどうだ?」
「雷覇殿。昨日はすみません…。わたし寝てしまって」
わたしの横に座りながら、心配そうにする雷覇殿。
今日は淡い黄色の襟詰服に濃い緑色で小さな葉の柄が刺繍されている布を合わせている。
装飾品も少なくラフな感じの服装だった。
さっきから頭をなでなでされながら話しているのはスルーしよう!!
気にしたら負けな気がするわ!!!
「気にするな!長旅の疲れが出たんだろう。」
「ありがとうございます」
「もう体調がいいなら、一緒に来てほしい所があるんだが」
「わかりました。すぐに準備しますね!」
「ああ。隣の部屋で待ってる。服装はなるべく軽装で頼む」
わたしはすぐに立ち上がって隣の部屋へ行った。ふぅ!!
あのなでなで攻撃から逃れられてよかった。
なんか秋唐国にいた時よりもパワーアップしてない?
婚約したから?それとも自分の国だから?遠慮が全くない感じがする!!ものすごく!!
雷覇殿に言われたとおりに軽装な服に着替えたわたしは大きな部屋に通された。
中央には大きなフカフカそうなソファと大理石でできたテーブル。
それに額縁が金色の大きな姿見があり、部屋中に女性ものの衣装が並べられていた。
「今日は怜彬の服を作ろと思ってな!」
「えっ?わたしのですか??」
「ああ。せっかく夏陽国に来たんだ。こちらの国の服を作ってもいいんじゃないかと思ってな!!」
「はぁ…」
雷覇殿めっちゃ楽しそうね…。まぁ一着くらいならいいかな…。
似合うかわからないけど。断る方向で話したらまたすごい熱量で話されるんだろうな…。
ここはありがたく頂こう!!
それにしても、夏陽国の女性服ってエキゾチックで、布面積少ないんですね…。
胸と腰回りしかきちんとした布がなく、腕や足は肌が透けて見える布で覆われているデザイン。
布面積が多くてもおへそが見えるようなデザインまで、今まで来たことないものばかりだった。
雷覇殿が来ているような動きやすそうな服がいいな~。
「今日はこの国一番のデザイナーと針子にも来てもらった。怜彬の好きなデザインで作ってもらうといい」
「すっ…すごいですね…ありがとうございます」
「お初にお目にかかります。マダムベリーと申します。秋唐国の傾国の美女!宝石の妖精とまで謳われた、怜彬様のお召し物を手掛けることができて、幸せでございますわ~」
この国一番のデザイナーと呼ばれる彼女は、マダムベリー。40代くらいのふくよかな女性だった。
茶色の髪を高くまとめて、眼鏡をかけている。元気だな!マダム!!
「今日はよろしくお願いします。この国の服のことは何も知らないので色々教えてください」
「もちろんですとも!!姫様ならどんなお召し物でも、とってもお似合いになられますわ~」
「うむ。怜彬なら何を着てもかわいく、美しいだろう」
「まぁ。雷覇様ったら。お熱いことです事~。ふふふ~。あっ!そういえば!わたしくし読みましたよ!」
「えっ?何をですか??」
「姫様と雷覇様のラブロマンス小説!!」
「ぇぇえ!!!」
何なのこの時間差攻撃みたいな!!不意打ちでパンチを食らったくらい衝撃がきた!!
「もう~。とっっても素敵でしたわ~。お二人が結ばれるために様々な困難に立ち向かっていく。はぁ…。素敵ですわ~」
「ああ。あれは俺も読んだぞ!なかなか面白い発想で楽しかったな!!」
あなたも読んだの!!ぐふぅっ!!精神的ダメージが凄い。もう穴があったら入りたい!!!
まさか夏陽国でも販売されているなんて!!
「だが、しょせんは小説だ。本物の怜彬に勝るものはない」
「ふふふ。さようでございますね~。愛されておりますね!姫様!!」
あああ!生温かい目でマダムからは見られて、雷覇殿からは甘々攻撃!!
なかなか、厳しい戦いになりそうね!!!もう瀕死だけど!!
その後、数十着の着替えをさせられ、布地から糸からデザインから打ち合わせをしていった。
結構な体力を使うな!!衣装つくりって…。ふぅ。
全部で10着作ることになり、そのうち5着は滞在中に届けてくれるそうだ。
残りの5着は秋唐国へ送ってくれることになった。
もうどんな服を作ったのか覚えてない!色々見てて楽しかったけど。
布面積を多くするのに苦労した。
なんで二人ともあんなに露出の多い服を着せたがるの!!
好きなデザインでいいって言ったよね??
あんな露出の多い服、実用性ないでしょ!!
気が付けばかなりの時間が立っていた。マダムベリーは意気揚々と帰っていき
3日後に仮縫いをした服を持ってきてくれるそうだ。
今は雷覇殿と二人でお茶を飲んでいる。
今日はわたしが持ってきたお茶だ。セイロンティとよばれているもので
後味がスッキリしていて、雑味も少ない飲みやすいお茶だった。
はぁ…。つかれた…。
「どのデザインも怜彬によく似合っていた」
「ありがとうございます。もう何を着ていたのか忘れてしまいました」
「ハハハ!すまない。なんでも似合うのでついつい、着せ替えをさせてしまったな」
「ほんとですよ~。もうクタクタです!!」
わたしはぷうっと頬を膨らませて怒って見せた。
もう!ほんとうに大変だったのよ!メンタルとか!!メンタルとか!!
「ふふ。怒っている怜彬もかわいいな。食べてしまいたくなる」
「食べないでください。おいしくないですよ!」
「それは食べてみないとわからないぞ?」
おもむろに手を握られて、手の甲に口づけされる。
「ひゃっ!!」
「反応もかわいいな」
やーめーてー!!!恥ずかしい!恥ずかしすぎて死ねる!!
「怜彬はおいしいぞ…ほら…」
指先を絡め取られてかぶりつかれた!…っ!!!!もう無理!!
「雷覇殿…。離してくださいっ!!」
「ふふふ。残念だ」
噛まれた!やっぱり銀獅子だわ!噛む?普通!
雷覇殿はめっちゃ楽しそうですね!!イキイキしてますね!!
やっと手を解放してもらえたけど、あと一週間これで過ごすの?
大丈夫???わたし!!!
お読みいただきありがとうございました(^O^)/
雷覇殿の甘々攻撃はわたしも結構なダメージを食らいます笑
こんな甘々攻撃が見たい!などあればご意見いただけると嬉しいです☆