143.誕生祭~桐生《きりゅう》おじ様再び!~
久しぶりに桐生おじ様登場です!!(^_-)-☆
あんな豪快な人は私の周りにはいないので書いていてとても気持ちがいいです!
「怜彬!!久しぶりだな」
「お久しぶりです。桐生おじ様」
秋唐国の誕生祭に参加するため、桐生おじ様が来てくれた。
ムムム。とっても急だったんだけどね!!
でも…まぁこんな急な来訪が、虹珠殿達で慣れているからどうってことない。
相変わらず豪快な挨拶で思いっきり抱きしめられながら出迎えた。
「桐生殿。お久しぶりです」
「おお!雷覇殿。久しいな…腕はなまってないだろうな?」
「もちろんです!また手合わせしましょう」
「ガハハハッ!儂からもぜひ頼む」
「怜彬ちゃん、怜秋ちゃん…ごめんなさいね…」
物凄く申し訳なさそうに、芙雅おば様が謝ってくる。
今回もわたしが誕生祭に参加すると聞いて、突然押しかけてきたのだ。
桐生おじ様だってお仕事がお忙しいでしょうに…。
全くの無関係ではないため、参加してはいけないとう事はないが…。
あえて招待をしていなかったのに…。
桐生おじ様の事だ。止めても無駄と判断されたのだろう。
芙雅おば様は何も言わずについてきた様子だった。
今回は雷覇が相手してくれそうだから安心だわ。
怜秋もホッとしている様子だった。
桐生おじ様が来ると分かったときは顔が真っ青になっていた。
雷覇と桐生おじ様はもう何やら二人でどんな試合をするか話している。
ここは…そっとしておこう。
わたしは遠目で雷覇と桐生おじ様のやり取りを
芙雅おば様と一緒に見守った。
「そういえば…お孫さんはお元気ですか?」
「ええ。とっても元気よ‥ありがとう」
おじ様のお孫さんはまだ小さいからという理由で参加を見送ったらしい。
今回は桐生おじ様と芙雅おば様。それに息子さんの三人で参加する予定だ。
「怜彬!雷覇殿とはいつ結婚するんだ?」
「えっ…。えーとまだ具体的な日は決まってなくて…」
「雷覇殿は良い男だ!早く結婚しなさい!ガハハハッ」
「わたし一人の問題でもないですし…。決まったらご連絡します」
「うん。うん。雷覇殿!怜彬をよろしく頼む」
バシバシと部屋中に響き渡るくらいの音をたてながら
雷覇の背中をたたく桐生おじ様。
痛そう…。でも雷覇はびくともしていなかった。
「はい!任せてください」
「桐生おじさん…あんなに反対してたのに…」
「怜秋よ…。男は刃を交えれば分かるものもあるのだ…」
「はぁ…」
わたしも怜秋も何それ?って顔をしてしまった。
あんなに猛反対していたのに、今度は結婚を勧めらてしまった‥‥。
もう~。自分勝手なんだから~。
「ほら…あなた。若い人達のお邪魔しても…悪いわ」
「む!そうだな。雷覇殿!試合の件はまた後日な」
「はい。楽しみにしております」
ガハハハッと大きな声で笑いながら桐生おじ様が部屋を出て行った。
やれやれ…。とぐったりするわたしと怜秋。
毎回、桐生おじ様の対応は骨が折れる。
「相変わらず、豪快な人だな。桐生殿は」
「雷覇はすっかり気に入られてたみたいね」
「そうだな!あの時、真剣勝負をした事がよかったらしい」
「じゃあ、挨拶も済んだし僕は仕事に戻るよ」
「ありがとうね。怜秋」
「怜秋殿!」
おもむろに雷覇が怜秋を呼び止めた。
その瞬間一気に空気がピリリとする。
「何ですか?雷覇殿…」
「俺と怜彬の結婚を認めてくれ」
「またその話ですか…」
「桐生殿もああいっている。反対しているのは怜秋殿だけだ」
「そうですね…」
「必ず怜彬を幸せにすると誓う!だから認めてくれ」
「雷覇殿…」
塩対応だが怜秋の表情はどこか柔らかい。
もしかして…。
わたしも思わず身を乗り出してしまった。
「嫌です!」
「なっ…」
きっぱりといい笑顔で断る怜秋。
あらら…。やっぱりまだダメなのね…。
「なぜだ!」
「そんなに簡単に雷覇殿の事を認められません」
「どうしたら認めてもらえるんだ?」
「雷覇殿。それを僕に聞くのは筋違いですよ…」
「しかしだな…」
「じゃあ!僕は忙しいので!またね。姉さん」
「うん。またね!」
怜秋は爽やかな笑顔で去って行ってしまった。
あれは…。どちらかというと楽しんでるな…。
以前ならもっと怒った態度で表情も暗かった。
今回のやり取りを見る限りでは、完全に否定しているわけでも無そうだ。
「はぁ…。なんで…認めてもらえないんだ」
「ごめんね…雷覇」
「怜彬…」
がっくりと肩を落として、思いっきり気落ちしてしまった雷覇。
ちょっぴり可哀想なので膝枕してあげようと思った
膝の上にポンポンと手を置いて、わたしは雷覇を促した。
雷覇は何も言わずに、ゴロンと膝の上に横になってきた。
ふふふ。こういう素直なところがかわいいわよね…。
雷覇の頭を撫でながら彼をなだめた。
「前に比べたら、前進してるわ」
「そうだろうか…。何も変わっている気がしない」
「そんな事ないわ!怜秋の表情は柔らかかったもの」
「うーん…」
「あともう一歩よ。大丈夫」
「ありがとう…怜彬」
「あっ!そう言えば、雷覇。あれ持ってる?」
「アレ?」
「そう!秋唐国に来る前に二人で撮った写真」
「ああ!写真の事か。勿論肌身離さず持っているぞ!」
雷覇はゴソゴソとズボンのぽっけを探って、写真を取り出した。
マダムベリーの衣装が出来上がったときに、二人でプロに頼んで撮ってもらったのだ。
ふふふ。我ながらいい出来だと思っている。
雷覇と二人並んで立って衣装が見えるようにとってもらった。
お揃いの衣装を着ているためか、結婚式の時のような写真になってしまった。
わたしも雷覇もとてもいい笑顔でとれている。
「この写真いいわよね~」
「そうだな!俺も気に入っている」
「わたしも持ってきているわ」
「俺は執務室にも飾っている」
「え?そうだったの!」
「ああ。ちゃんと写真立てに入れて貰って飾ってある」
とってもご満悦な表情をしている雷覇。
二人で撮れたことがよほど嬉しかったようだった。
「今度はラカンや、リンリン…それに怜秋も一緒に撮りたいわ」
「そうだな!またみんなで写真を撮ってもらおう」
普段なかなか集まらない人達だ。
今回みたいに集合する機会があったら撮影隊に来てもらって撮ってもらおう!
わたしは写真を眺めながらそんな事を考えていた。
「皆で撮ってもらうなら…やっぱり結婚式だろう!」
「ああ!たしかに…そうね」
「やっぱり…何としてでも怜秋殿に認めて貰わないと…」
「そうね…。でもやり過ぎはダメよ?」
「分かっている。口で言ってもダメなら文章だ!」
そう言って勢いよく起き上がった雷覇。
どうやら手紙をしたためるようだった。
リンリンに頼んで紙と筆を用意してもらうように言っている。
雷覇が元気になって良かった。
わたしはしばらく雷覇の隣でお茶を飲みながら
手紙が仕上がるのを待つことにした。
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「怜秋様…。あんなに反対しなくてもよかったのでは…?」
わたしは心配しながら怜秋に駆け寄って話しかける。
「いいんだよ!あれくらい…」
「でも‥‥雷覇様も真剣に考えておいでですし…」
「それは…僕も分かってる」
「だったら…」
「もう…傍にはいられなくなるだろ?」
「怜秋様…」
「結婚して雷覇殿の元へ嫁いでしまったら…もう簡単には会えないだろう…」
寂しそうに窓の外を眺めながら、怜秋がポツリと呟いた。
彼自身も分かってるんだ…。もう認めざる得ないと言うことを。
「だからね…最後にちょっとだけ、困らせてやろうと思ってね!」
「怜秋様ったら…」
言っていることは幼稚だと思ったが、怜秋様なりの甘え方なのだろうと感じた。
今しかできないことでもあるものね…。
わたしはにこやかに笑う怜秋様の傍でそんな事を考えていた。
「大丈夫です。怜秋様の傍には私がおります…」
「ありがとう!珀樹殿」
私はそっと怜秋様の手を握ってそう伝えた。
こちらに来て一緒に過ごすようになってから、怜秋様がどんな人なのか知った。
賢くて冷静で、常に正しくあろうと前を見ている怜秋様。
でも本当は普通の12歳の男の子だ。
誰にも何も言わずに、気丈にふるまって辛いことも一人で耐えているように見えた。
そんな彼の姿を見るたびに、何とかして支えてあげたい。
元気になってほしい。笑顔で過ごして欲しいと思うようになっていた。
今となっては家族と同じように大切な存在だった。
「さぁ!珀樹殿。早くこの仕事を終わらせて、電力事業について話をしよう」
「はい!怜秋様」
わたしはにっこりと微笑んで、自分の机に座った。
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