142.誕生祭~温室とお墓参り~
お墓参りって大事ですよね~(#^^#)
行くと何だかスッキリしますし☆不思議です!
「やっぱり…怜彬は会わない方がいいんじゃないか?」
「それはできないわ…。一応まだ秋唐国の第一王女だし…」
キーサ帝国のアシュラ王子の狙いがわたしだとわかった次の日。
雷覇から誕生祭の参加を見送るように言われてしまった。
「そこは病気でも怪我でも何でもいいから理由をつければいいだろう?」
「それはそうだけど…。それを理由に滞在期間を延長されたらどうするの?」
「うーむ…。その可能性はあるか…」
「でしょ?避けていても結局は何も変わらないもの」
「わかった…。だけど絶対に一人で行動するなよ」
「ええ。一人にならないわ」
雷覇にぎゅっと抱きしめられた。彼の心配も無理はない…。
なんせ侵略国家の王子がわたしに興味を持っているのだ…。
真っ当な理由とは考えにくい。極力一人にならないよう行動する必要があるだろう。
「じゃあ…この話はこれでおしまい!」
「わかった…」
「今日はどこに行く?雷覇は行きたいところある?」
「怜彬がいつも行くところがいい」
彼にそう言われてわたしは温室と書庫室へ案内することにした。
小さい頃からよく来ていた場所で、わたしの癒しスポットだった。
「ここが温室で種から植物を育てているの」
「種から…すごいな」
「雷覇から送られてきた花たちもあそこに置いてるわよ」
「こんなに…送っていたのか俺は…」
大量に飾られている草花を見て愕然としていた。
そうりゃそうでしょうとも…。なんせ毎日贈り物攻撃があったんだから…。
たしか…怜秋が熱を出してわたしが黙って帰ってしまった時だ。
それまでなりを潜めていた、雷覇の熱量が多すぎて伝わらないアプローチ。
あれが復活してしまった時だ。来る日も来る日も大量に届く贈り物を整理する毎日だった。
「ほんとーに…!ここまで綺麗に整理するの大変だったのよ」
「それは…すまない」
「あの時の雷覇は加減ってものを忘れていた感じね…」
「ああ。とにかく怜彬に想いを伝えないと必死だったからな‥‥でもこれは流石に酷いな」
「気が付いてくれて良かったわ」
「すまない…これからはちゃんと言葉で伝えるよ」
「ふふふ。そうしてくれると嬉しいわ」
雷覇にちゅっとおでこに口付けされる。
雷覇が分かってくれて良かったわ…。
この大量の草花をを見せて良かったかも。
温室にはとてもじゃないけど収まりきらないから、王宮に努めている人達にも配ったんだっけ…。
毎日何かもらえると皆喜んでいたんだけどね!
「そう思うと雷覇はあの時と比べて凄く変わったね」
「そうか?あんまり成長しているように感じないが…」
「全然違うわ!だってちゃんとわたしと向き合ってくれてるってわかるもの」
「それは意識してる。今までの行動で反省したからな」
「ね?だからちゃんと成長してるわ」
「ああ…そうだな…」
「んっ‥‥」
不意に抱きしめられて雷覇に口づけされた。
深くなったり浅くなったり…。様々な角度から唇を重ねる。
誰もいないって…分かってるけど、なんだか植物たちに見られている気がして恥ずかしい‥‥。
庭園と違って温室は限られた空間の中に、積み重なるようにして植物が置かれている。
もはや熱帯雨林のような場所だ。密閉された空間で雷覇と口づけするのは
いけない事をしているように感じてしまいより彼を身近に感じてしまう。
「雷覇…はぁ…」
「ふっ…怜彬のその蕩けたような顔がたまらないな…」
「ちょっと…待っ…んん…」
背中がゾクゾクする…。
雷覇と舌を絡ませながらする口づけは、なんだか艶っぽくてしっとりとしいた。
以前から雷覇にされていた口づけとは全く種類が違う気がした。
わたしの気持ちが…変わったからかしら…?
彼を感じる感覚がまったくちがう…。
「怜彬…何を考えてた…?」
「えっ…」
「俺に集中してないだろ?」
「そんな…ことは…」
まっすぐな眼差しで金色の瞳に見つめられる。
急に恥ずかしくなってわたしは視線をそらしてしまった。
それがまずかった。
雷覇の何かにスイッチが入ってしまい、深い口づけの嵐だった。
「ふぅ…んっ‥‥」
足がガクガクして震えてきた。もう…だめ…。
頭の奥がしびれて何も考えられない。雷覇に支えて貰わないと立つこともままならない。
わたしは必死に雷覇に縋った。
彼の首に手をまわして、何とか倒れないようにした。
「ら…いは…もう‥‥」
「駄目だ…」
「んッ‥‥」
抱き上げられるようにして口づけされ、腰をぐっと雷覇に支えられる。
口づけはますます深くなるばかりだ。
考えていたのは…雷覇の事なのに…。
唇が熱くなってきた。鼻で呼吸するのも苦しい…。
久しぶりに激しく雷覇に求められて目頭に涙が滲んできた。
どれくらい経ったのか…。随分長い間口づけされていた気がする。
はぁ…頭がくらくらする…。
「怜彬。ちゃんと俺だけ見てくれ」
「見て…るわ…」
「じゃあ何でさっき目を逸らした?」
「それは…」
「言わないとまだ続けるぞ…俺は構わないが」
「言うわ!いうから…ちょっと離して…」
雷覇の腕が緩まったところで一息ついた。
心臓がまだバクバクしてる…。唇も熱い…。
「ここって…なんだか密室みたいでしょ?」
「言われてみればそうだな」
「だから…雷覇が近くに感じて…恥ずかしかったの…」
「…ほんとうにそれだけか?」
「ほんとよ…」
「そうか…ならいいんだ…」
そういって手の甲に口づけされた。
もう~…。雷覇の事考えててもこんなに責められるの?
「雷覇…ちょっと…休憩したい…」
「ああ。わかった。あそこに座ろう」
雷覇に横抱きにされて、温室にあるベンチに腰かけた。
あー…。顔が熱い…。わたしは両手で顔をパタパタ仰いだ。
「怜彬の顔…真っ赤で可愛いな…」
「ううう…雷覇のせいなんだから!」
「そうだな…俺が悪いな…」
抱き寄せられておでこと頬に口づけされた。
なんだか…いつもより甘々フェロモン攻撃がすごいんだけど…。
温室だから?今座っている場所も周りは背の高い気に囲まれている。
足元には鉢に植えられた沢山の種類の草花もおかれている。
ここも…危険だわ…。
二人で温室に行くのはやめよう!わたしはそう心に固く誓った。
その後、二人で一旦部屋に戻って昼食をとり書庫室を見てまわった。
雷覇が温室での行為に満足したのか、それ以上触れてくることはなかった。
良かった…。あれ以上されてたらどうにかなちゃいそうだもんね…。
雷覇のスイッチが入ったときの攻撃力はすさまじいと分かった日だった。
「怜彬が過ごした場所を見れてよかったよ」
「わたしも案内できて楽しかったわ」
「怜彬…」
「なあに?」
いつになく真剣な表情の雷覇。
え…?なに?また…あの攻撃が始まるの…。
わたしは思わず身構えてしまった。
「時間があれば怜彬の母君のお墓に行きたいんだが…」
「へっ…ああ。いいわよ」
よかった~。
わたしは思わずホッとしてしまった。
今日はもうお腹いっぱい…。これ以上は自分のキャパオーバーだと感じていた。
「でも…どうして急に?」
「前から考えてはいたんだ。秋唐国に来ることがあったら、きちんと挨拶しに行きたいって」
「そうだったの…。ありがとう。雷覇…」
雷覇の気持ちが嬉しかった。
さっきは変に構えてしまって悪かったな…。
わたしはちょっと反省した。
庭に咲いていたあじさいを数本摘んで、母のお墓に向かった。
炎覇達のお墓と違って母のお墓は王宮内にあり、いつでもお墓参りできるようになっている。
ラカンもよくお世話しに行ってくれていたっけ…。
線香に火をつけて線香立てに置いた。
母のお墓はこじんまりとしたお墓で、小さな塚のようなお墓だった。
わたしはあじさいをたむけて手を合わせた。
雷覇と一緒に来れてよかった。
この場所は何となく避けていた。母が亡くなった時の辛い記憶が蘇ってきそうだったからだ。
でも今ならきちんと受け止めることが出来る。
これからはちゃんと母に会いに来ようと思った。
わたしは右手に光る指輪を眺めた。
もう…わたしは一人じゃないんだ…。
隣にいる雷覇を見上げながらそう感じた。
誰かが隣いる。たったそれだけのことでこんなに心強く感じるのか…。
子供の頃、寂しくて泣いていた日々が懐かしく感じた。
「雷覇…あなたに会えて本当に良かった…」
「俺もだ…怜彬」
今まで一人で寂しかった分…これからは雷覇と沢山過ごそう。
雷覇の手を握り締めながらわたしはそう思っていた。
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