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141.アシュラ王子

こういうダークな感じのキャラは書いていて新鮮でした!!(∩´∀`)∩

アシュラ王子とシャチー王女。

この二人の話も楽しんでいただけると嬉しいです♡


******************************************


小さい頃から父や兄達が嫌いだった。

後先考えず他人から奪う事しか頭にない父。

短絡的ですぐに暴力で訴えてくる長男。

普段は無口で何も言わないのに人の弱みにばかり付け込む卑怯者の次男。

そんな人達に怯え恐れて何も言えない母。

そんな人達に囲まれて暮らしていると、息が詰まる。


常に上手く立ち回らなければこちらがとばっちりをくらい、挙句の果てには責任を取らされたりする。

どうしてあんな人達が家族なのか?全くの赤の他人ならここまで悩んだりしない。

家族…。血のつながりしかない僕とその人達は他人よりも距離が遠い。

近づきたくもないが、何をするにもどこに行ってもついて回り煩わしい。


もっとも許せないのは、幼い妹に暴言や暴力を振るおうとするところだ。

彼女だけは僕が守らなくては。この世で一番清らかで愛らし、歳の離れた僕の妹。

彼女の為ならなんだってできる。例え身内を殺さないといけないとしても

それが妹の為になるなら僕は喜んでするだろう…。


「いっそ…皆死んでくれないかな…」


窓辺に座り、窓の外を眺めながらポツリとそんな事を呟いた。

事故でも病気でも何でもいい。彼らがこの世からいなくなるならなんだってよかった。

彼らが死んでくれるなら神にだって祈りをささげるし、悪魔にだって魂を売ろう。


「はぁ…非現実的だな…馬鹿か僕は…」


月明かりに照らされた庭を眺めながら失笑した。

神も悪魔もこの世に存在しない。存在しないものを僕は信じない。

現実的なやり方であいつらを葬ってやる…。まずは長男と次男だ…。

二人をいがみ合わせ憎しみを抱かせればあっという間に潰し合いをするだろう。

彼らの考えていることは手に取るようにわかる。

チェスの駒を動かしていくように、一つ一つ戦略を練っていく。


「さて…誰を使おうかな…」


そんな事を考えながら僕は、机に座って指をトントンと叩きながら考えを巡らせた。

長男には確か恋人がいたな…。こいつを使おう…。

誤解させるには色恋沙汰が一番だ。もっとも私情が入りやすい。

誰に何を言えば誤解が生じ、亀裂が生まれ憎しみ合うのか…。

様々な人を見てきた僕には手に取るよう分かる。

単純な長男と、粘着質な次男を憎しみ合わせるなんてお手の物だ。


ああ…。やっと息苦しさが落ち着いた…。

僕は一旦考えることをやめて、ベットに行き眠りについた。


そして目覚めた次の日、思い描いたシナリオを実行へと移していく。

わざと人づてに次男が長男の恋人に手を出そうとしていると吹き込んだ。

すると…結果は僕の想った通り。

面白いくらいにお互いを疑って罵り合っている。


「ふざけんな!お前がちょっかいだしてるのは知ってるんだ!」


「言いがかりはやめてくれ!誰があんな女に手を出すんだ」


「ハっ!お前はろくに恋人も出来なくて俺にいつも嫉妬していたではないか」


「誰が!兄さんなんかに嫉妬なんかするものか…」


この分だと二人のうちどちらかが死んでも、僕は疑われない…。

長男が死ねば次男が疑われ、次男が死ねば長男が疑われる。

二人の言い争いを尻目に僕は秋唐国しゅうとうこくへ行く準備に取り掛かったのだ。


******************************************


「アシュラお兄様!おはようございます!」


「おはよう。シャチー」


可愛らしい笑顔でこちらに駆け寄ってくる妹。

今は煩わしい父や兄もいない。久しぶりに見る笑顔だった。

秋唐国しゅうとうこくへ行くと決まった時、彼女を一緒に連れて行くと言ったのは僕だ。

とてもじゃないが一人であんな所に置いておけるはずがない。

何をされるか知れたものじゃなかったからだ。


「もうすぐ秋唐国しゅうとうこくに着くのね!」


「ああ。そうだよ。これから馬車で移動して3日もすればつくよ…」


「楽しみだわ!だって秋唐国しゅうとうこくには宝石の妖精がいるんでしょう?」


シャチーは目をキラキラと輝かせ屈託のない表情で僕に尋ねてくる。


「宝石の妖精?」


「そうよ!メイド達が言っていたの。とっても綺麗な宝石のような王女様がいるんですって」


「そうなのか…。それは楽しみだね」


「ええ。とっても楽しみだわ…仲良くできるかしら?」


「シャチーなら大丈夫さ。…さぁ。そろそろ準備して出かけよう」


「はーい」


トコトコと部屋に戻り出かける準備をする妹。

メイドに何を言われたのか知らないが、彼女は秋唐国しゅうとうこくの第一王女に興味があるようだ。

僕には違う噂が耳に入ってきているんだけどな…。


【死神姫】


嫁いだ先で次々と伴侶が死んでしまう。

死を呼ぶ姫。と…。

この事はシャチーには黙っておこう。

せっかく楽しみにしているんだ…。がっかりさせる必要はないだろう。

さて…。一体どんな人なんだろうか?怜彬れいりんという女性は…。

彼女を調べるにあたり非常に興味を持っていた。

とにかく何を調べても悪い話は聞かない。【死神姫】と呼ばれていることくらいか。

それももう過去のものとなり、今となっては夏陽国かようこくの最大当主の婚約者で

五神国ごしんこくのそれぞれの国の架け橋となり他国と友好的な関係を築いている人物。


女性にしておくには勿体ないほどの外交力だった。

彼女の為なら、五神国ごしんこくすべての国が動くのではないか?

と言ってもおかしくないくらい、各国の主要な人物と親しい。

そんな人をこちら側に味方につけることができたなら…。

五神国ごしんこくを手に入れたようなものではないか?

僕は机の上を指でトントンとならしながら様々な事に思考を巡らせた。


「アシュラお兄様。用意ができたわ!」


居ても立っても居られないといった表情で戻ってきたシャチー。

クス…。ほんとうに可愛いな。我が妹は…。


「よし!じゃあ行こうか!」


「うん!」


さぁ…。ゲームの始まりだ。必ず僕が王位を継承してみせる。

僕はシャチーを抱き上げて馬車へ向かった。



最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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