135.お庭の女子会
「わぁ…!綺麗な指輪ですね!怜彬様」
「ありがとう。リヨウ」
「雷覇様も気の利いた事するじゃない」
「ふふ。スバルったら…。雷覇はいつも気が付くし優しいわよ?」
今日は仕事が休みだと言うリヨウとスバルを招いてお茶会をしている。
出来たばかりの別邸の裏庭を見てみたいと言われたためだった。
「いいな~。お揃いの指輪だなんて素敵だわ!」
「リヨウもすぐにラカンから貰えるわよ」
「そうそう。この前も一緒に城下街に行ってきたんでしょ?」
「へへへ。もう…すっごく楽しかったの~」
幸せそうに頬を染めながら話すリヨウ。
良かった…。ラカンとは上手くいっているのね‥‥。
ゆっくりお茶を飲みながら、二人が楽しそうにしている様子を眺める。
久しぶりに会ったけど、相変わらず息ピッタリだった。
「そう言う怜彬様は最近どうなんですか?」
「え…?」
「いやいや。リヨウ。聞くまでもないでしょう?ラブラブに決まってるじゃん」
「そんなの知ってるわよ!指輪までもらってるんだから。そうじゃなくって…もっとこう…」
「ああ…。そう言う話?」
「何?なんの話?」
「またまたぁ。怜彬様ったら…」
「雷覇様とはどれくらいの仲なんですか?」
悪い顔してるわ…。二人とも。それでもかわいいんだけど…。
どれくらいの仲って…それは仲がいいとおもうわ。昨日も一緒に買い物したし。
「わたしと雷覇は、普通に仲がいいわよ」
「そうでしょうとも!じゃあ、もう手を繋いだりするんでしょ?」
「ええ。それは好きだって言う前からしてたわ。スバルもムツリとするでしょう?」
「するする!じゃあ…口づけは?」
「くっ‥‥くちづ…け?」
「きゃー!スバルったらはしたない!」
「何よ!リヨウだって聞きたがっていたでしょう?」
う…。口づけはしますよ…。そりゃあもう…毎日のように。
ああ!自分で言ってて恥ずかしい。急に顔が熱くなり火照っているのを感じる。
「いやん♪怜彬様ったら真っ赤だわ。可愛い~」
「もう…リヨウ…からかわないでっ…」
「怜彬様ってそんな顔で照れるんだ~。ヤバ!」
「ヤバいってなに?変な顔って事?」
「違う違う。すっごく色気があるって意味♡」
「はっ…?いろけ?」
「私もリヨウと同じこと思った!怜彬様って時々…すっごい、色っぽい顔するよね!」
「わかる~!」
色っぽい顔?なんだそれは?
リヨウもスバルも、からかってるのかしら?わたしのどこを見ればそう思うの?
全く自覚がないわたしにとっては、頭の中が?だらけだった。
でも…この流れなら…あの事聞けるかしら?
「二人にちょっと…聞いて欲しいんだけど…」
「なになに?」
二人同時に身を乗り出してくる。ほんとうに息ピッタリ。
「最近ね…。雷覇が…その…」
「うん。うん」
「我慢してるって言われたの…いろいろ…」
「それで。それで」
「多分…口づけ以上の事を言っているのだろうと…思うんだけど…」
「なるほど~」
「わたし…まったく経験ないから…どうしたらいいかと思って…」
うわーん。やっぱりこんな話は恥ずかしい!
思わず俯いて、自分の足元を見ながら話をしてしまった。
「‥‥」
「あの…二人はいつも…どうしてるの?」
わたしはゆっくり視線を上げて二人を見た。
すると二人ともびっくりしたような顔をして私を見つめていた。
「どうしたの?」
「まだ…なの?」
恐る恐る、確認するように尋ねてくるリヨウ。
「ほんとうに…。口づけだけなの?」
まるで、事実確認をするかのように聞いてくるスバル。
「そうよ。それ以上は結婚してからって…雷覇が…」
「えー!!!」
また二人同時に悲鳴のような大きな声を出した。そんなに驚くこと?
何がそんなにびっくりするポイントなのか‥‥。わたしには見当もつかなかった。
「うわ~。わたし今までで一番びっくりしたかも」
「リヨウ…。わたしも同じことを思ってた…」
「ちょっと…。二人とも!何言ってるの?普通でしょ?」
「怜彬様…。とっても大事にされてるんだね…」
「私、雷覇様ならとっくに…って思ってた」
「そんな!雷覇はちゃんと考えてくれてるわよ」
この二人の驚きよう…。雷覇は相当…アレなのだろうか?
手が早いと言うか‥‥。すぐにそうなっちゃうってことなのかしら…。
まぁ…。モテてたって言っていたし。経験豊富とも聞いていたし。
だからってすぐに手を出すような人には思えないけど…。
「怜彬様。ごめんね~大きな声出して」
「さっきの質問だよね?二人はどうしてるのかってやつ」
「うん。心構え的なものを教えて貰えると嬉しいわ!」
「心構えか~…」
「いる?そんなもの」
「え…?いらないの?」
意外な答えがスバルから返ってきた。
ムツリと付き合っているのだから彼女が一番、現役度が高い。
もっと指南的な事を言ってもらえると思っていた。
「だって、自然な流れじゃない?あー言うのって」
「そんなものなの?」
「まぁ。スバルの言う通りかも!こっちが想定した通りにはならない事が多いし…」
「ええ!そうなの!!」
「だから前もってあんまり身構えない方が良いよ!怜彬様」
「でも‥でも‥。いざそうなると失敗したらどうしようって思っちゃって…」
「大丈夫だよ!雷覇様が上手にリードしてくれるって」
「そうそう!あんまり、色々知ってると逆に引いちゃうかも」
「そう…なのね…」
なるほど!やっぱり二人が言うとやっぱり説得力のあるな~。
雷覇に任せておいて大丈夫ってことよね!
それを聞いたらどこかほっとしてしまった。わたしが何かしないとと気を張っていたかもしれない。
「怜彬様はそのままでいて下さい!」
「わかった!そのままでいるわ」
「あっ!今なんか…イメージ湧いてきた!」
いきなりリヨウが何か閃いたようだった。急にメモを取り出して沢山何かを書いている。
レシピ?とかそんな物なのかしら…?
「やっぱり、怜彬様と一緒にいると刺激もらえて助かるわ~」
「そう言ってもらえると嬉しいわ」
「ここのお庭も居心地よくて素敵だし…。たまには外で仕事って言うのもいいかも」
「いいんじゃない?あんまり中で籠っていても息が詰まるわ」
「そうだよね~。たまにそう思うよ。だから今日は誘ってくれてありがとう」
「ふふふ。どういたしまして!」
「今…ちょっと思ったんだけど、リヨウとスバルの作業場の近くに空いてるスペースあったわよね?」
「ええ。昔は資材とか置いていて、今は更地になってますね」
「あそこに、小さなお庭作るのはどうかしら?」
「いいね!それ。ぜひお願いします!」
「じゃあ今度、下調べしにそちらへ行くね」
ふふふ。楽しみ~。最近お庭いじりができてなくてちょっとうずうずしてたのよね!
夏陽国は気候が土が乾燥しているけど温かくて植物も育ちやすいから
きっと素敵なお庭ができるわ!
「はぁー…。だいたいまとまった」
作業を終えたリヨウが手を止めてお茶を飲みだした。
どうやらアイディアがまとまったようだった。
「で、二人で何の話をしていたの?」
「怜彬様がね、私達の作業場の近くにお庭を作ってくれるって!」
「ほんとうに?」
「ええ。これでリヨウのアイディア不足も解消されるんじゃない?」
「嬉しい!ありがとう。怜彬様!」
ほんとうに嬉しそうに抱き着いてきたリヨウ。
こんなに喜んでもらえるなんて…。提案して良かったな~。
小さな頃から経験してきた事が、こんな形で役に立つ日がくるなんて!
お庭作りなんて自分だけの趣味と思っていたけど…。沢山の人が良さを知ってくれれば
もっと需要も増えるかもしれないわね!これは…。ビジネスの匂いがするわ!
クン。クン。
わたしは、リヨウと同様メモを取り出して思いついたことを取りまとめた。
お庭のプロデューサーとか面白そう!依頼に合わせてお庭を作ってその後のメンテも引き受けて…。
うん!ビジネスとしてやっていけそう!帰ったら本格的に計画を立ててみよう!
わたしも思わぬところで、アイディアを得ることが出来た。
やっぱり色んな人に会って話すことって大切ね~。
そうしみじみ感じたのだった。
最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)
ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!
ちょっとでもいいなと思ったら、
広告の下の☆☆にぽちりしていただけると嬉しいです(#^.^#)
感想・ご意見お待ちしております!(^^)!