125.気持ちを形に
やっと更新できました!(^O^)/
「まぁ!黒綾殿は、反抗期がなかったのですね!」
「そうなんです。これと言ってそんな時期はなく、いつもいい子でした」
「怜秋は今、反抗期みたいな感じで…。結婚に反対されてしまってるんです」
「それだけ怜彬様がお好きなのでしょう。結婚の反対くらい可愛いものです」
黒爛殿が来訪した次の日、わたしは黒爛殿に少し時間を貰って中庭で話をしていた。
やっぱり歳の離れた弟をもつ者同士、会話が良く弾んだ。
穏やかに微笑みながらわたしの話を聞いてくれる黒爛殿。落ち着いた大人の男性といった感じで安心感がある。
それに何と言っても綺麗系なイケメン!目の保養にもってこいだった。
雷覇には念押しされて隙を見せないようにと言って送り出されてしまった。
そんなに隙だらけかしら?わたしって…。
黒綾殿は雷覇達と一緒に仕事している。
黒爛殿が黒秦国へ帰るのは明日だった。
「そうですよね…。だから、雷覇との結婚はもうしばらく先です」
「それは、仕方ないですね…。弟に反対されたら弱いですから」
「ええ。怜秋はまだ12歳ですし…いきなり離れるのも可哀想で…」
「まだまだ甘えたい年頃でしょう。黒綾もそれくらいの時は、よく僕に甘えてきてましたよ?」
ゆったりとした動作でリョクチャを飲みながら、話す黒爛殿。とても優雅で見とれてしまうほどだった。
気品があるってこういう事なのかしら?
「やっぱり、もう少し甘えさせてあげた方が良いのかしら?」
「本人の気の済むまでさせるのが一番ですね。あとから根にもたれても大変ですし」
「たしかに…。ありがとうございます!色々話を聞いてくださって」
「いえ。これくらいお安い御用ですよ。それにしも夏陽国のリョクチャは美味しいですね」
「やっぱり!黒爛殿もそう思いますか?」
「はい。渋味の中にも深いコクがあって、飲むほど味わいが増します」
流石!黒爛殿だわ。表現がとってもお上手。商品のキャッチコピーに使わせてもらおう!
わたしは心の中でこっそりメモを取った。
「リョクチャ事業では黒綾殿にいつもフォローしてもらって…本当に助けられてます」
「弟がお役に立てたなら、良かったです。あの子もやりがいを感じていることでしょう」
「そうだと嬉しいです!あとは黒秦国の布地も一緒に販売することになったので、その時はまたお世話になります」
「我が国の名産品を使用して頂き、ありがとうございます。怜彬殿」
「このアイディアは黒綾殿のものなんですよ」
「そうですか…。あの子が…」
「ユノミの下に敷いてみてはどうか?と提案してくれたんです。とっても素敵なアイディアですよね」
「黒綾が自ら進んで意見したのですか?」
とっても驚いた様子の黒爛殿。そんなに珍しい事なのかしら?
普段の黒綾殿はとても活発で、思いついたことは素直に発言するイメージだけど…。
「ええ。他にも色々意見してくれてますよ」
「そうですか…。よかった。小さなころから控えめで自分の意見は言わない子でしたから…」
「そうだったんですか…」
「どちらかというと、僕の後をくっついてくる子でした。それが可愛くてつい…僕も甘やかしてしまったんですが」
「ふふふ。わかります。とってもかわいらしいですものね」
「はい。とくに5、6歳の頃は本当にかわいくて…。夜寝る時も一緒でした」
懐かしそうに微笑む黒爛殿。本当に黒綾殿の事を大切に想っているのね…。
彼に話し方や表情からは黒綾殿をどれだけ大事にしているか伝わってくる。
「わかります!わたしもその頃は、怜秋と一緒に寝ていましたわ」
「怜彬殿もですか。ああ、やっぱり!あなたとは気が合うと思っていました」
「わたしもです!黒爛殿」
それから、二人で弟トークを思う存分楽しんだ。
黒爛殿はいたって紳士的で、わたしに触れることもなく穏やかに時間は過ぎて行った。
やっぱり…。雷覇の考え過ぎじゃないかしら?
そもそも、雷覇の婚約者と分かっていて何かをする人のほうが珍しい…。
黒綾殿はその部類に入ってしまうのだけれど…。
これは黒爛殿には黙っておこう!と思いその話題については触れなかった。
主に弟達の小さな頃の話でおおいに盛り上がっていた。
「それでは…。怜彬殿。今日はお時間いただきありがとうございます」
「こちらこそ!ありがとうございました。黒爛殿」
「また、弟を持つ者同士、沢山お話ししましょう」
「ええぜひ!次回を楽しみにしています」
そう言って、庭園の前で黒爛殿と別れた。
とっても有意義な時間だったわ~。やっぱり誰かと好きな事の話をするのは楽しいわね!
ホクホクとした気持ちで私は別邸に戻った。
別邸に戻ると、仕事を終えた雷覇が待っていた。
「お帰り…。怜彬」
「ただいま!雷覇」
雷覇が迎えに来てくれて、そっとわたしを車椅子から抱き上げてくれる。
歩いてもいいんだけどな…。と思ったけど、機嫌が悪くなったら嫌だから言わないでおこう!
「黒爛殿とは、楽しく過ごせたみたいだな」
「ええ!とっても楽しかったわ、弟を持つ者同士。共通点が多かったの」
「そうか。良かったな」
「黒爛殿は最後まで紳士的だったわ。何もなかったもの」
「なら…いいんだ」
軽く微笑んでわたしの頬に口づけする雷覇。
うーん…。二人で話していたことを気にしているのかしら?元気がない気がする…。
雷覇がソファにわたしを座らせて、自分も横に座る。
わたしは手をのばして、雷覇の首にぎゅっと抱き着いた。
「れっ…怜彬!どうしたんだ?」
「なんとなく…」
驚きながらも雷覇はそっと抱きしめてくれる。
わたしが好きなのは雷覇だけなのにな~。
どうしたらそれって伝わるのかしら?彼以外の人を好きになんてならない。彼以外欲しくないって思ってるのに。
「怜彬…。なにかあったのか?」
「ううん。雷覇にくっつきたいなって思っただけ」
「そっ‥‥そうか‥‥」
雷覇の声が少し上ずってる。もしかして…、照れているのかしら?
そっと離れて雷覇の顔を覗く。すると顔を真っ赤にして照れた雷覇の顔があった。
「ふふふ。雷覇ってば、顔が真っ赤だわ」
「え…。いや…怜彬から抱き着かれるとは思わなくて…」
目をそらして、伏し目がちに話す雷覇。かわいい!
雷覇が照れるって珍しい…。いつもは余裕って感じの態度なのに…。
雷覇の意外な反応に、わたしは思わずきゅんとなってしまった。
いつも、雷覇からのスキンシップが多いし、わたしからもスキンシップ増やしたら
好きって伝わるのかしら?雷覇の反応がかわいいし、ちょっとこれからやってみよう!
わたしは密かに決意した。
「わたしが好きなのは…雷覇だけよ?」
「そうだな…。すまない…疑ってるわけじゃないんだ」
わたしはそっと雷覇の頬に手を当てた。
雷覇がコツンとわたしのおでこに自分のおでこを当ててくる。
やっぱり、黒爛殿と何かあったのでは?と気にしていたのね…。
あるわけないのに…。黒爛殿はとても理性的な人だ。
感情で何かをするって感じにはどうしても見えなかった。
だけどそれが雷覇にとっては、何もない保証にはならないと言いたいのだろう。
難しいな…。ふと視線を雷覇の首元にやると、以前わたしがあげたネックレスが見えた。
「雷覇…。着けてくれてるのね…それ」
「ああ…。これか…もちろん毎日身に着けているよ」
「ありがとう。嬉しいわ」
「怜彬がくれたものだからな…宝物だ」
とても嬉しそうにペンダントを手に取って見つめる雷覇。
彼が大事にしてくれていると感じてとても嬉しかった。プレゼントしてよかったな…。
なにか他に身につけれるもので、プレゼントできるものってないかしら…?
雷覇からは沢山の贈り物をもらうけど、わたしからの贈り物は少ない。
この前あげたブローチくらいだった。
あ…。フィタを作ってあげるのはどうだろう?
秋唐国ではお守り代わりの物で一般的なものだった。
当たり前すぎて忘れてた!よし、今度それを作って雷覇にあげよう!
小さい頃に何度か作ったきりだが、リンリンに教えて貰えば何とかなるだろう。
そう考えるとワクワクしてきた。何色の糸で作ろうかしら?
わたしは雷覇が受け取ってくれた時の事を想像しながら思いを巡らせた。
最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)
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