10.甘々生活スタート~宝石の貴公子VS銀獅子~
久しぶりの怜秋君です(#^.^#)
シスコンは今も健在です
怜秋と雷覇殿がバチバチ睨みあっている横で、わたしは知らんぷりしてラカンが入れてくれたお茶を飲んでいる。
今日は三人で茶室でお茶をすることなった。わたしの左側に雷覇殿。右側に怜秋といった具合に座っている。
ラカンもいるしイケメンに囲まれて、まるで今日はハーレムだね!!
全然うれしくないけどね!!
「はぁ…。今日もラカンの入れるお茶はおいしいわね!」
「恐れ入ります」
「夏陽国の家臣は有能な方が多いんですね!国王が一か月も不在にしてても政が回るんですから」
ニコニコしながら怜秋が雷覇殿に話しかけている。今日も怜秋はかわいい!!
これで雷覇殿がいなければ二人でゆっくりお茶できたのに。全くもって残念極まりない。
「我が国の家臣は皆、優秀だからな。ある程度のことは王がいなくても事足りる。わざわざ国王が仕事をしなくても十分だ」
雷覇殿もニコニコしながら怜秋に話しかけている。でもなんか言葉にトゲがあるぞ~?
なんでそんな感じになるんだろ?怜秋はこんなにかわいいのに。
「まぁ、まぁ二人とも話はそれくらいにしてお茶にしませんか?あっ、怜秋のお茶はこれね!」
「ありとう。姉さん」
わたしは、いつもの癖で怜秋にお茶を手渡しした。本当はラカンの仕事だけど、わたしが構いたいからいいのだ!!
だって姉だから!!お姉ちゃんは弟の世話を焼く生き物よ。うん。うん。
「…。随分と過保護にされているんだな。弟殿ことを」
「あら?そうかしら?普通だと思いますけど」
「雷覇殿、弟などと呼ぶのは止めて頂きたい。僕はあなたを認めてませんよ?」
「それは失礼した。怜秋殿。でもいずれ怜彬殿と
結婚するのだ。怜秋、私のことは、あにうえと呼んでもかまいませんよ?」
「だれが?兄上なんです?僕には姉しかいませんけど」
それにしても、今日のお菓子もおいし~!!!マドレーヌにクッキー。どれもわたしが好きなお菓子だ。毎回、王宮に来るたびに雷覇殿が、城下街で購入しているらしい。全然イメージが湧かないけど!!
聞いたところによると、お店に雷覇殿が現れるたびに、女性客が大勢押しかけて大変な騒ぎになり収集がつかなくなるそうだ。
もうすっかり街でも有名人になってしまっている。しかも国王ということも隠していない。
巷ではわたしを口説くためにわざわざこの国まできた。恋に落ちた銀獅子、【死神姫】に心を奪われた銀獅子とまで言われている。
うげーーーー。ほんとやめてほしい。なんにも落ちてないし、奪ってもいない。ひどい風評被害だ。
しかも!!!街ではわたしと雷覇殿を題材にした、ラブロマンスの小説が大流行しているらしい。本当にやめてください!!
あとなぜか、怜秋と雷覇殿の小説も大人気らしい…。姉としては複雑だわ!
一度リンリンに本を買ってきてもらって中身をみたけど、すごかった…。いろいろと…。
わたしに求婚するために、秋唐国に来た雷覇殿だったが、怜秋を一目見た瞬間に好きになり
わたしをそっちのけで、がんがんアピールしていくという話だった。
雷覇殿が甘々なのはわかるけど、それに応える怜秋の描写がツンツンしているけど時々デレデレになる。
いわゆる、ツンデレというらしい。うーん。怜秋は基本的にクールだとおもうんだけどね~!!
まぁ、物語だし想像(妄想に近い)の中だからいいんだけどね!!
「あっ。怜秋、ほっぺにお菓子がついてるわよ」
わたしは怜秋のほっぺにくっ付いていた、お菓子の欠片を取ってそのまま食べた。??
なんか身に覚えのあるやり取りだな?なんだっけ?
「ありとう、姉さん。でも人前では恥ずかしいよ…」
「ふふふ…。照れちゃって、怜秋は本当にかわいいわね~」
「姉さんのほうが可愛いよ。お茶のお代わりいる?」
「あっ。いたあだくわ!ありとう。怜秋。」
照れてる怜秋も、かわいい~!!!やっぱりまだまだ、子供よね!!
それにしても、な~んか左側が寒いのよね!前から思ってたけど、わたしと怜秋が話し出すと雷覇殿の方から寒い風が来る…。
おこってる…のよね?多分…。いった何を怒っているのかしら?おこる部分ってあった??
「それにしても本当に美味しいお茶だわ!渋いけど旨味もあって、後味もすっきりだし。お菓子にもぴったり!
このお茶は雷覇殿が持ってきてくれたものですよね?」
「ああ。そうだ。怜彬殿に気に入って貰えて嬉しいよ!!このお茶は我が国でも多く栽培している茶葉でな。リョクチャという」
「そうなのね~。だから器もいつものと違うのね!ユノミ?って言うんですよね?」
「そうだ。元々は東の国にある茶葉だそうだが、何代か前の国王が気に入ってな。それ以来、国をあげて栽培している」
「こんな美味しいお茶を毎日飲めるなんて羨ましいです!」
「なら毎日飲めるように、怜彬殿に届けさせよう」
「いいんですか?」
「問題ない」
「ありがとうございます!!それなら、わたしの国で販売してはいけませんか?この味ならちょっと値段が高くても受け入れられると思うんです!」
やった~。タダでこのお茶が飲めるなんて嬉しい!!
しかも商売のチャーンス!!しかも相手は雷覇殿。惚れた弱みに付け込んでるようで悪いけど
おねだりしたら、格安で仕入れることができそう!!!ふふふ。
「それは素晴らしい考えだ。我が国としても武器以外の収入源が増えるのは喜ばしいことだ」
「器も一緒にセット販売にしたら贈り物の需要とかありそうですよね~。季節ごとで包装とか変えて販売しても面白そうです」
ああ。考えるだけで楽しいな~。器のデザインも考えなくっちゃ。ペアの器とか可愛い柄の器とか!!
お茶の入れ物も、富裕層向けには高級感があるように陶器で販売して、一般向けには簡単な紙のパッケージで販売しもよさそう。ルンルン♪こういうの考える時が一番楽しいわ!!
でもなぜか今度は右側がブリザードだわ!!怜秋は何を怒っているの??それとも気のせい??
「ハハハ!怜彬殿は本当に、王女らしからぬところがあるな!」
「えっ?そうですか?」
「ああ。とても柔軟な発想力だ。この国の民は幸せだな」
「いえいえ。それほどでも~。ホホホ~」
「そんな女性を妻にできるわたしはさらに幸せ者だな」
っぶぅ!!今まで平和だと思ってたのに急に来るね!甘々攻撃!不意打ちだから攻撃力増し増しだ!!
「己の利益だけ考えず他者のために心を砕く…。まさに建国の神そのもの!!しかも容姿は愛らしく、美しい…。まさに完璧だ」
出た!!いつもの熱烈過ぎて内容が伝わらないヤツ!!!
「雷覇殿は熱でもあるんですかね?それとも宗教の熱烈な信者かなにかですか?」
いいぞ!怜秋!もっと言ってやって!!!本当に雷覇はいつも、話し出すと止まらない暴走機関車なのよ!!!
「怜彬殿を表現するにはこれくらいは当然だろう?怜秋殿には理解できぬと思うが…。なにせ弟だからな」
「そうですね。いつも一緒にいる姉上は可憐で明るくてまるで少女のような人ですからね。本当は!」
「雷覇殿が言っているような、訳の分からない神とは違いますから」
そうだそうだ!!怜秋!いいぞいいぞ!!わたしは別に神でもなければ、女神でもない。そんな大層なものじゃない!
「怜彬殿の良さがわからないのだな…。怜秋殿は」
「あなたの言う良さなら理解しなくても問題ないですね」
う~ん。この二人の相性は最悪だということが分かったことと、リョクチャの輸入販売ができそうだということが
今日の成果?なのかな…。
雷覇殿が滞在するのもあと、一週間どうぞ!!無事に終わりますように!!
神様!マジでお願いします!!!
お読みいただきありがとうございました(^O^)/
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