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116.仲直り


怜彬れいりん様!告白成功おめでとうございます!」


声のピッタリそろったリヨウとスバルに笑顔でお祝いされた。

とっても嬉しかった。わたしは彼女たちの仕事場へ足を運び結果を報告していた。


「いや~。成功して本当に良かった!」


「ほんとうに!どこでどんな風に告白されたのですか?」


「え…。それは…その…」


リヨウとスバルの間に挟まるようにして座るわたしは二人から質問攻めに合う。

二人とも目がキラキラして興味津々といった表情だった。

ううう。恥ずかしい…。でも、二人には相談に乗ってもらった手前ちゃんと報告しないと…。


「お城のはずれにある高い塔へ行ってそこで二人で花火を見たの…それで…」


「それでそれで?」


「花火が終わった後に、好きって…いいました…」


「きゃー!!」


両脇から二人に抱きしめられて体が火照ってくるのを感じる。

すごく恥ずかしいけど、二人が喜んでくれて嬉しいな…。ふふふ。


「そう言えばリヨウはどうだったの?ラカンと見て回ったのでしょう?」


「すっごく良かったです~!ラカン様は優しくスマートにエスコートしてくれましたし、衣装も褒めてくれました!」


「良かった~!じゃあ上手くデートできたのね!」


「はい!今度のお休みに一緒に城下街を回ろうと約束もしました!」


「えー!!すごい!」


怜彬れいりん様が作ってくださった衣装のおかげですよ~」


「それだけじゃないわ!きっとリヨウ自身が良いなって思ったからよ!」


「これでリヨウも脱・おひとり様だな!」


「バンザーイ!本当にありがとうございます!怜彬れいりん様」


またリヨウに思いっきり抱きしめられる。

かわいいな~。どんなことを話して何を食べたとか何を見たとか楽しそうに話すリヨウ。

こちらまで和やかな気持ちになる。


「リヨウはこれからだとして、怜彬れいりん様はいつ雷覇らいは様と結婚するんですか?」


「うーん…まだまだ先かな…」


「え?何でですか?もう両想いですよね?」


「弟の怜秋れいしゅうが凄く反対してて…。それで昨日も喧嘩しちゃって…」


「あちゃ~。そうなんだ…。やっぱり家族には認めてほしいもんね」


スバルにポンポンと頭を撫でられてて慰められる。


「そうなの。まぁ…。わたしは焦ってないしゆっくり時間をかけてやろうと思う。結婚は一生の事だから…」


「そうよね~。こじれたままだと一生そのままの可能性あるもんね!」


「そうだね!二人とも若いんだし今は恋人気分を楽しんだらいんじゃない?」


「うん!そうする。ありがとう…ふたりとも」


「どういたしまして!」


また二人同時に言われて抱きしめられる。

ちょっと落ち込んでたけど、元気が出てきた…。

明日には怜秋れいしゅう秋唐国しゅうとうこくへ帰るしその前に

ちゃんと仲直りをしよう…。


「でも雷覇らいは様、よく我慢してますよね~。ずっと結婚したいって言ってるのに」


関心しながらリヨウが話す。


「ほんと怜彬れいりん様にぞっこんなのね~。凄いな~」


しみじみしながらスバルが話す。

改めてそう言われると、雷覇らいはには感謝しかない…。

ずっと待っててくれた上に、結婚するタイミングもわたしに合わせてくれている。


「そうよね…。結婚を待ってる間に嫌われないようにしないと…」


「それは絶対にない!!」


また二人同時に突っ込まれてしまった…。

そうなのかな?人の気持ちって変わるものじゃない?

良い方にも悪い方にも…。雷覇らいはが待ちくたびれて、婚約解消しないという保証もない…。


雷覇らいは様が、怜彬れいりん様との婚約にこぎつけるまでどれだけ耐えたと思ってるんですか!」


「スバルのいう通りよ!4年も前から片想いしてたんですよ?絶対に手放すはずがないじゃないですか!!」


「そ…。そうよね。ありがとうもっと自分に自信を持つわ…」


「そうですよ!怜彬れいりん様!」


二人に励まされてわたしは仕事場を後にした。

わたしはリンリンと一緒に、怜秋れいしゅうの元へ向かう。

昨日の今日でどういう状態かわからないけど、会わないよりはましだと思った。


リンリンによると、今日もわたしの庭園で珀樹はくじゅ殿と一緒にいるらしい。

ほんとうに仲がいいわね!うん。うん。いい事だわ~。

庭園のテラスで楽しそうに話している、怜秋れいしゅう珀樹はくじゅ殿を見つけた。

ほんとうに二人ともお似合いだなと感じた。そして綺麗アンドかわいい!!

絵になるわ!写真に収めたいくらいね☆



怜秋れいしゅう珀樹はくじゅ殿!」


わたしは二人に話しかけた。


「姉さん…」


怜彬れいりん様!」


怜秋れいしゅうはちょっと気まずそうにしている。

珀樹はくじゅ殿はいつものように朗らかな表情だった。


「二人ともお話し中にごめんなさい…。ちょっと怜秋れいしゅうと話がしてくて」


「良いですよ。わたしもちょうど明日の準備があるので戻ろうと思っていた所です」


気を利かせて珀樹はくじゅ殿が席を外してくれた。

わたしは怜秋れいしゅうの隣腰かけた。下を見て話をしない怜秋れいしゅう…。

やっぱりまだ怒ってるのかしら…。


怜秋れいしゅう…。昨日の事なんだけどね…」


「姉さん!昨日はごめんなさい!」


怜秋れいしゅうが頭を下げて謝る。

やっぱり…。怜秋れいしゅうはいい子ね…。

わたしは怜秋れいしゅうの頭を撫でる。


「いいのよ。気にしないで…。わたしも言い方が悪かったの」


「ううん。姉さんは悪くない…。僕が子供だったんだ…」


「だって子供でしょ?怒って当然だわ…」


「違うんだ…。僕…自分の事ばっかりで…。姉さんの気持ちを考えてなかった」


怜秋れいしゅう…」


雷覇らいは殿が認められないのは、姉さんが取られたように感じたからなんだ…」


「そうだったの…」


わたしはじっと怜秋れいしゅうを見つめた。

怜秋れいしゅうもわたしをじっと見つめる。綺麗なルビーのような瞳にわたしの姿が映る。

怜秋れいしゅうは、泣きそうな、切なそうな顔をしていた。


「僕…。本当に姉さんが好きなんだ。姉じゃなくて…女性として…。だから、どうしても雷覇らいは殿を好きになれない。今はどうしても、悔しくて…」


怜秋れいしゅう…そうだったのね。ごめんね…わたし気が付かなくて」


怜秋れいしゅうがそんな風に考えているなんて思いもよらなかった。

ずっとかわいい弟だと思っていたから…。

だからあれほど結婚に反対していたのか。わたしは納得がいった。

怜秋れいしゅう雷覇らいはに対する冷たい態度や言葉も、私が好きだからだったのだ。


「姉さん…ごめんなさい…嫌いにならないで」


怜秋れいしゅうが涙を流しながら乞うように謝る。

わたしは怜秋れいしゅうをそっと抱きしめて背中をさすった。


「ううん。怜秋れいしゅうは悪くないよ。わたしの事好きなってくれてありがとうね」


「ううう…」


むせび泣きながら怜秋れいしゅうがわたしにしがみついてくる。

誰が嫌いなるだろう…。こんなにかわいくて愛おしい弟が。

きっと怜秋れいしゅうの世界がわたしを中心にして回っていたから抱いた感情だろうと思った。

父も母もいない状態で、心の拠り所はわたしだけ。そんな状況を作ってしまった私にも非がある。

恋愛感情が入ってしまうのも仕方がない。でも、今彼は新し人と出会って世界が広がりつつある。

水覇すいは殿やムツリ、黒秦国こくしんこく黒綾こくりょう殿、それに珀樹はくじゅ殿…。

様々な人たちと出会っていくことできっと考え方や感じ方も変わってくるだろう。


「まだ…好きな気持ちは変えられない…」


「うん…」


「だって…ずっと…ずっと姉さんだけだったから…」


「うん…そうだよね…」


「まだ姉さんが好きなんだ…違う人だなんて考え…られないよ…」


怜秋れいしゅう…。無理に変える必要はないよ…。でも、閉じてしまわないで」


「姉さん…」


わたしはぎゅっと怜秋れいしゅうを力いっぱい抱きしめた。

人を好きになる感情は誰が何かできるはずがない。決めるのは自分だけだ。

わたしもそうだった。ずっと、炎覇えんはが好きで忘れられなかった。

ずっとそれだけ考えて世界から目をそらして閉じてしまっていた…。だから立ち直るのに

4年という歳月がかかってしまった。もっと沢山の人と会って話をしていたら変わっていたかもしれない。


「わたしもずっと炎覇えんはの事が好きで忘れられなかった…。でも、雷覇らいはと再会して色んな人と関わっていくことで変わることが出来たの」


「うん…」


「何年かかってもいい。ずっと想い続けるかどうかは怜秋れいしゅう次第よ…でも、怜秋れいしゅうの周りには素敵な人が沢山いるってことを忘れないで…」


「わかった…もっと他に目を向けてみるよ…ぐす」


「ええ。きっと楽しいことが沢山あるわ!珀樹はくじゅ殿と出会って良かったでしょう?」


「うん…。珀樹はくじゅ殿と話す時は素直になれるんだ…」


「それってとっても素晴らしい事よ?中々出会えるものじゃないわ…」


「そうだよね…。大切にするよ‥‥」


怜秋れいしゅうもわたしを抱きしめ返してくれる。

もう落ち着いて泣き止んでいるようだった。わたしは怜秋れいしゅうの頭を優しく撫でる。

彼がわたしを好きな気持ちには応えられない。

でも、何があっても彼を肯定し支えになっていこうと思う。


怜秋れいしゅう大好きよ…。弟としてだけど、でもそれは世界中で怜秋れいしゅうだけよ…」


「うん…。僕も大好きだよ…姉さん」


「じゃあ。これでもう仲直りね?」


「うん…。仲直りだね」


怜秋れいしゅうが泣き笑いながらわたしにまた抱き着いてくる。わたしは黙って受けとめた。

小さい頃の怜秋れいしゅうに戻ったみたいだった。

本当はもっと甘えたかったのかもしれない…。いつも我慢して自分の気持ちを言わなかったのかもしれない。

これからはもっと甘えさせてあげよう…。もう大丈夫って言われるまで…。

姉離れにはもう少し時間がかかりそうだわ…。わたしも同じかもしれないけど…。


その後少し話をして怜秋れいしゅうと別れた。

沢山泣いたせいで目は腫れていたけど、表情は明るかった。

雷覇らいはとのことはまだ認められないと言っていたけど、前向きに考えるとも言ってくれた。

それだけでも大きな進歩だった。

最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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