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112.建国祭~雷覇の建国祭~

好きな人のために何かをするときのエネルギーって凄いですよね!( *´艸`)

わたしはついついやり過ぎてしまいます…。ちょと雷覇と似てるかもと思ってしまいました

(#^.^#)

雷覇らいは目線。

*-------------------------------------*

~建国祭前日~


「サイガ、花火を見るのにいい場所はどこか知ってるか?」


俺は執務室で仕事をしている時にサイガに尋ねた。


「はぁ?お前さ、いったん何年建国祭やってんだよ?そんな事もしらないのかよ!」


物凄く顔を歪めて悪態をつかれた。

俺はムッとしてしまい、きつい口調で答えてしまった。


「知らないから、お前に聞いてんだろ!」


「俺に聞けば何で分かると思うなよ!それに知ってても誰にも教えない!」


「いつも美味しいお菓子の店とか教えてくれるじゃないか!なんで今回はダメなんだよ」


「それはだな…」


「なんだよ?」


ニヤニヤしながらもったいぶるサイガ。こいつ…。時々こういう態度になるよな。


()()()!リンちゃんと一緒に行くからだよ!」


ドヤァっといった顔で言い切られる。リンちゃん?誰だそれは?

まぁ…。誰でもいい。とにかく女性と見に行くから俺に教えられないと言ってるんだろう。


「そうかよ…。もういい、自分で探すよ」


「はじめっからそうしろよ!お姫様を喜ばせたいんだろ?」


「ああ…。そうだな…。自分で探してくる」


「まぁがんばれよ~」


ヒラヒラと手を振りながら部屋を出るサイガ。

今回ばかりはあいつのいう事が正しい…。怜彬れいりんを喜ばせたいなら

俺も努力をしなければ!よし…。まずは花火を打ち上げる場所を調べて…。

俺は水覇すいはが出してきた計画書に目を通した。


「ここから打ち上げるのか…」


花火の打ち上げ場所を確認したら次はどこで見るのが一番いいか?だ。

俺は夏陽国かようこくの都心部の地図を広げた。

花火の上がった角度、方角を考えて…。あー…。計算は苦手なんだが…。

頭を掻きむしりながら何度も地図と照らし合わせて計算する。

久しぶりに脳みそをフル回転させている気分だった。


「このあたりで見るのがいいのか…」


地図を見つめながら確認する。なんの障害物もなく尚且つ、人もあまり来ない場所…。

ひとつだけ思い当たる場所があった。小さい頃によく遊んでいたあの場所。

水覇すいは、サイガ、ムツリの四人で探検ごっこをして遊んでいた場所があった。

そこなら、滅多に人も来ないし花火を見る際に障害物もない。最適な場所だと思った。


「よし…。下見に行くか!」


俺は早速、その場所へ向かった。子供の頃遊んだきり足を運んでいない。

現状がどうなっているかが気になった。危険な場所になっているなら

怜彬れいりんは連れていけない。他の候補を探すしかなかった。

城を出て10分。その場所にたどりついた俺は早速中に入って点検をする。


「思ったより綺麗だ…」


当たりを見渡しながら呟く。埃っぽくはあるが、どこも綺麗に整備されていた。誰かが管理しているのだろう。

すこし掃除をすれば二人で花火見るには十分だった。

誰かに頼んで…。と思ったがサイガに言われた言葉を思い出す。

怜彬れいりんを喜ばせたいなら自分でなんとかしろ。その通りだと思った。

自分の力でやらないと意味がない。俺は急いで城に戻り掃除道具を持ち込んだ。

床や壁を拭きながら、怜彬れいりんと過ごすことを想像する。

…。怜彬れいりんが来るならこのまま座るのはまずいな…。それに何もないのもダメだ。

手早く掃除を終わらせて必要な物をかき集める為、俺は城中を駆け回った。


~建国祭当日~


俺は建国祭に出席する格好に着替えて怜彬れいりんを迎えに別邸へ足を運んだ。

朝早くから準備があるからと、リンリンに早々に部屋を追い出されてしまったから

怜彬れいりんにはまだ会えていない。

今日はどんな格好をするのだろう?別邸へ向かう足取りも軽くなる。顔がほころんでいるのを感じた。


部屋の前について扉をノックをする。


「どうぞ」


中なら怜彬れいりんの返事が聞こえた。

俺は扉を開けて部屋に入る。


怜彬れいりん、準備はできたか?」


「ええ…。もうばっちりよ…」


後姿だけでも、もう怜彬れいりんが綺麗だという事が分かる。

ますます嬉しくなるのを感じた。

鏡の前に座っていた怜彬れいりんが振り返ってこちらを見る。

女神だ…。本気でそう思った。長い綺麗な黒髪をサイドに流してゆったりと結い

俺の髪飾りをちりばめている。

マダムベリーの渾身の力作であろう服。怜彬れいりんの良さがよく引き立っていた。

それにしても…。今日の怜彬れいりんはいつも以上に艶があり色っぽい。

見ているだけでくらくらしそうだった。


怜彬れいりん、綺麗だ‥‥。今日は一段と輝いて見えるよ」


「ありがとう…雷覇らいはもとっても素敵よ…」


眩しい笑顔で微笑みかけてくれる怜彬れいりん

それだけでもう、天にも昇る気持ちだった。俺は怜彬れいりんに近づいて頬に口づけする。

よく見れば大胆に首筋があらわになっており、噛みついてと言わんばかりだった。

俺は努めて冷静を保とうと深呼吸する。落ち着け…。理性だ…。理性。


雷覇らいは…。これ、作ったの。良かったら付けて…」


おずおずと両手にブローチをのせて怜彬れいりんが俺にブローチを差し出す。

緊張しているのかわずかに手が震えていた。その手をじっと見つめる。

作って…。くれたのか?俺のために…。


「‥‥くれるのか?俺に…」


「うん…。夏陽国かようこくでは、戦場に行く人にブローチを渡して無事を祈るって聞いたから…」


「ありがとう…怜彬れいりん


驚きのあまり一瞬動きが止まってしまった。まさか怜彬れいりんがブローチをくれるとは

想像していなかった。ここ最近、そんな素振りもなかったはずだが…。

ブローチをよく見ると綺麗なピンク色の花が刺繍されていた。とても細かな刺繍だった。

作るの大変だっただろうな…。俺のためにここまで…。

そう考えた瞬間、全身の血が沸騰したように感じた。急激な速さで心臓が鼓動する。

俺は思わず手で顔を覆った。顔が真っ赤になってるに違いない…。


雷覇らいは…。あの…気に入らなかった?」


「いや‥すごく‥嬉しいよ。怜彬れいりん…」


もしかして…と一瞬、淡い期待を抱いた。これは…愛の告白ではないのだろうか?

さっきブローチを渡す手が震えていた。恥ずかしくてそうなったのではないか…。

…。いや早とちりは良くない。怜彬れいりんが告白するなら直接、話をしそうに思う。


怜彬れいりん。聞きたいんだが…。女性が男性にブローチを渡す意味を聞いていたか?」


「意味?無事に帰ってくるようにしか…。他に何かあるの?」


「‥‥そうか」


やっぱりか…。俺はがっくりして頭を垂らした。

そうだよな…。怜彬れいりんが知ってるはずないよな…。


雷覇らいは…」


怜彬れいりん!ブローチを付けてくれ!これで今日の模擬戦は勝ったも同然だ!」


俺は気を取り直して怜彬れいりんに向き合う。手作りの小物を貰ったのは初めてだ。

それだけでももう十分嬉しい。手間暇かけて俺のために作ってくれた…。

その事を思うと告白のことはどうでもいいと思えた。


「ちょっと不釣り合いだったかしら…花のモチーフなんて」


「そんな事はない!凄く気に入ってる。ありがとう、怜彬れいりん


「良かったわ!気に入って貰えて」


「この花は何の花なんだ?」


「桃の花よ!桃の花には天下無敵の意味があるのよ」


「そうか!じゃあ、今日の模擬戦にピッタリだな!」


そこまで考えて選んで作ってくれたのか!俺は嬉しくなってそっと抱きしめた。

ふわっと怜彬れいりんのいい香りがした…俺は思わず彼女の首筋に触れた。


「ひゃっ!」


驚いた怜彬れいりんがぱっと俺から身を逸らした。

いきなり口づけされてびっくりしたのだろう。顔を真っ赤にしてこちらを見てくる怜彬れいりん

かわいい…。


「びっくりした!雷覇らいは…。また印つけたの?」


「ハハハ、それはしてない。軽く触れただけだ」


「もう!恥ずかしいから…」


「誰も見てないのに?」


そう言って少し伏目がちになる。ああ…。本当に今日の怜彬れいりんは破壊力凄い…。

何なんだ?

かわいい上に色気もあるとか!!俺は何に試されているのだろう…。もはや試練としか思えない。

むしろ罰ゲームだ。口づけ以上の事はできない…。ひたすら理性と本能との戦いだった。


「髪の毛も乱れちゃうから…」


「じゃあ崩さないようにしよう…」


頬をピンク色に染めて、少し離れようとする怜彬れいりんを引き寄せて

俺はまた彼女のきめ細かな肌に口づけを落とす。


「んッ‥‥」


「この服のデザインはたまらないな…。首にかぶりつきたくなる…」


雷覇らいは…!そろそろ行かないと‥‥」


これ以上はダメだな…。怜彬れいりんがわずかに体を固くしたのを感じた。

でも…。


「…よし。そうだな。そろそろ行こう!」


「んんっ…!!」


彼女を抱きかかえるのと同時に怜彬れいりんに口づけをした。

もう少しだけ…。彼女に触れていたい。あと少し…。

彼女がぎゅっと俺の首に捕まる。いきなりの事で驚いたのだろう。

口づけした瞬間とてもびっくりした顔をしていた。それもまた可愛かった。


「はぁ…っ!雷覇らいは!」


「これで元気をもらった!模擬戦では怜彬れいりんに勝利を捧げよう…」


俺は歩きながら怜彬れいりんの耳元で囁いた。

少しでも俺の事を意識して欲しい。俺の気持ちに応えてほしい…。

そう思いながら彼女を見つめる。


この気持ちが届くなら…。この想いが怜彬れいりんに受け入れられるなら…

何だってしよう。今日の模擬戦も全力で挑もう。そして宣言通り勝利を彼女に捧げよう。


俺は足取り軽く別邸を出て行ったのだった。

*-------------------------------------*

最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

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