プロローグ
憂鬱だ。全くもって憂鬱だ。
長雨のせいでもなく、かわいい弟が忙しくてかまってくれないことでもなく。だ。
わたし怜彬は絶賛、テンションだだ下がり中。
「はぁ‥‥」
机に頬杖をつきながら窓の外を眺めてた。外はしとしと雨が降っている。
まったくどうしたものか‥‥。ため息しか出てこない。
「はぁぁぁぁぁ‥‥」
手元にある手紙を見ながらわたしは、どうしたらこの状況を変えれるか
必死で頭を巡らせていた。
手紙の送り主は夏陽国の王。雷覇殿。
隣国を治める王であり、軍事国家の最大当主。
狙った獲物は逃さない銀獅子の異名を持つ軍人でもある。
「もう無理。ラカン今すぐ結婚して!!」
「怜彬様意味が分かりません。できません。」
わたしは隣でのんびりお茶を注いでくれている、金髪碧眼のイケメン従者に訴えた。
あっさり拒否されたけど。くっそぅ~!!でもイケメンだから許す!!そしてお茶おいしい!!
「じゃあ尼になるかっ!」ポンっと手を叩いた。
「姉さん何言ってるの?馬鹿なの?」
すかさず傍にいたかわいいわたしの弟、怜秋に突っ込みを入れられる。
うぇうう‥‥。馬鹿とかひどい。でもかわいいから許す!!!そして今日もかわいい!
「よし!わかった!!死のう!!!」
わたしは飛び上がり窓に向かって走り出して、窓を開け思いっきり身を乗り出した。
「わぁぁぁ!!姉さん何やってんの?!」
「怜彬様落ち着いてください!」
二人の男性に止められたらさすがに身動き取れない。
ラカンに抱きかかえられて椅子に座らされてしまった。
「だって!だって!絶対無理!!!あり得ないし。結婚とかありえない!」
涙ながらにわたしは二人に訴えた。
届いた手紙の内容はざっくりまとめるとこうだ。
『我が愛しの女神であり命である怜彬
ようやく全て準備が整った。これで心を置きなく我が女神を妻に迎え入れることができる。
2週間後、そなたを迎えに行く。楽しみに待っていてくれ。
雷覇』
「もう!!2週間後とかありえないでしょ!!それにぜったい結婚なんてしないから!!!」
何が何でも阻止てやる!結婚なんてもうこりごり。
二度としないって誓ってるんだから。