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模型戦記  作者: BEL
第5章 王国の混乱
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第32話 おっさんズと王都への道 その2

 大英が王都への侵攻軍の編成に勤しんでいる所へ、契丹が訪ねて来たと連絡が入った。



「え、契丹氏がまた来たの?」


「性懲りも無く、今度は何を言い出すんだ?」



 秋津も半ば呆れている。

とはいえ、放置するわけにもいかず、会議室で応対する事となった。

城に居たマリエルは契丹達との会合には参加しないほうが良いと判断し、別室にて映像を見る事にした。


 契丹側は契丹自身とお付きの3名、合計4名来ている。 このため、スブリサ側は大英・秋津・ゴートの3名に、執政官を加えた4名で会う事とした。

一応人数を合わせるのが良いという判断だ。

早速契丹が挨拶する。



「お話をさせていただける機会をくださり、ありがとうございます」


「いえ、門戸はいつでも開いております。 あと、神獣騎士隊だけの判断では済まない事もあるかも知れませんので、執政官たる私が同席致しますが、お話につきましては、キッタン殿が話したい相手と存分にお話しください。 では、ゴート殿、進行は任せます」



 そう執政官が対応し、会議が始まった。

まずはゴートが問う。



「既に戦は始まっておるが、いや、もう大勢は決したと承知しておるが、此度は何用で参られた」


「そうですね、まずはそこをご説明いたしましょう。 本日機会を頂いたのは他でもありません。 先日の戦闘に置けるスブリサ側の行為について確認し、責任者の釈明をお聞きしたいと思いまして、機会を求めました」


「釈明ですと? それは何か良からぬ行いをした者が求められる行為であると承知しておるが」


「はい、その認識で合っています」


「……」



 大英は無言のまま契丹を見ている。



「私は先日、戦いのあった場所を視察してまいりました。 貴方方はご覧になりましたか?」


「いや、報告は受けておるが、我らが直接見た事は無い」


「そうですか、それでは責任感も沸いては来ませんね」


「どういう事だ」



 秋津はあからさまに不満そうなオーラを纏いつつ声を上げる。



「現地では多くの方が命を落とされていました。 彼らを殺したのは貴方方が召喚した兵器。 つまり、貴方方は殺人者であり、その責任がある訳です」


「なっ」



 秋津の顔色が変わる。



「ほほう」



 それまで口を閉ざして聞いていた大英が声を上げる。



「よく判りませんが、何か聞き違えましたかね。 『誰』に責任があると?」


「とぼけられては困りますね。 大英さん、貴方に責任があると言っているのです」


「これは異なことを賜る。 契丹さん、貴方は正当防衛という言葉をご存じでない?」


「正当防衛は知っていますが、ここでは成り立たないでしょう。 騎士達はスブリサの改宗を実現するために派遣されました。 大英さんの命を奪う為に送られたのではありません」


「ソレ、本気で言ってますか?」


「もちろん、正しき事を主張する。 私のモットーです」



 それを聞いて大英は、やれやれという感じでかぶりを振ると、音量を一段階上げて語る。



「承知しました。 貴方が『物事の表面のみ見て、実態を無視する』という進歩主義者に特徴的な物の考え方をする人物であると理解しました」


「なんですと、何が表面……」


「全責任はそちら側にあります!」



 大英は契丹の言葉を遮る。



「判らないなら一から説明しましょうか。 私たちはム・ロウ神の依頼により、スブリサの地にてレリアル神の軍勢と戦っている訳で、スブリサが滅んだり、改宗によってこの地から追放されるような事態となれば、依頼を遂行できません。

私たちには作業場としての家と、それを支える環境が必要であり、よくあるファンタジー小説のように『追放されたけど冒険者になってざまぁ達成大活躍』という訳にはいかないのです」


「しかし、それは貴方方の都合であり、人の命を奪っていい理由にはなりません」


「では、侵攻して来る『軍隊』に対し、どのような手段で『諦めて』帰っていただけると?」


「それは、もちろん、話し合いで」


「誰が?」


「それは、貴方自身でも良いでしょうし、使者を遣わす事も出来るでしょう」


「その使者の安全は誰が保証するので?」


「え……」


「話し合いで解決できるのは、『話し合った方がメリットがある』時だけでしょう。 大軍で侵攻して来て、勝利を信じている相手が聞く耳を持っている訳が無い。 『首を刎ねて送り返せ』となるのが関の山でしょう?」


「そんな野蛮な事をするはずが……」


「無いと言えるのですか?」


「いや、それは……。 ですが、それはあくまで可能性の話ですし、うまくいけば……」


「うまくいく? それはどんな状況ですかね。 『落としどころ』なんて無いでしょう。 勝てば全てを得られる。 そして勝つことに疑いを持っていない。 そんな状況で『話し合い』に応じる間抜けが何処に居ますか。 使者を送っても、死人が一人増えるだけ。 それも敵では無く仲間の死人が」


「そ、それでも、貴方方が大勢の命を奪った事実は変わりません。 情状酌量の余地はあれど、罪は罪」


「『情状酌量の余地』? 侵略者から身を守る行為は世界的にも『正しい行い』だとされているはずですが。

なんで『悪の所業だけど、特別な配慮で罰を軽くしてやるから、ありがたく思え』みたいな言われ方をされないといけないのでしょう」


「いや、実際殺人者じゃ……」


「おや、進歩な人たちのいつも言われている事と矛盾しますね。 第二次大戦で日本兵は一人も死んでいないのですか? 日本兵どころか、一般の市民すら80万人近く殺されているのですが、連合軍は『日本軍国主義を打倒』という正義を成したみたいなことを、語っていたような気がしたのですが」


「え、いや……」



 歴史に疎い契丹にとってこれは良くない流れだ。 だが、彼の仲間や先輩達の中には、大英が指摘するような「日本は悪・連合国は善」という主張をしている者も少なくない。 何しろ一般的な歴史教育でそう教えているのだから「世の常識」であり、それを検証しようとする人間はいない。 だから進歩主義でもそれについて考察した事は無いのだ。

おかげで、進歩主義者にとってアメリカ軍は「戦時中は善・戦後は悪」といういつの間にか評価が逆転していたりする。

まぁ、「連合軍」に所属しているのがソ連軍や中進(人民解放)軍に限定されているというトンデモ主張をする派閥もあったりするが、さすがの契丹もそこまで荒唐無稽な主張には与していなかった。


ちなみに、世間一般では「戦時中は軍国主義を打倒した善・戦後は日本を守る同盟国なのでやっぱり善」という事で、評価は一貫している。



「正しければ、一般『人民』を何十万人殺しても無問題。 それが『世界の常識』ですが。 そして我らは一般「民衆」を一人も殺していません」


「い、いや、物資を運んでいた人にも死者が……」


「軍に徴用されたのだから、兵では無くても『一般』では無いでしょう」


「そんな無茶な」


「無茶? これは異なことを。 貴方、源義経を無茶な奴と考えていますか?」


「へ? みな……?」


「義経ですよ、源平合戦とか弁慶とかで有名な」


「あ、いや義経は権力者の犠牲になったヒーローだったと……」



 源義経、契丹にとっては特に馴染みのない人物。 ドラマでヒーローとして描かれたり、バラエティー番組で「好きな武将」「好きな歴史上の人」でランクインする人物という程度の認識だ。

それとは別に進歩主義的には「頼朝という権力者によって命を絶たれた『犠牲者』」という側面について語る同志も居るという程度の存在だ。

「反権力・判官びいき」という点から、政権批判の道具として使おうとする同志について、契丹は「そんな遠い昔の人物が役に立つのか?」と疑問を持ったぐらいで、無関心だったと言うのが正解だ。

よって、その反応は「当たり障りのない通り一遍」なものとなる。



「そうですか、これはオカシイですね。 義経は船の漕ぎ手を殺すよう指示した。 つまり『慣例に反して兵士で無い者を殺せ』と命じたブラック武将なんですが」


「え、なんの事……」


「現代で言えば、人間の盾を使い、毒ガスでテロ攻撃するような『国際法違反』な戦術を好んで多用したような輩ですよ。 それをヒーロー視するのなら、軍の為に軍勢に加わって物資を運んでいた者が攻撃に巻き込まれたとしても、気にする事など無いでしょう。 意図して狙っても問題ないのなら、巻き込まれたなんて話はなおさらですよね」


「いや、そんな話は知らない……」



 動揺の色が隠せない契丹。 語調も変わってしまっている。

いつもなら「その様な話は知りません」となるし、本来なら「その様なお話は関係ないのではありませんか」と返しているだろう。



「それとも、計画殺人は悪くないが、業務上過失致死は重罪だみたいな、『重みづけ』が逆転しているのが『進歩的』な考えですかな」


「そんな事は……」



 そうとう逸脱というか、脱線しているが、ここで重要なのは話のペースを誰が持っているかという事。

契丹は完全に主導権を失ってしまっていた。

その様子を見て、大英は話を終わらせようと、結論に向かう。



「そもそも、王や新宰相がスブリサ討伐などという事を考えなければ、彼らが命を落とす事は無かった。 責任を負うのは王や新宰相です」


「い、いや、それはスブリサが無礼を働いたからではないですか」


「はて、無理難題を要求するのは無礼では無いと?」


「お、王の命令であれば……」


「おや、進歩的なお考えとは相いれない事をおっしゃいますね」


「……」



 追い詰められる契丹。 相手を侮らず、準備して乗り込んだはずが、主導権を奪われ守勢に回っている。

これがテレビの討論番組のように、他にも無知な者が何人も参加していたら、彼らを味方に巻き込んで「数の暴力」で対抗できただろう。

特に義経や日本軍国主義打倒の辺りは、「一般人」を味方に付けられるネタであり、現代日本での「討論会」でこんな話題を出したなら完全に墓穴で、契丹の勝ちは揺るがないだろう。


だが、ここに「扇動できる無知な者」は居ない。

実質一対一の直接対決であり、「よく考えた事も無い者」を味方につけた「数の力」で押すという戦術は使えないのだ。


 もちろん、大英も「風を読む一般人」がこの場に居ないからこそ、この話題を振ったのである。

相手が「常識」として「特に考察した事が無い」と思われる話題で、矛盾点を突く。

つまり、「弱い所を攻撃する」というミリタリーの常識を応用したものだ。

相手の土俵で戦わず、自らの土俵に引きずり込む。

討論での必勝法のひとつである。 大英は特に専門教育は受けていないが、生来のスキルであった。


 とはいえ、元々契丹は政治家を目指さなかったこともあり、「数の力」に頼らずに相手を論破する事を実践してきた男だ。

それゆえ、「無知な民衆」が会議の場に居ない事を「不利な要素」とは認識していなかった。

むしろ「立場」故に「暗黙の支持者」に囲まれた「ぬくぬく」した環境で生きてきたため、一人での戦い方を忘れていたと言ってもいい。

結局、彼もまた自信過剰だったのだ。



「話は終わりですね。 お引き取りを」


「い、いや、終わっていません。 終わってはいないのです」


「?」



 契丹は姿勢を正すと語りだす。

契丹は大英の「人間性」を確かめようと質問をする。



「なるほど、多くの命が失われた『原因』は王や宰相殿にある。 それは承知しました。 そして、元をただせば私の行為が生んだ事でしょう。 ですが、『責任』までも我らにあると言えるでしょうか。 貴方もその目で惨状を見れば、考えが変わるのでは無いですか」


「変わりません」



 きっぱり言い切る大英。



「なぜ言い切れるのです」


「既に私や秋津はこの世界で、頭が犬や豚とはいえ人間の体を持つ存在が命を落とす様を見ています。 遺体では無く、今まさに死に行く姿を見ています。 そして、人が亡くなったのも、今回が初めてではありません。 何より、『現場を見ないと判らない』のは想像力が足りない人の言い訳です」


「想像力……」


「ちょっと考えれば分かる事でも、その『ちょっと考える』が出来ない人、少なくないですよね」


「……」


「進歩主義ではそういった人たちを扇動するのがお得意のようですが、残念ながら私たちは『そういう乗せやすい人』ではありません。 それに、『現場を見てー』という人の中には、『木を見て森を見ない人』も居ますよね。 それでは大局に立った判断は出来ません」


「判りました。 貴方の言う通りです。 私も責任についていずれ何らかの方法で取りましょう」



 契丹は原因だけでなく、責任もある事を認める。

だが契丹がやってきた本当の目的。 それは責任云々ではなかった。 その目的のため、最後の話題を振る。



「では、最後に一つだけ」


「何でしょう」


「人の命を奪う行いは悪い事です。 ですが、正しき行いの為に、それを敢えて行わねばならない事もある。 では、貴方は何を以て『正しい』と言うのですか。 責任が無い事が正しい証ですか」


「いいえ、原因のある者・責任のある者、そして償う者。 これらは実社会では一致する保証はありませんよね」


「そうですね」


「ですから、これらは『正しい』を示す指標にはなりません。 人類の歴史に答えがあります」


「歴史に?」


「ええ、全ての戦争では『正しい』国や勢力が勝利します。 これが答えです」


「どういう意味ですか、正しければ自動的に勝利する魔法が発動する。 そんな訳は無いはずですが」


「もちろん、そこに魔法などありません。 『勝てば官軍。負ければ賊軍』です」


「なるほど、その言葉は私も聞いたことがあります。 ですが、世界的に認められた概念ではありませんよね」


「そうですね。 アメリカが事あるたびに正義を語るのも、『正義だから勝った』事にしたいためでしょう。 『勝ったから正義』では格好がつかないし、戦っている最中の士気高揚の点でも、『戦いが終わる』まで正邪が不明では具合が悪いでしょう」


「人はパンのみにて生きるにあらず。 ですか」


「建前が必要という事でしょう。 でも、その建前を現実にしようとは思っていない。 だから『殺した人数が多いほうが正義になる』という現象が起きる。 国際法も『敗者を裁く』ためにしか使われず、どれだけ違反しようとも、勝てば『裁かれる事は無い』。 それを知ってるからこそ、勝利を信じる者は平気な顔で違反行為をする。 ただし、後ろめたいから、それを正義の行いと語る」


「判りました。 勝てば『正しい』という事ですね」


「ええ、この地では『建前』は不要です。 それが純粋なのか、神が実在するためか、文明が進んでいないためかは判りませんが。 とりあえず正義であると鼓舞する必要はありません。 悪を成す者は自分が悪行を行おうとしている事を自覚しているのでは? それを他人に隠す必要のある者だけが建前を必要とすると思いますよ」



 人類の歴史では、悪行をしつつ、正義を語る事が多くある。 全てとは言わないが、多くの戦争はそうだろう。

正義の為にやむを得ず、というより、悪行を隠蔽するため、正義を語る事例が後を絶たない。


だが、スブリサの騎士も、神獣騎士隊も、「悪を成している」という認識はない。


レリアル神との戦いはルールに則った実力の披露であり、多くの命が失われていても、それはスポーツのような扱いだ。

大昔の日本流に言えば、「武芸を競う」に相当する。 命のやり取りであったとしても、殺戮でも悪行でもない。


そして現王家との戦いは自衛のための戦い、悪しき野望を打ち砕く戦いだ。

何人犠牲が出ようとも、やはり、悪行ではない。



「そうなると、勝利の為により多くの犠牲を必要とすることになってしまいますが」


「それは仕方のない事です。 少なすぎる犠牲は、力を信奉する相手に誤解を与え、結果としてより戦乱を拡大するでしょう」


「なるほど、この地の騎士達と共に実際に戦っているだけに、その意見には重みがありますね。 どうやら私には色々足りないものがあったようです」


「判っていただけましたか」


「ええ、残念ながら今後も勝つために犠牲者が増え続けるのは止められない。 決着を付けるには犠牲は付き物なのですね」



 肩を落とし、暗い表情で弱弱しく語る契丹。

それは、完全に議論に敗れた事を自覚する姿であった。

先日論破されたのは、単なる準備不足や相手を侮った故の失敗だったかもしれない。

だが、今日は違う。

もちろん、戦術の失敗などもあるかも知れないが、この結果は偶然ではない。

論客としての力を尽くした結果なのだ。

犠牲者を一人でも少なくしたいという思いから論戦に挑んだが、結果は敗退であった。


 そこへ、扉を開けてマリエルが入ってきた。 そして契丹に向け語る。



「キッタン様、オオヒデ様は別に『犠牲を最大化』しようとはしていませんわよ」


「え?」


(わたくし)はオオヒデ様の作戦計画と、その実施を横で見ていました。 最小限の犠牲で最大限の効果を求めておられましたわ」


「なんと」



 大英は「あちゃ~」という顔をしている。



「そうでしたか、全く、私はピエロのようですね」



 契丹は苦笑いしながら、そう語った。

マリエルは単に事実を告げたかっただけなのだが、それは「追い打ち」という物だろう。

大英は口では「勝てば正義」と言いつつ、感傷的な「正義」にも配慮していたのである。

わざわざ契丹が「申し入れ」をしなくても、最初から犠牲を抑える方針で戦いを進めていたのだ。



「大英さん、貴方のような論客と若き日に出会えていたら、私の人生は違ったものになっていたかもしれません」


「……」


「それでは、失礼いたします。 リサエルさん、参りましょう」



 そうして、契丹とお付きの3名はスブリサを後にした。



「もしかして、私が止めを刺してしまったのでしょうか」



 マリエルの問いに、大英は「どうだろう?」と秋津に振るが、「知らん、俺に聞くな」と言われるだけであった。



 馬車の中、リサエルが契丹に問う。



「これからどうなさいます? 元の世界に帰られますか?」


「いえ、私にはこの戦いの決着を見届ける義務があります」


「それでは、決着が付いたら帰られると?」


「そこなのですが、しばらく自分を見つめ直したいと思います。 この世界の素朴な人々と、宗教界の方々や、説話を聞きに来られる農村の方々だけでなく、もっと色々な人々と交流したいと思いますが、構わないでしょうか」



 それを聞き、リサエルは笑顔を返す。



「もちろん。 お呼びだてしたのは私たち。 報酬ではありませんが、存分にこの地をご堪能下さい」


「ありがとうございます」



 この後、契丹は王都には戻らず、諸侯の元を巡りつつ、戦いの趨勢を見守るのであった。

用語集


・物事の表面のみ見て、実態を無視する

契丹は一般的な、様々な場で進歩主義を主張する「同志」ではなく、彼らを指導する「導師」を「指導」する立場だ。

(先生の先生ですな)

当然表面のみ見て語るような程度のアタマの持ち主ではない。

そもそも、「第30話 おっさんズと戦への道 その2」では

「そのような表面的な話をしに来たのではありません」

と語っている。

要は、話題によって表面と内面を使い分けているだけ。 そして、今回の話題では表面を「武器」として議論に臨んだという事。



・源義経

2022年の大河ではサイコパスな戦争狂に見えるが、これは例外中の例外。

義経が主人公なら当然だし、義経が敵方になる平家方が主役の大河でも、義経を悪く描く事は無かった。

まぁ、大英も契丹も2021年に召喚されているので、当該大河の内容・演出については全く知らない。

もちろん、大河以外でも義経はヒーローであって、法を無視するテロリスト扱いしているドラマや歴史バラエティショー、漫画、小説などはほぼ見当たらない。

精々歴史解説をしている学術的な書物で中立的に「武士としての教育を受けていなかった」と記述される程度の事。



・『重みづけ』が逆転

進歩主義の一派にゼロイチ思想という考え方がある。 この場合は「重みづけ」という概念自体存在しない。



・専門教育は受けていない

アメリカでは中学でディベートの授業があるが、日本では専門学校か専門科目のある大学で無ければ、教育機関で討論の方法を学ぶ機会はない。

大英も日本の学校にしか通っておらず、当然討論に関した専門教育を受けた事は無い。



・生来のスキル

社交的な人物(犬型人間)は「仲間を増やす/勝負に勝つ」事で目的を達成する。 他人の存在が前提だ。

そうでない人物(猫型人間)は「正しさを証明する/高みに到達する」事で目的を達成する。 自己完結している。

ヲタクや職人といったタイプの人間は猫型ですな。

競走なんかへの対応だと判りやすいかも。

 犬型 1位を目指す。記録更新は意味がない。(なんなら他が全員リタイアすれば100メートル50秒でも勝ちは勝ち)

 猫型 自己ベスト更新を目指す。何位になるかは気にしない。(なんなら新記録達成なら、ビリでもOK)


元の文章の流れなら、自らの土俵なら「正しさを証明」が容易になる。

相手が猫型なら、相手を否定していないから効果は薄いが、「数の暴力」を使う人間は犬型であり、「相手が正しい=自分が間違い」というオカシイ式が成り立つ傾向がある。

なので、数に頼った「取り巻き」に依存するタイプの相手を論破するなら、取り巻きが付いてこれず、当人も知見が不足している話題に巻き込んで自身の正しさを証明するという戦法は、有効に働く事がある。

しかも取り巻きが居なければ「話題を引き戻される」事もあまりない。

なお、リサエル達3人衆はこの場合「口を挟む」取り巻きには該当しない。



・人はパンのみにて生きるにあらず

正確には「人はパンのみにて生くるものに非ず」。

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