表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

終わりを告げられた女

──────終わる。と、思った。





「なぜ」


切り落とされた筈の私の首は、已然くっついたままである。


「なぜ」


目の前には、私を斬り捨て、この場へ送った、男が、血を滴ながら、怒りの形相で、私を睨んでる。


「なぜ」


私は、生きている?


「─────なぜ、とはこちらの台詞だ。シア」


男は、怒りと……何故か、悲しげな、様々な感情の入り交じった顔で、私を見ていた。


「何故、お前は一人で逝こうとする?

何故、お前は、助けをのべない?

何故、お前は、冤罪だと、言わなかった?

何故、お前は……君は、俺に、助けてと、冤罪だと、手を伸ばさなかった……!?

俺は、君に、そんなにも信頼されてなかったのか!?」


「レイ……………」


声が乾き、音にならない。


「シア、俺は、ただ………」


男、クロウレイ・リューシォンが、口を開いた。


「君が、一言、一言告げてくれたら、呪縛から逃れれたのに……」


「呪縛………?」


クロウレイは、苦しそうに、顔を歪めると、私を抱き締めた。


「すまない……。俺は、君を守りたかっただけだった。なのに、敵の姦計に陥り、君に……君に、酷いことを告げた。許してほしい、などとは言わない。

先程の言葉も撤回する。君が告げてくれなかったから呪縛から逃れれなかった、など、言い訳に過ぎないから………」


「レイ………」


「アイシア・ルークウェン、君の呪縛も、これでとかれた。形とは言えど、処刑は執り行われた。───シナリオも完成だ。」


「………シナリオ?」


顔をあげる、が白布が邪魔をして見えない。


「これで、満足だろう!?リリー・ルクシェン!」





※※※※※※※※※※※※※※


彼が、その名を呼ぶと、人垣が割れた。



現れたのは、一人の女。


私を陥れ、彼を変え、すべてを引っ掻き回した、女。


今、彼女は地に伏している。


かつて、彼女が陥落させた男たちの手により。


「嘘よ………!こんなの、シナリオにはなかった!!」


「そうだろう。この世界は、貴様が吟うシナリオとやらの通りに動いておらぬ!」



それは、かつて、彼女……リリー・ルクシェンに生涯を捧げると告げた、皇太子。



「好きでもねぇ女に、言いたくもねぇ言葉を言わされ続ける気持ちがわかるか?」


リリー・ルクシェンの体を取り押さえる、彼女のお陰で女嫌いが直ったと喜んでいた、騎士の息子が言う。



「貴女の力に踊ろされ、くるくる廻る我らは、さぞ滑稽でしたろうね」



リリー・ルクシェンを怒りの炎を宿らしながら睨む、引きこもりだった魔法使いの少年は掃き捨てる。



「よくも、大好きな姉様に、酷いことを言わしたね!」


「どっちが悪女か分からないよね!」


リリー・ルクシェンの手と足を結びながら、瓜二つの私の弟たちは、怒りを訴える。



「なんで!なんで!どこで間違ったの!?私は、私は、失敗なんてしてない!!」


リリー・ルクシェンは、キッと私を睨み付けた。


「お前が……お前さえ、ちゃんと悪役を演じれば!!私の私のための私だけのシナリオは………!!」


彼女の瞳は、すでに、男たちを籠絡させていった、純粋で優しげな色はなかった。


「アイシア・ルークウェン……………!!!!!」



「黙れ!リリー・ルクシェン!!この国を掻き乱した、すべての悪の根源よ!お前だけは、俺は、赦さない!」



「レイ……」



「地獄の業火に焼き付くされて、死ぬがいい……!この、悪魔が!」










この日、私の世界が終わるはすだった。


「リリー・ルクシェン!!お前を国家反逆罪で、処刑する!」


が、


「お前さえいなければ…………………!!!」



───────終わったのは、彼女の世界であった。

次で、終わりの予定です。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ