終わる。世界
はい、メインの小説を久々に手を付ける前に、指慣らしです。
今日、私の世界は、終わる。
悪逆非道を極めた、私の死をもって、私の世界は終わる。
この先に続く、彼らの描く未来と言う名の世界を、私が見ることは叶わない。
後悔は、ない。
この道が、間違っていたと、そう、理解していようと、私は後悔しない。
後悔するくらいなら、はなから、この道を選らばなかった。
「アイシア・ルークゥエン。時間だ。」
私は、静かに、この先で待ち構える、刃を見つめた。
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私は、アイシア・ルークゥエンと言う。
自分で言うのはなんだが、至って真面目で、権力に興味がなく、剣と本を好む、面白味のない、只の小娘だ。
それが、何故今処刑されそうになっているか。
それは、単純だ。
冤罪、だ。
私には、婚約者がいた。
私と違い、いつも楽しげな男だった。
今は、まるで何かに取り付かれたように、一人の女に夢中になり、元のよき部分は見る影もないが。
私は、その男とそれを取り巻く、否、それが近くにいたものたちに、騙された。とでも、言うのだろう。
『男たちが夢中になっていた女を貶めた』と
私は、学園の誰もから見放され、切り捨てられた。
友は、元より居なかったが、家族にまで、捨てられた。
まぁ、どうでも良いのだが。
いつのまにか、私のあだ名は、悪逆非道の女。
『悪女』と、なっていた。
生まれてこの方、剣と本にしか、興味を示さない、私が、である。
「あれが………」
「気味が悪いわ……」
「あんなやつ死んで当たり前だ!」
外に出たのか。
青い空が、私を照らし、民衆の前へさらけ出した。
途端、飛び込んでくる、罵詈雑言。さらには、石の礫。
なるほど、罪人とはこういう扱いを受けるのか
まぁ、私の見た目が気味が悪いのは、今に始まったことではないだろうに。
私は、この国では珍しい、黒髪に、目を白布で覆っているのだ。
それは、気味が悪かろう。
「ほら!跪け!」
跪いた、頭上に、白銀の刃が煌めいていた。
※※※※※※※※※
なるほど、私はこれに首を切断され死ぬのか。
「何か言い残すことは?」
「………………」
あー、もうひとつ、私が滅多と人前で話さないのも、気味が悪い、ひとつなのだろう。しらないが。
「っ!やれ!」
ひゅんっと風が切る音がした。
「今日、私の世界は………終わる。」
鮮血の花弁が、虚空へ舞い、白刃を汚した。
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────終わる。と、思った。
二話は、編集が終わり次第、出します。
追記:名前ミスしてたので、修正します。