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片思い歌  作者:
8/8

『   』

ごめんなさい、ごめんなさい

許して

もう消えるから思い出からも

ここからも

君の前からも

もう消えるから

有希は優の胸にナイフ刺し、大きくそれを捻る。

「あ゛…か゛!?」

腕の数倍、数十倍の痛みが全身を駆け巡る。

「痛いよねー絶対に、大丈夫もっと痛くしてあげるよ」

大きく開いた傷口に布を突っ込むと嫌らしい笑顔で笑いながら言う。

ナイフを引き抜くとまた違う所に浅く刺しては抜きを繰り返す。

血が留めどなく溢れて行く。

「あぐ…うぁ…」

優の声は悲鳴にすらならない。

悲鳴をあげる前に刺されては抜かれ、止血されを繰り返していた。

「ほら、コレ。優の血だよ?元に戻してあげる」

そう言って溢れ出る血を手で掬うと、優の口の中に流し込む。

「ゴホッゴホッゲホッ…」

「もう声も出ないのかな?残念、最後くらいお話したかったなぁ」

流し込まれた血を吐き出し、全身を赤く染めた優は睨みながら言った。

「私は…お前のその狂気が怖かったから雪を選んだ…学校で私を襲ったのもお前、幼い頃私をここに連れて来て監禁した

のもお前、有希だ!」

「あれぇ、上手く雪のせいに出来たと思ってたのに。別に良いけどもう」

首を傾げる有希に対して、今までの怒りを露わにし、騒ぐ優。

「…五月蠅いよ、優。これで最後だよ」

静かにナイフを優の首に当てると冷淡な声で問いかけた。

どのみち、今処置をしても優は助からない。

出血量の多さがそれを物語っていた。

「…最後か…そうだな…紙と鉛筆をくれないか…」

「…まぁ、それくらいなら良いよ」

有希は部屋の一角にある机の引き出しから紙と鉛筆を出すと優に渡した。

「……よし…これで良い…これで最後だ…お前に一つ伝えて…おこう」

文を書き終えた優はいつも雪に向けていた笑顔でこう有希に伝えた。

「最初に好きになったのはお前だったよ…ゆう…き…」

その言葉を告げた瞬間、優の呼吸は更に荒くなり目が虚ろになった。

「う…嘘でしょ?ずっと雪のことしか見てなかったのに、なんで今更…なんで…なんで…」

「お前が…凶行に走らなければ…雪は選ばなかった…さぁ…早くして来れ…このままでも苦しい…ナイフを引け…」

「う…うわぁああああ!!」

涙を流し、強く目を閉じると有希は力いっぱいナイフを優に押し当てて引いた。

「…」

空気の抜ける音と同時に優の命は消え果てた。

有希は自分を恨んだ。

最初から、幼い頃に凶行に望まなければ、優は自分を思っていてくれたのに。

どうして自分はこんな馬鹿なことをしてしまったんだろう。

有希は一頻り泣いた後、雪の中から、この世から自ら消えていった。

有希が消えた後、雪は強制的に締め出された。

「うっ…」

激しい頭痛と周りの赤の景色に血塗れで息絶えた優の姿。

「え…ゆ、優…?」

周りを見ても一体何があったのかよくわからなかった。

しかし、右手に握られた血塗れのナイフが己がやったという事を物語っていた。

「え、なんで?どうして…優…なんでなの…なんで…!なんで…なんで…!」

どうしてこんな事になってしまったのか。

雪は泣き喚いた。

大好きな大切な人の優が死んでしまった

自分の手のせいで。

「…有希を消しておけば良かった…」

今更悔やんでも意味はない。

もう優も有希も居ないのだ。

「あ…優…ごめんね。今解いてあげるから…」

血が抜けて青白い顔をした優の縄を解いて椅子から降ろすと、1枚の紙を発見した。

「…優…!」

紙を見て雪は泣いた。

全身の水分が涙になるのではというほど。

紙には優からの最後のメッセージ。

『私は雪を選んだ、大好きだよ』

「…もっと早く言ってよ…もう…優のバカ」

泣き笑いして雪は、その紙のメッセージの下に返事を書いた。

「これでよし」

目を擦って雪はナイフを握った。

「今行くから…愛しい愛しい優…もう片思いじゃないね…」

歌を歌い終わナイフを雪は自分の首を押し込んだ。

雪は薄れゆく意識の中で両手を大きく広げ笑った優を見た気がした。


片思いは両思いに。

2人は1人に。

2人はずっと一緒に居る。

ずっと…ずっと…。



『遅かったな、雪』

『ゴメンゴメン、ちょっと大変だったからね』

『…そうか』

『大好きだよ、優。愛してるよ、今度はずっと一緒に居よね』

『あぁ、勿論だ。私も愛してる』

『私は雪を選んだ、大好きだよ

私を選んでくれてありがとう、私も大好きだよ優』



如何でしたか?

有希を自分に似せて書きました。

かなり改造しましたが…

書いたのは自分なのに優と雪と有希の悲しい最後を考えながら涙目になってしまいました。

これはこれでハッピーエンドなのですけど。

書き終わった今でもを思います。

三人にはもっと選択肢があったのではないかと。



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