懐かしい白い部屋
前もここにあの子を閉じ込めた
僕はその時から壊れてた
あの子をアイツに取られたくなかっただけなのに
「…ここは…」
優が目を覚ました時、始めに見たのは、真っ白な天井と優しく輝く蛍光灯であった。
部屋の至る所に白がある。
その場所は優が良く知っている、場所に似ていた。
とても懐かしい場所に。
「…動けん…」
優は手足を拘束されていた。
しかし、拘束具にはタオルが巻かれていて、直接肌に触れないようにしてある。
まるで怪我をさせないように。
「あ、優、気が付いた?」
「…雪…」
木製であろう白い扉が開くと、灰色の盆に青の皿を乗せた雪が部屋の中に入って来る。
優は雪が自分をここへ監禁した犯人だと解ったが抵抗することも、逃げ出す気もない。
「大丈夫?腕キツくない?平気?」
まるでそれが普通であるかの様に、雪は優に質問をする。
いつもの笑顔を浮かべながら。
「…問題ない、だが、食事をする時などは外してくれ…」
「え、ヤダよ。私が食べさせるの!」
駄々っ子の様に喚く雪。
これではいつもの雪だ、今こんな事をしているのに…、優の気持ちは雪には伝わらず、結局涙を流し始めた雪に根負けして、食事を採った。
「…ん…」
「どう?美味しい?」
優に一口食べたせては聞き、食べたせては聞き、優は最初のうちは律儀に美味いとか、料理の腕を上げたななどと答えていたが、返す言葉が無くなり、今では頷くばかりである。
しかし、雪は優が自分の作った物を食べてもらえるだけで幸せである様で、少し腫れた目を細め笑っている。
「はーい、これが最後の一口」
大きな目を細めて、優の口の中に食事を入れる。
ゆっくり食べさせられていた為、少々冷めてはいるが、美味であることは変わりない。
「…ごちそうさまでした」
裏で止められている為、手を合わせて挨拶は出来ないものの、雪の料理に感謝をする。
「お粗末様でした、どう?私腕上げたでしょ?」
子供の為に、良い物を作る母親のような顔した瞬間に、いつもの懐っこい顔をして、優にくっつく。
「かなりな、昔は料理なんてからっきしだったのにな」
「もー良いでしょ!昔は!優の為に勉強したんだから!」
雪を褒めるとうれしそうな顔をするが、幼い子頃の事を出すとムスッと頬を膨らませて不機嫌になる。
「それはそうとして、そろそろこれ外してくれないか?布地が擦れて痒い」
「むー、仕方なーいな、優しい雪さんが外してあげるよ」
優しいならこんな事しないのでは、などと優は思いつつ、拘束具を外してもらう。
拘束具を外すと、優の腕は、少し赤くなっていた。
「痒い、痒い」
「あ!掻かないの!薬持ってくるから!」
優が腕を掻き始めると、優はそれを静止するよう言い、足早に部屋から出ていった。
その間、優は必死に腕の痒みに耐えていた。
「私は肌が弱いんだ。次からはもっと柔らかい布にしてくれ」
「捕まってるのに流暢な…」
どうせ、次もあるだろうと思ったは優は雪に注文をする。
そんな優はに、雪は呆れ顔で言葉を返すのであった。




