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片思い歌  作者:
2/8

崩れ去る日常

好きなあの子が遠くへ行く前に捕まえなきゃ。

僕は必死だった。

僕は最初から間違えてた

長い長い授業を終えて、いつもの様に雪と昼食を摂る。

適当な机を2つ付けて、各々に弁当箱を出す。

「また、そんなに少なくしたのか、ちゃんと食わないと倒れるぞ」

「だってぇ、太っちゃうもん」

体型を気にしない優には解らない事である。

雪は唯でさえ、華奢な身体なのに何故これ以上細くなろうとするのか、と。

黙々と食事をしていると。

「お、及川さん…!」

1人の男子が優へと話しかけて来た。

他クラスであろう、彼は顔を赤くして、僅かに震えながら、優へと白い封筒を突き出した。

「…何だ、コレは一体…」

「こ、これ読んでください!じゃあまた!」

「あ、おい…」

優が封筒を受け取ると、彼は優の言葉も聞かずに、走って何処かへ行ってしまった。

クラス中が唖然としている中、優は。

「…雪、これは一体なんだろうか…」

「…ラブレターじゃないの?」

恋愛に疎い優は、全く解っていない。

何せ、今まで男に間違えられたりして、女子に告白された事しかないからだ。

「ほぉ…これが…」

珍しいものでも見るようにラブレターをくるくる回しながら見る。

及川優様と小綺麗な字で書かれている。

「もぉ、そんなに回してないで読んであげなよー」

苦笑しながら読む様に言う雪。

「うむ…」

そう言って優は封筒を開けた。


『及川優さんへ。

貴女に伝えたい事があります。

今日の放課後、2年2組の教室に来て下さい。

長谷川博より。』


「…アイツ長谷川って言うのか…」

首を傾げながら呟く優。

「なんて書いてあったの?」

手紙の内容に興味津々な雪は、目をキラキラと輝かせている。

「放課後に2組の教室に来いと」

「ほぉほぉ!!で、優はあの人どうなのぉ?」

ニヤニヤと笑いながら意味の深い言葉を優に投げ掛ける。

しかし、優は…。

「?なんの事だ?」

「んなぁぁ!?」

全く解っていなかったのである。

恋愛に疎い優。

流石の雪も驚き飽きれていた。

「…まぁ良いや……ちゃんと行くんだよ?」

「あぁ」

雪は優を心配しつつ、昼食を食べる事を再開した。

(もしも、相手が何らかで暴れたりしたら私がやれば良いか。)

過保護な雪は、隠れて優に、付いて行く様である。


時は流れ、放課後である。

優は1人、夕焼けの射し込む廊下を静かに歩いて居た。

後ろで息を殺しながら付いて来ている雪がいるとも知らずに。

指定された教室の前に立ち、服装を整える。

コレは優の癖だ。

スライド式の扉をノックし、自分の存在を伝える。

そして、教室の中から、ど、どうぞ!と震える声が柔らかく響く。

「失礼する」

「お、及川さん…!ちゃんと来てくれたんで優のすね!良かった…!」

優の姿を見るなり緊張をした顔を緩め、赤らめている。

「要件は?」

雰囲気など気にもしない優の容赦無い声。

「…単刀直入に言います!お、及川さんの事が好きです!ぼ、ぼ僕と付き合って下さい!」

「…あぁ…すまないな」

一世一代の告白をザッパリと斬り捨てる。

「じゃ、じゃぁ…お友達からでもいいですから…」

どうしても優との繋がりを持ちたい長谷川は、友人に成りたいと言うが…。

「私には、雪が居ればいい、雪以外に友入らん」

「そ、そんな…」

「ではな」

優は長谷川の告白を斬り捨て、友人としての関係をも斬り捨てた。

後ろで何かを喚く長谷川を放置して教室から出ると、優は何者かのスタンガンによって、意識を強制的に失った。


〜雪SIDE〜

「…単刀直入に言います!お、及川さんの事が好きです!ぼ、ぼ僕と付き合って下さい!」

「…あぁ……」

雪は混乱していた。

いつも自分のことを一番に考えてくれる優が、長谷川という初めて会った男の告白を受け止めている。

何故?どうして?そいつにどんな魅力があるの?

雪の中で黒いに染まる塊。

それは雪の優に対する愛であった。

幼い頃から一緒でいた優は雪にとって特別だった。

いつからか、その特別は愛情に変わっていた。

それも、本来は異性に向けるべきの。

優の事が好きで好きで堪らない。

胸が苦しい。

でも、伝えられない。

そんなもどかしさがここで爆発したのだ。

もし相手が優に暴力を振るったらスタンガンで攻撃するつもりであったが、雪は優が教室から出てきた瞬間、スタンガンの電力を最大にし、優に押し付けたのだった。

〜雪SIDE終わり〜


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