3:1-1 生徒会
少しずつ話を進めます。
生徒会of綾聖学院。
学院における地位はトップクラス。
なかでも生徒会長は理事長、校長に次ぐ位。
先生方でさえ手がだせない。
だからといって、なんでもかんでもしてもいいというのでもなく、綾聖学院の象徴として、気品正しく振る舞わなければならない。
一般生徒からしては雲の上の、まさに尊き人たちの集まり。
その生徒会というもののシステムは…というと。
まず第1に少なからず1つか2つの特権が必ずある。
それは個人によるものであり、はっきりと決まっているものではないのだが。
第2として、次期生徒会メンバーを自ら決めることができる。
第3は学院内の行事等の内容を決める。
第4。その他にも仕事がいっぱい。
第5にくるのは、決して期待を裏切ってはならない。etc...
メリットもあるがデメリットもある。
デメリットとして有名なのは、はんぱない仕事量。
成績をキープしながらこなすにはかなり無理があるだろうと思われる。
それでも生徒会に憧れるのは、その地位と権力。
華やかに見えるその世界。
僕が彼女に初めて会ってから早くも2ヶ月がすぎた。
今は11月の始め。
僕がもつ彼女のイメージは……二重人格。
恐らくそう思っているのは僕だけだろうな。
他の人がもつイメージは容姿端麗。成績優秀。スポーツ万能。まさに才色兼備という言葉しかない。みたいな感じだろうな。
だから彼女の周りにはいつも人が集まる。
それは称して取り巻き集団とでもいうべきかな。
僕なら絶対に耐えられないと思うけど。
「ねぇ、葉原君?」
本を読んでいた僕の頭上から声がふってきた。
顔をあげると彼女がいた。
もちろん彼女の取り巻きたちも。
ヒソヒソと話声が聞こえるなか、本を閉じて僕は聞く。
「何ですか?」
「上元先生が呼んでいらっしゃいますけど。」
微笑んで言う彼女に礼を言って立ち上がり、職員室へ行こうとした時。
「あ、待って。」
彼女に引き止められる。
まだ何か?と聞くと。
「私も呼ばれましたの。一緒に行きましょう?」
あぁ。そうなんだ。
僕は軽く頷く。
それを見た彼女は後ろにいる取り巻きたちに言った。
「では、行ってきますね。」
はっきり言って僕にはわからない言動だ。
わかりたくないけど。なんでわざわざそういうのを告げるんだろう。
少なくとも僕は彼女があの取り巻きたちを快く思っているとは思わない。
コンコン。ノックをして職員室に入る。
「失礼します。」
「おゃ、やっと来たか。ほれ、座れ座れ。」
見た目、普通のどこにでもいそうなおじさんの担任。上元先生が僕たちを迎えてくれた。
言われるがままに、とりあえず座る。と。
「お前ら2人、今日から生徒会な。」
………………え?
突拍子もない担任の言葉に……僕は何も言えなかった。
隣に座る彼女もそうとう驚いているようだ。
しかし間もなく、彼女は言った。
「申し訳ありませんけど、私に生徒会なんて……。」
「あの……できれば僕もそれは遠慮させていただきたいですけど…。」
僕もその言葉にのるように言う。
すると担任は困ったような顔をして言った。
「あ〜…この話は現生徒会長の篠宮 香夜くんから直々に言われたものなんだけどなぁ……。」
担任はそこで少し間を置いてから言葉を続ける。
「そういえば…生徒会に入れば個人に合わせた特権がついてくるんだが…。入ってくれないのか。残念だなぁ。」
「入ります!!」
僕と彼女が言ったのは同時だった。
もちろん、特権という言葉につられて。
思わず言ってしまったんだ。
担任は満面の笑を浮かべて言う。
「そーか。よかった。2人とも入ってくれるか。ほれ、これ生徒会バッチな。それから放課後だけどな、S教棟5階の生徒会室集合な。」
………僕たちが図られたなんて、言うまでもないよね。
こうして僕と彼女は生徒会というものに関わることになったんだ。
次回、新事実発覚予定……(笑)