第4話
それから、僕達はゲームをしたり僕の家にあるお菓子を遠慮もせずに2人が食べながら
今日学校であった出来事を事細かく話して笑いながら過ごした。
気が付くと外ではもう夕日が沈んでいて夜へと近づいている事が分かった。
「お前ら、いい加減帰れよ……」
僕の言葉を無視して、優衣と春はのんびりとくつろぎながらテレビを観て笑っている。
その2人にもう一度声を掛けようとしたその時だった。
外で車のエンジン音が止まりガチャっと音を立てて扉が開いた音がした。
家主である三つ子の兄(+姉)達がなぜか帰ってきたのだ。
ここら辺であんな煩い車を運転している奴なんてそこまでいない。
「ただいま。あれ?出迎えなし?」
重なって聞こえる3つの呑気な声が玄関から聞こえてきて少し苛立つが口には出さない。
喧嘩をすればどちらが勝つのか分かっているから、無駄な言い争いはしない。
3対1じゃ勝ち目はない……。
「おかえり」
それだけ言うとまた優衣と春の方を向いた。すると、2人の姿は消えていて玄関先から驚いたような
重なった声が聞こえた。呆れる。僕まであのうるさいあいつらの所まで行かなきゃならなくなったじゃないかと心の中で呟き、玄関へと向かう。勢ぞろいの超多忙なはずの奴ら。疲れる原因がまた増えた。
本来、僕は今目の前にいるこいつらに生活費を送って貰いこの大きな祖父が残したこの家で
一人暮らしだ。僕が小学校を卒業した時それと同時に3人は大学を卒業……翌日、こいつらは
「行ってきます」そう書いたメモとかなりの額のお金を残して消えたのだ。翌年何らかの方法で成功。社長となって東京で働いている。月1の手紙と仕送りそれから2ヶ月に1度集まって食事を食べる決まりを作った。そして、今日はその日………ではないはずだ。一週間も早い。
「なんで海も空も葵もこんなに早く帰ってきたんだよ?」
「なんだっていいだろーよ」
少し楽しそうな口調で3人一緒に答えた。
葵は大きな袋を持っていて優衣に耳打ちをすると部屋に入ってしまった。相変わらずマイペース。
上から女子特有の声が聞こえてくる。多分、葵が持っているブランドの新作を持ってきて試着しているのだろう。きゃいきゃい騒いでる優衣の声は楽しそうだった。
空は春の先輩というか師匠とでも言うのだろうか……訳の分からない話で盛り上がって部屋に行ってしまった。……呆れた。自分のペースで突き進む4人を僕と一緒に呆れている人物がいる事に気が付いたが無視する。
「無視はするなよ?早く帰ってきた理由を知りたいだろ?な?」
玄関からゆっくりと歩いて2人で僕の部屋へと入る。
「で?早く理由を言えば…?」
「あれ?見当はついてると思ったんだが……」
にっこりと笑みを浮かべて海は首を傾げる。
「……まさか、イタリアとフランスに行く話本気だったわけ?」
「まぁな…。夏休みが終わったら俺達と」
ふぅと溜息をついて落ち着かせる。だから、葵と空が優衣と春を部屋に連れってたのか…。
苦笑いを浮かべ自分が不思議に思わなかったことに後悔した。