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1-5.

焼き切れたかどうかの確認の作業が終わって、ふと辺りを見渡すと作業場は惨憺たる様子になっていた。

砕かれた焦げが散乱し、ところどころに骨と燃え残った肉の塊がある。


多分、ここが地獄の一丁目だ。


とはいえ、作業というのは、片付けまでが作業であるので、そのまま片付けにはいる。

燃え残っている骨をより分けて、木製の番重に入れる。粉砕機用だ。


倉庫からネコ台車を持ってきて、散乱するあたりをショベルで掬っては入れる。

ある程度溜まったら草地の端にあらかじめ掘ってあった穴に、いや大穴に捨てに行く。


作業場から大穴まで十数メートルくらいしかないが、ネコ台車のタイヤが草に取られて、思っていたより重労働だ。

また今度舗装しておいた方がよさそうだ。


骨は番重に入れ、焦げや余った肉を捨て切ってから、竹ぼうきでざっくりと作業場を掃いたが、先ほどまで薄いグレー一色だったコンクリートの作業場のそこらかしこに黒い染みが付いていた。

まあ、作業場なんてこんなものだろう。

どうせこれから、もっと汚れるから、その内、高圧洗浄機でも買っておこう。


ふと空を見上げると、西の空に夕暮れが迫っている。

この後はどうしようかと少し考える。


作業効率だけでいうと、オーブンを稼働させておいて、その間に燃え残りの骨を粉砕するのが正解だとは思うが、今の段階では、一つ一つに集中してやるべきだと思う。


なので、一息ついたら、空になったネコ台車にうまい具合に番重を乗せて、そのまま粉砕機のある倉庫に運んだ。


焦げで汚れた軍手はゴミ箱に捨てて、新しい軍手をはめる。

新しい家電、家電とは少し違うかもしれないが、家で電気で動くものだから、家電でよしとしよう。

新しい家電を初めて使う時は、なんにせよ心が浮き立つものだ。


先ほどと同じ手順でスイッチを入れたり、安全装置を外し、作動させると、中のモーターが動き、金属でできた粉砕させる部分、クラッシャーとでも言うのか、その部分が回転し出すのがわかる。

もっと、バイクのエンジン音のような音がするかと思ったが、意外と静かなものだ。


上部の四角い漏斗状のところに粉砕したいモノを突っ込んで入れていくと、クラッシャーが砕いて、下の箱に落ちていく仕組みになっている。


手始めに、豚の肋骨の薄い物を投入してみると、パキパキという音を出しながら、薄長い肋骨が吸い込まれていく。

吸い込まれ終わったのを見て、一旦モーターを止める。


下部の箱を引き出し、中を覗くと、肋骨が3センチ角程度に細かくなっていた。

再びスイッチを入れて、残った骨を投入していく。

太くて固い部分は、多少モーターがしんどそうな音を立てていたが、問題なく全て細かくできた。


箱を引き出して見てみると、骨片が細かく砕かれて溜まっていた。

箱を引き出し切って、番重に骨片を移す。

ざらざらと音を立てながら、箱から番重に落とされる骨片を見ながら、会社員の頃に使っていたシュレッダーを思い出す。


番重を手に持ち、左右に揺らしながら骨片の粉砕具合を見てみる。

出来は悪くはない。

悪くはないが、もう少し細かくしたい。

さらに粉末にできるミルを買うことが頭をよぎる。


まあ、ひとまずはこれで十分だと、一旦は満足することにして、番重の上から空の番重を被せて蓋をした。


さて、やっと次の段階に入れる。

頭の中に、地下室の冷凍庫が浮かんだ。

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