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2-6.

基本的に、一人が好きだ。


誰かと一緒じゃないと食事ができないという人がたまにいるが、全く共感できない。


サラリーマンをしていた時の定期的な飲み会は苦痛とまではいかないが、参加するのは二、三回に一回程度だったし、休日の草野球なんてもってのほかだ。


気の置けない友人や、愛する妻との食事は楽しかったが、それももう、どちらももういない。


ただ、確かに楽しいが、いなければいないで、一人は気楽だし、それを苦に思うことはない。


ただ、やらなければならない事があって、その量が結構ある時、要するに今。


誰か仲間がいて、作業の分担ができれば、もっと効率よく、おしゃべりでもしながら、多少は楽しくできるかもしれないな。と思う。

4人分の手脚をミンチにしながら、そんな事を考える。


ある程度細かく切り分けた骨付きの肉片をミキサーに投入し回す。


一つを回している間に、もう一つに肉片を投入しミキサーのスイッチを入れる。さらにもう一つミキサーへ肉片を、と、都合3つのミキサーを順番に回すことで、空白の時間をなくし、効率よく肉片をミンチに変えていく。


デスノートの、確か魅上だったか、完全に思想が一致した協力者なんて、まさに絵物語だとは分かっているが、それでもそう思ってしまう。


やりがいがある作業ではない。でも、これくらいしかやる事がなくて、やりたい事で、やるべき事なので、文句は一切ないが、


でも、やらなくても誰に文句を言われるわけでもないが、義務も責任も発生していない作業は、ともすればさぼってしまいそうになる。


サイコパスじゃないので、快楽を伴っていない、ただの作業だからだ。


とはいえ、死ぬまでとは言わないが、身体がやれる間はやっていこうと決めてやっている。まあ、これ以外することもないし、これがないならする事も存在し続ける理由もないから、資産をまるッとどこかに寄付でもして、とっととこの世界から退場するしかないのだ。


三つのミキサーで手際よく順番にミンチを製造し、番重に移す。

4人分は結構な量で、まだしばらくかかりそうだ。


地下室までおろしてきたネコ台車はすでに満杯で、それ以外は番重にどんどん移していく。

何回往復すればいいだろう。


牛肉ほどは赤くなく、豚肉よりは血の色がかっている人肉は、生肉特有の酸化臭を放ちながら、番重の中に溜まっていく。


そういえば、最初の二人分を山に撒いたときは悲惨だった。


動物が食べやすいようと考え、穴を掘らず、山中の広い範囲に巻き散らかしておいたが、2,3日経っても思っていたより減らず、まだ暑い季節だったこともあって、そのまま1週間もすると腐ってしまい、強烈な腐敗臭の坩堝と化していた。


多分、このあたりには本当にクマがいないのだろう。


クマの一頭や二頭いれば、あれくらいペロリだと思うが、せいぜい小動物程度分しか減っている様子はなかった。


大量のハエや虫に削られ、雨風に流され、いくらかの期間を経て、流石に今はもう匂いが多少漂う程度にはなったが、あの惨状はもう本当に勘弁だ。


二の舞にならないよう、事前に山中の何ヶ所に穴を掘って埋められるようにしているが、下手したら穴が足りないかも知らない。


一気に4人分は想定外だ。


草地の端に掘った、元々は骨片を捨てようと思って作った大穴があるが、あそこはさらに拡げてこいつらの車を埋めようと考えているので、使えない。


まあ、足りない分はまた範囲を拡げて、そこらかしこに穴を掘っては埋めればいい。

この辺りの山は自分の土地だ。

誰かに気兼ねする必要がない。

不法投棄など気にしなくていいのだ。


三つめの番重がいっぱいになった。

あと半分くらいか。

今後、もっと大量に、そして楽に処理できる方法を考えた方がよさそうだな。

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