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2-3.

別荘に着いて、荷物を下ろす。

先にL字台車を下ろして、ゴミから被せていたケースを外し、引き摺り出して地面に落とす。

腕を胸と腹の間くらいでクロスさせて、それを膝で限界まで腹側に押し込むような、変な体育座りのような形にして留めているので、下半分が千切れた歪なクリオネみたいだ。


元人間のゴミを再びL字台車に乗せて、裏口側から地下室に運ぶ。

血抜きをする為だ。


地下室の裏口前に一旦停めて、重いドアを開け放ってから、地下室への階段へL字台車を傾けて、そのままゴミを放つ。


途中で引っかかったので、下から引っ張って地下室まで辿り着かせると、工具棚からハサミを取り、結束バンドと服を切っていく。


もう、死後硬直が始まっているので、ん?

始まってない?


前髪を掴んで顔を覗き込むと、目に微かに意識がある。

まだ生きている。


目が合うと、口元がかすかに動いた。

掴んだ髪の毛をそのまま引っ張って、横倒しにし、急いで棚から手斧を取り出して首に叩きつけた。


裂けた首筋から血が吹き出して、服に付くが、構わず何度も叩き切る。

濃い色の服なので、目立ちにくいだろうが、一応後で風呂に入る時に一緒に下洗いをしよう。

三分の一ほど切れたところで、目から意思の光が消えた。ちゃんと絶命したようだ。

全く、余計な手間をかけてくれるものだ。


よし。ひとまずは血抜きだ。


せっかくなので、そのまま何度も手斧で首を叩き、全部切ってしまってから、両足首にそれぞれ吊り具の先の錠をかけ、そのまま、電動ウインチで逆さ吊りにした。

血抜きをしつつ、内臓を取り除くのだ。


いつもなら死後硬直が始まっているので、変に丸まったまま吊り上がるが、今回は先ほどまでギリギリ生きていたので、まだ柔らかく、だらんと首無しでバンザイしている。


ちなみに、死後硬直は思ったより少し早く始まり、思ったより早く治まる。

最初固まっていても丸一日24時間ほど放置してれば、同じようにだらんとバンザイ状態に戻っている。

個体差はあるかもしれないが。


壁にかかっているシャワーの蛇口を回して、手についた血を洗い流し、タオルで水を拭いてから、釣具屋で買ったゴム手袋を腕につける。

肘の上まで覆う形のやつだ。


シャワーを出しっぱなしたまま、斜めの位置からゴミに当て続け、床の血を流しながらカッターで服を裂いては、切れ端をゴミ袋にまとめていく。


シャワーの水が冷たい季節になってきた。

なるべく急いで終わらして、風呂に入ろう。


服を全部裂ききって、裸にすると、驚いた。

こいつ、ちんこが大きい。と言うか、長い。普段、どうやって収めていたのだろう。ヘソまで届きそうだ。


まあ、そんな事を羨んでいても仕方がない。急ごう。体が冷える。


よくよく研いで、抜群の切れ味にしているナイフをヘソの下辺り、逆さだからヘソの上か、辺りにに斜め向きに突き刺し、少し円を描く形で鳩尾まで切り裂く。

その次に反対側も同じように切り裂いていき、猫の瞳のような形の穴を開けると、両手で開いて、内臓を露出させる。


内臓を抱えるような形で腕を突っ込むと厚いゴム手袋越しなのに温かさを感じる。

初めて素手で触った時は内臓の熱さに驚いたほどなのだ。


そのまま、内臓をグイッと引っ張りだし、床に落とす。

ミスった。ザルを用意するのを忘れた。

無駄にまだ生きていたので、動揺させられたせいだ。


落とされた内臓が床に散らばってしまった。ちょっとしたスプラッターだ。

まあ、言っても仕方がないのでとりあえず、手で取れる分を全部落としてから、再びナイフを手に取り、肋骨を叩き切る。


肋骨が取れると、それに支えられていた内臓が床に落ちかけるが、まだ、血管などで内臓が引っかかり宙ぶらりんで止まってしまったので、引っかかっている部分をナイフと手で切って、ちぎって、落としていく。


あらかた落とし切ったら、シャワーを当てたままにして、床の惨状を片付けていく。


壁にかかっている水切りワイパーを手に取り、床のに散乱している内臓を手際良く一箇所に集めていく。ある程度集まったら、角ショベルを片手に、ワイパーをもう片方の手で防波堤にして、すくい集めてはザルに落とす。


鼻先の鉄臭さを洗い流すように、シャワーで床の血を排水溝に流していく。


ザルいっぱいに入った内臓をすでに首も内臓も無くなったバンザイしている肉塊の下に置いたら、シャワーが上からかけ流せるようにセットする。


肉塊から流れ落ちる水が、内臓に当たり、どちらも血抜きができる。一石二鳥だ。


よし、これでしばらく置いておこう。

明日は朝から解体作業だ。


結構体が冷えてしまった。

ゆっくり風呂に入ろう。


血が付いた服の下洗いもしなければならない。

全く、まだ生きていたなんて、迷惑なことをしてくれたものだ。

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