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1-13.

やっとミキサーをかけ終わった。

結局、頭部分は頭蓋骨も脳もできていない。脚と体をミンチにするので、いっぱいいっぱいだ。


時計を見ると、切り分けを含めて作業時間が3時間を超えている。

単純な繰り返し作業は、時間の感覚をおかしくすると聞いた事があるが、あれは相対性理論だったか。


疲れたが、その甲斐もあって、ミキサーにかけた肉片は、元の形がわからないくらいに、しっかりとミンチになっていた。番重は全部で4つだ。

白色のLEDに照らされ、細かくなった骨が赤寄りのピンクの肉片の中に白く映える。


もう鼻が麻痺してしまっているが、きっと地下室内は肉と血の鉄臭さで充満してるだろう。

一旦全部処理が終わったら、漂白洗剤で大掃除をしないといけない。


それよりもまず、これを山に捨てにいかなければならない。


肉片が三分の二ほど詰まった番重を持ってみると、二十キロくらいはするようだ。

持てなくはないが、持つには結構な重さになっていた。


ショベルで、肉片をバケツに小分けする。

バケツ四つで番重一つ分。バケツ1つで五キロくらいか。


という事は、裏口側から出すとして、4往復。

最後に掃除をしてると、きっと暗くなってしまうだろう。


山に熊がいるとは聞いてはいないが、どこでも熊はいるらしいので、捨てに行くならせめて明るいうちだ。


となると、1往復か多くて2往復。

捨てる場所は、何ヶ所か目処をつけていて、頭に入っているので、いいとするが、残りはどうしようか。


冷凍庫?空調をマックスに下げて一晩?一晩くらいなら大丈夫か。

いや、冷凍庫にしよう。


そういう時の為に、番重ごと入るサイズの冷凍庫にしたのだ。

めんどくさがって、肉を腐らせてしまうと、匂いもそうだし、虫が沸いても嫌だ。


元々、人間性が腐った肉片がさらに腐敗するなんて、どんなホラーだ。


冷凍庫を開けて、銀バットに入った二人分の脳を上の段に移して、下の段をどちらも空にすると、L字台車を駆使して、てこの原理で番重の片っぽを引っ掛けると、そのまま押し込む。


無事に番重を二つ、冷凍庫に収める事ができた。


さて、バケツの中のゴミを捨てに行こう。

バケツを上まで運び、台車に乗せて気が付いた。

森の方に行くなら、ネコ台車じゃないと森の中までは行けないことに。

普通の台車だと、平らな道までしか運べない。


考えなしで行動してしまっている自分にため息が出る。

次からは。地下室にネコ台車を入れて、最初からネコ台車で運ぶようにしよう。


バケツからネコ台車の荷台に肉片を移す。

小さい薪を使って、バケツ側にできるだけ肉片を残さないよう、気をつけた。

ネコ台車の荷台にはバケツ2個分程度しか乗らなかったので、空の番重を持ってきて残りの2個のバケツに蓋をして。薪をいくつか乗せる。

念の為だ。


腰ベルトにスコップを引っ掛けて目的の場所までネコ台車を押していく。

スコップは肉片を散らして撒いたり、ネコ台車からまとめて落とした肉片を拡げて平たく慣らす用だ。


ここから2往復。

さらに、下から番重をもうひとつ分もやらなければならない。


普段から体を鍛えているとはいえ、50歳の体にはちょっとしんどい労働量だ。とはいえ、自分がやりたくてやってる事なので、文句も何もない。


ネコ台車の持ち手を掴み、フッと息を吐きながら、屈めた膝を伸ばした。

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