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1-11.

まずは、完全に冷凍されている二人分の脚と、胴体をお湯でさらしながら解凍していく。

熱湯だと火が通ってしまうので、ぬるま湯だ。


口の中にはまだ、さっき食べたグラタンの名残が幸福感を持続させる。

二人分を一気に食べたので、おなかがいっぱいだ。


子供のころ、イチゴやスイカなどのフルーツを一人でおなか一杯食べるのが夢だった。

施設の食事では、ほんの一口か二口分しか出なかったからだ。


施設を出てから、イチゴを1パックを一人で全部食べたり、ケーキをホールで食べたりと、小さな夢は叶えたが、一回すると二度とすることはなかった。

大体の夢は満足すると終わる。


だが、グラタンに限っては別だ。

あんなに美味しい食べ物が、あんなに手軽に作れるなんて、食品メーカーに感謝しなければならない。


今日みたいにエビを入れたグラタンが一番好きだが、下ごしらえが面倒くさいので、ソーセージをぶつ切りにしたものを入れたり、鶏肉を入れたりと、何を入れても合う。


ホワイトソースを粉から作ってみたこともあったが、やはり、グラタンの素で作るのが一番美味しい。


脚や胴体の表面があらかた解凍できると、次は細かくする作業に入っていく。


先端が鉄製の鋤を当て、勢いよく体重をかけることで、脚や胴体に切り目を入れていく。

刃の先端は、自分でしっかり研いだので切れ味は抜群だ。


ある程度、切り目がついて、プラプラと中途半端につながっているところを、手斧で切り分けていった。

全てを切り分けるのに結構な時間がかかった。


特に鋤で体重をかけるのが、結構な重労働だった。

押し込む際に体重を乗せる為に、鋤の持ち手を当てていた胸やアバラ付近が少し痛い。


次にゴミ回収をするまでに、手作業ではなく、自動で骨ごと解体できるようなものを買うかDIYで作った方がよさそうだ。

電動の丸のこのようなものでもいいが、飛び散りそうだし、結局手作業の延長になる。


そうだ、ギロチンを作ろう。

重しを付けて、刃を落とすだけで、骨ごと断ち切れるようなやつだ。


首を落とすわけではないから、罪人の首を入れる穴の部分を作る必要はなく、上から刃を落とせば、力を必要とせずに、切断できるのではないだろうか。


やることがまだまだありそうだ。


そもそもモノづくりは好きな方なので、面倒くささは感じない。楽しみでもあるし、作業する時間もある。


投資で、働かなくていいくらいのお金を手に入れたからできることだ。

もし、まだ働いていたとしたら、こんなことはできなかっただろうし、この別荘も買っていない。


お金があると、嫌なことをしなくて済むし、時間もある程度は買える。


あの時、投資のアドバイスをくれた当時の会社の同僚は、まだあの会社で働いているのだろうか。

会社を辞める前に、アドバイスしてくれた御礼代わりにいい焼き肉を奢ったが、あの羨ましそうな顔は覚えている。


人の顔と名前をすぐに忘れる私にしては、よく覚えている。


まあ、きっかけをくれたのは彼だが、リスクを取って実行したのは、自分だ。

世の中、行動しないと成功も失敗もしないのだ。


すこし懐かしい気持ちに浸りながら、先ほど買ったミキサーをセッティングし、ミンチを入れるバケツや番重を用意する。


番重に一旦溜めて、運ぶときにバケツに移していけばいいだろう。番重は一つで足りるだろうか。


これくらいなら足りそうな気もするが、まあ、とにかくやってみるか。

やってみてから、必要があれば修正すればいい。

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