表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/13

補助線を永遠に引いた塾の先生の話

中学2年生の冬期講習から、私は塾に通い始めた。勉強は嫌いじゃなかったけれど、数学は苦手だった。


塾には色々な先生がいた。学校の先生と違って、みんな変な面白い先生ばかりだった。


数学の先生は、今思うと大学生のアルバイトだと思うんだけれど、お兄ちゃんっていう感じの、眼鏡をして茶髪のやさしい先生だった。


あるとき、幾何学の問題で補助線を使った解法の説明をしていたんだけれど、授業時間の1時間を全部使って、永遠に補助線を引き続けて解説し続けた。


私は途中でついていくのが難しくなってしまって、こんなの解けるわけがない……って思ったんだけど、先生が最後に「はい。実はここに、こういう考えで補助線を引けばすぐに解けます」って言って5分で解いた。


「なんでそんなことしたんだよ~」ってみんなが言う中で、先生は「一番原始的な解き方してみた。面白かったでしょ?」ってさらりと言った。


私は、面白くはなかったけれど、数学に原始的な解き方っていう考え方があるんだって驚いた。この言葉はとても印象的で、ずっと私の記憶に焼き付いている。


たぶん、これが数学の美学に触れて、ちょっと数学が好きになった日。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
数学 面白いです その先生良き先生です
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ