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夢におおきな爆笑を  作者: 使えない奴隷
2/15

世の中の夢が今ここに

 水曜日、朝。ベットから無理やり起きた俺は日課の為のおかずを探していた。…しないと授業中辛いからね仕方がないね。

 あの子に振られてからまだ六時間も経ってないのに顔を合わせないといけないという現実。ハッキリ言って学校には行きたくない。どんな顔をしていけばいいのだろうか。


「なんかここまで来たらこの気持ちがぶっ飛ぶくらいのイベント発生しねえかな…」


 例えば転入生がくるとか。…ないな。仮に全国の高校が四月に入学式があったして三か月しか経ってないのに転入してくるやつなんてまともじゃないに決まってる。

 くだらないことを考えながらトイレを済ませのち準備を始める。結局俺のは目覚めなかった。…明日もこの状態なら太陽光に照らしてみるか。

 時間がマズいとわかっているのにイヤホンで流す音楽を決めようとしちゃうのなんなんだろうな。

 朝を食べる気なんか微塵もないのでさっさと家を出る。

 あ。イヤホンケース忘れた。



「おはようはーちゃん」

「おう」

 

 こんな女みたいな名前だからなのか、昔から親にそう呼ばれていたからなのかわからないが俺は『はーちゃん』と呼ばれることが多い。人間関係をほとんどリセットする高校生活ですら匡季(コイツ)がそう呼ぶのでいつの間にか浸透した。

 

「体調は?って訊きたいところだけど大丈夫じゃなさそうだね」

「正解。あの後度々目が覚めてな。その都度吐き気が止まらなかった」

「でも日課はしたんでしょ?」

「結局朝はできなかったよ」

「夜はしたんだね…」


 俺が朝しないとかマジで今日氷が降るぞ。いやマジで。ホントに転入生来るんじゃないか?

 

「お前は昨日あー言ったけど、俺は多分言いふらさないと思うぜ」

「…そうかもね」


 あの子が好きになった理由はシンプル。一目惚れだ。だから、積極的に話しかけた。可愛かった。優しかった。恋は盲目というがまさにそれだ。

 だからどうしてそんなことを言えるのかというと俺がまだあの子を好きだからだろう。内面も詳しく知らないのに。

 振られたはずがまだ恋仲になることを望んでいる。期待している。その度に昨晩の内容がフラッシュバックし、軽い吐き気を誘う。そんな情けない俺に匡季は何も言わない。

 歩くこと数分。学校に着いた。下駄箱で靴を履き替え1-Bに向かう。いやだなあ…。


「うォッ……ッッ」

「ほら行くよ」


 コイツ鬼畜やな。親友が吐きそうなんやぞ。クソ、股間は満タンなのに胃が空っぽだからスッキリしねえ…。…なんかむしろムラムラしてきた。

 ホームルームを軽く済ませたのち朝会に向かう。校長先生の話をちゃんと聞いてるやつっておよそ何割いるんだろうな。多分日本全国の生徒の内一万人にも満たないんじゃないか?…そう思うとやはりあの校長は伝説なわけだ。少なくと一万に以上とは話してるわけだし。さすが統計ぶっ壊しレジェンド。

 くっだらないことを考えているうちに校長先生の話が始まる。当たり前のように聞き流していると次は教頭の話になった。


「えーみなさん。まずはおはようございます。夏休みまで残り一か月を切りましたがここで皆さんと新たに過ごす生徒を紹介します。…出てきなさい」


 当たり前だが生徒全員がざわざわしだす。

 …転入生ホントに来ちゃったよ。百パー地雷。まあ学年、クラスの多さから俺のクラスには来ないだろう。

 さて、どんな奴だろうか。俺はあれだな、熱い男がいいな。


「こんにちは。今日から本校1ーBに転入しました。御越後(ごえちご)茉結(まゆ)です。よろしくお願いします」


 ウチのクラスかよ…しかもまさかの美女らしい…。らしいというのは全学年の男子が叫んでいるからだ。遠くからしか見えないが、髪が長いことだけはわかる。

 …彼女が困っている様子を横目に匡季の方を向く。


「すげえ可愛い子だねはーちゃん。世の中の夢が今ここにあるんじゃない?」

「俺は遠くて見えん。でも反応見る限りウチのクラスってことはしばらく騒がしくなるな。昼とかどうする?うるさいのは俺ごめんだぞ」

「たしかにー。四階の最終階段とか?」

「おけまる水産よいしょ丸」


 転入生が美人…か。ホント…世の中の夢が詰まってるな。

 …俺の股間も詰まってるけど。なるほど、世界の真理はここにあったわけだ。

 やかましいことを考えながら、少しでもインパクトの強い話題がきてくれたことに俺は安堵した。

名前ってムズイ。

誤字脱字あったら本当に申し訳ない。ごめんなさい。一応確認はしています。

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