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夢におおきな爆笑を  作者: 使えない奴隷
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追加業務

「…どういう意味ですか?」

椿(つばき)ちゃんね、意外と人と関わらないタイプなの。だから後輩ができたって聞いた時は驚いちゃって」


 生徒会室にあるパソコンにケーブルを繋げながら先輩はそう言った。

 確かに先輩は俺と御越後(ごえちご)が初めての後輩というニュアンスで話していた。

 かなりしっかりしたタイプの人間だし後輩の一人いてもおかしくないとは俺も思う。


霧ヶ峰(きりがみね)先輩とはいつごろから友達に?」

「この学校の入学式からだよ。すごく暗い子だったの、話しかけるなオーラ前回」


 その言葉に少し驚いたが、イメージはできなくもなかった。…襟首掴まれた件はあえて考えないようにしとこう。


「よくあそこまで変わりましたね」

「…変わってないよ。椿ちゃんは何も変わってない。むしろ酷くなってる」

「そうなんですか」

「うん」


 酷くなってる、か。俺にとって霧ヶ峰先輩とはあの姿であり、それ以前の先輩は知らない。

 じゃあ、ラノベの主人公のように普段との細かな変化がわかるのか。なんて言われてもわかるわけでもない。前の御越後の件がいい例だ。

 でも森田先輩は求めてる、俺がその変化に気付くことを。

 だからいっぱい話して(関わって)ほしいのだろう。


「だからね椙田(すぎた)君。椿ちゃんのこと、頼んだよ。最初の後輩としてね」

「………善処します」

「答えるまでのタメが長いぞー」


 うりうりー、とほっぺに指をぐりぐりしてくる先輩に素直にキレそうになった。

 

 

 その後、二人で体育館に戻り待機していると、生徒会長と井上(いのうえ)先生が来て今日一日と明日の業務日程の報告が始まった。

 業務自体の進行は特に問題なく、むしろ早すぎるというお褒めの言葉をもらった。

 俺が勝手に思っていた時間より大幅に終了し帰宅の準備に入る。


葉津祈(はづき)、暑いしさっさと帰りましょう」

「だな」


 水筒をしまい、バックを持って玄関に向かう。

 全校生徒から考えれば少ないとはいえ、あの人数の生徒が一斉に帰るとなり玄関は混んでいた。


「さっき森田(もりた)先輩と何話してたの?」

「…生徒会に入らないかっていう勧誘」

「ふーん。入るの?」

「絶対やだ。だってこの後作業するらしいし、時間なくなる」


 学校の奴隷になるならその時間オ◯二ーに費やすわ。性欲の奴隷になってやる。

 でもシーズンじゃないからあまりしない分マジで辛い。何が辛いって普通に芸能人レベルの女子が何人もいること。

 普通にムックする。ラブコメの主人公とか忍耐力ありすぎるだろっていつも思う。

 

「時間がないって…葉津祈って普段家で何してるの?」


 …何故か勝手に尋問受けてる気分になった。なんだこの感覚。

 

「いや普通にネットサーフィンだけど」

「本とか読まないの?」

「マンガなら」


 嘘は言っていない、と思う。ネットサーフィン(エロ動画探し)とか(エロ)漫画とか。いや別にそれ以外も読んだり見てるし。

 

「そういうお前は何してんの?」

「…気になる?」

「いや別に」

「貴方と同じよ。正確には何もしていないってのが正しいのだけれど」


 オイ、俺のヤってることが無駄みたいに言うな。生物の軌跡(?)の象徴みたいな行為やぞ。

 てか御越後もネットサーフィンとかするのか。まあ、昨今はネットが世の中を更新するもんな。ある種の社会勉強ともいえる。

 

「…暑いな。コンビニよるか」

「私スー◯カップ」

「…り」


 コンビニってそれ売ってんの?と思いつつ入ると、バニラ味だけあった。

 さりげなく奢っちゃう俺、奴隷適正高いかもしれん。


「その木製スプーンって使いやすいか?」

「慣れよ」

「あそ」


 俺そのスプーンすぐ折っちゃうんだよな。やはりちゃんとしたものに限る。

 食い終わったものを捨て再び帰路につく。


「ねえ、葉津祈」

「どした」

「なんであの時助けてくれたの?」

「…なんでだろうな」

「はぐらかさないで」

「…変化が怖ったんだよ」


 交友関係が狭い俺は環境の変化が嫌なタイプだ。

 例えるならいつものグループに新米が来るとイラっとする。だからとっていって関りのある人間には嫌われたくない性格だ。いわゆる面倒くさいタイプの人間。

 結局、匡季(まさき)があの場にいたからどんな状況になってもいいと考えたが中村(なかむら)に言われた瞬間は怖くなった。御越後が学校(舞台)を去り、環境が変わることを。

 あの場において助けに行かなくてはならないのは俺だった。だから俺は自分の為に戦った。なんとも情けない理由である。

 あの一件の後、出した結論だ。


「でも私とは縁切ろうとしたじゃない」

「ごめんて。お前のことを考えてあれだったんだよ」

「お前じゃない。御越後」

「はいはい」


 俺の返事に不服そうな顔をするがいつも通りスルーして歩く。あえて伝えないがあの時はマジで匡季いるからいいや状態だったからな。ほんとそれ以外どうでも良かった。 

 今となれば、その判断は間違いだったと思う。


「あの件以降、田島先輩みたいな男は現れたのか?」

「…心配してくれてるの?」

「いや別に…って痛ってえ!ローキックすんな!制服汚れるだろ!」

「うるさい、心配して」

「なんでだよ」


 え、マジで田島先輩みたいな人間に追われてんのか?

 怪訝そうな顔で御越後を見つめる。マジならマジで悩みの種が増える。

 

「あれ以降何人かから夏休みに遊びに行こうって誘われたけど、全員まともな人間だったわ」

「そうか。よかったな」

「よくないわよ。迷惑なんだから」


 田島先輩がいなくなったことをチャンスに勇気を出して言った人間も多いだろうに…。

 辛いよな、あの感覚。履歴見ると未だに吐きそうになるぞ俺は。十字きっておこう。

 

「何してんの?」

「迷える子羊たちの供養」


 何それ、と笑顔で言う彼女が心なしか可愛いと思った。

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