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夢におおきな爆笑を  作者: 使えない奴隷
13/18

夏休み前日

 夏休み前日。

 掃除をしてから集会に向かう感じだ。

 トイレ掃除の担当となった俺は匡季(まさき)を含めた班員とサボった。

 事務室へトイレットペーパーを取り入ったあとに最も長い回り道を全員で話し合ったあと三十分稼ぐ。

 トイレットペーパーを持った五人が学校を徘徊するという謎の状況だった。

 戻った後中村(なかむら)に怒られたのは言うまでもない。


「…あ。ハンドソープ詰め替えに行くの忘れた」

「…仕方がないな。また迷っても大変だし五人で行こう」

「賛成だ椙田(すぎた)

「俺も同じことを考えていた。福田(ふくだ)君も行こう」

「いいよー」


 狭いトイレで組まれた円陣は便座のように歪んだ円になっていた。まるで欲望の汚さを出すように。

 俊足の足を持つ山形(やまがた)を先に出し、中村を釣る。

 その間に残りの四人が保険室に向かう。

 隙を見て逃げた山形と合流し、再び俺たちは迷子になった。


「やっぱ一年生だからかこの学校の構造わかんねえな」


 目の前の階段上れば教室すぐなんだけどな。


「そうだな。とりあえず左行くか」


 そっち校長室ですけどね。

 二十分かけて向かい、ハンドソープを詰め替えてもらい保健室をでる。

 廊下を歩いていると曲がり角の階段から御越後(ごえちご)が降りてきた。

 中村と仲の良い彼女に見つかるということはすなわち死を意味する。

 「(さん)!」と山形の叫び声の瞬間四方八方に俺たちは散らばった。


「どこ行くの?中村さんが探してたわよ」


 コイツいつの間に避雷神の術を…。てか俺以外の逃げる速度おかしいだろ。

 その後無事に全員捕まった俺たちは平井(ひらい)ちゃんにしっかり怒られた。

 

*


「珍しいね。はーちゃんがああいうノリに参加するの。彼らとほぼ初対面というかほぼ話したことなかったでしょ?」

「ああ。普通に楽しかった」

「それは良かった」


 体育館に入ると霧ヶ峰(きりがみね)先輩を見つけた。

 また首を絞められるのは勘弁なので会釈だけしとく。


「知り合い?」

「今度手伝いを一緒にする霧ヶ峰先輩」


 そういえばマサにはこの件話してなかったっけ。


「ふーん。がんば」

「サンクス」


 校長先生の長い話が終わり、生活指導員の夏休みの過ごし方の話に入る。

 いっても中学生の時と言われる内容はほとんど変わりはないが、行動範囲がより広くなった分注意せよとのことだ。

 集会が終わりに近づくと所連絡によって男性教員が出てきた。名前は知らん。

 どうやらこの後整美(せいび)委員の生徒と、スカウトを承認した生徒。つまり俺みたいなのは壇上前に集まるらしい。

 先輩が話した内容とは差異があるように感じるが別に気にすることではない。

 順に解散の指示が出た後、御越後と一緒に壇上の前に向かう。集まった限りを見るとざっと六十人ほどいるように感じる。

 正式に所属しているのが三十人ぐらいだとすると、助っ人は二十五人前後といったところだろう。

 文化部などが多いと思っていたが、運動部よりの体の人間も少なくない。

 周りをキョロキョロしていると、再び霧ヶ峰先輩と目が合った。質問したいこともあるので今回は話しかけに行く。


「ちわっす。こんな風に集まるんですね」

「私が担当の先生に頼んだんだ。せっかく集会でこの場に全員集まるしな」

「なるほど。…意外と運動部っぽいやつも多いんですね」

「ここにいる三年生や運動部のやつらは何かしらの推薦狙いだからな。前も言った気がするが結構この活動は教師からの評価が高い。活動内容に反して上級生からは結構倍率の高い委員会だ。言っても候補者は各クラスで四人程度だけどね」


 そうなのか。確かに委員会の係り決めで争う、なんてのはあまり聞いたことがない。

 そんなこんなで俺たちの輪にさっきの男性教員が入ってきた。


「こんにちは。俺の名前は井上辰次(いのうえたつじ)。担当科目は主に生物だ」


 よろしくと続ける彼にみなが挨拶を返す。


「悪いが集会でちょうど皆いるのでせっかくだから集まってもらった。今から配るプリントがその日の日程だ。既に説明を受けていると思うが、助っ人側の生徒は推薦した者と行動するように!何かわからないことがあったら当日にまた言ってくれ。では解散」


 当日にって…。それ大丈夫なの?

 プリントを読みながら教室に戻っていると後ろから肩を叩かれた。御越後だ。


「どうした?」

「いや、当日にって大丈夫なのかしら…」

「同感。まあ何かあったら先輩に聞けばいいだろ。今パッと目を通したけど去年と変わりなかったぞ」

「そう…。ならいいんだけれど」


 しかし…集合八時半で解散が早くても十五時過か。結構ハードだな。

 内容としては肉体労働がメイン。椅子の配置や書類などの配布、掃除などが項目に含まれている。

 教室に戻り、平井ちゃんから通知票を受け取る。悪くない成績だ。

 号令をした後は解散。


葉津祈(はづき)匡季(まさき)君は夏休み遊ぶ約束したの?」

「した。多分どっちかの家に遊びに行く」

「それだけ?」

「あのな。プールとか祭り行くのはアニメだけだから。てかこんな暑いのに屋外で遊ぶとか論外だわ」

「じゃあ私と行きましょう」


 御越後のその発言をフルシカトして前に進む。彼女の目が座っているような気がするが気にしない。

 マサと駅を降り、近くのラーメン屋で昼食を済ませた後家に帰る。

 シャワーを済ませ、冷房ガンガンの部屋で数ある宿題の一つを終わらせる。

 ベットに寝っ転がり、配られたプリントを読み直す。


「…説明会をした後、体験授業。そして個人面談か。その都度掃除って…大変だなオイ」


 初日に椅子を設置、最終日に片づけでそれ以外は整理。

 担当分割とかは当日にやるのか。それとも委員会側で決まっているか。

 おそらく後者だろう。

 推薦者についていくみたいなニュアンスの発言もしてたしな。

 明日から夏休み。手伝いまで数日あるが何とかして残りの課題を終わらせたいものだ。

 と思いつつもネットサーフィンが止まらない俺にバナー通知が来た。

 御越後からだ。


『さっきの話の続きになるんだけれど、どこに遊びに行く?』

『行かないって選択肢はないの?』

『ない。私的には東京の方で一緒に買い物に行きたいんだけれど』


 クソ暑い中人ごみの多いところに行くのか…。

 ただ、プールなどに行くよりかはマシなのかもしれない。

 前に約束をしてしまった気もするし、今回も俺が折れよう。


『いいよ。日程は早めに伝えてほしい』

『わかったわ。ありがとう』


 ありがとう、か。

 妙に礼儀正しい彼女がどこか面白おかしく感じた。

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