タリタス・シンドローム

「君は、なぜ老いないの？」

　少年の姿のまま、時を止められたように生きる青年・桐生誠。
　彼は、14歳の外見のまま20年を過ごしていた。誰にも言えない秘密を抱えながら、静かに日常を生きている。

　ある日、大学病院の中庭で出会った一人の女性。
　彼女は初対面の誠に、なぜかその秘密を知っているような言葉を投げかけてきた。
　彼女は何者なのか？ そして、なぜ誠の過去を知っているのか？

「また会えるよ。だって…私も、同じだから。」

　“時間”とは何か。“生きる”とは何か。
　現代医療では説明できない謎が、ゆっくりと明かされていく。

　この物語は、“老いない”という奇跡を持つ者たちの孤独と運命、
　そして、限りある命の美しさを静かに描き出す――。