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第一話 

 学校が嫌いだ。いや、学校自体が嫌いなのではなく学校の人間が嫌いなのだ。

話もろくに聞かず、見て見ぬふりをするクソ教師、自分のことしか考えられない自己中なクソ生徒、主犯、傍観者、どいつもこいつもクソだ。

教室に入ると俺の方を見てニヤニヤしだすやつ、明らかに目を逸らして人畜無害を気取るやつ、機嫌が悪そうな担任。

俺の机の中には大量のケシカスや、折れたシャー芯、くしゃくしゃにされた俺のプリントが入っている。

これだ、これだから嫌いなのだ、学校が。


そして、朝が嫌いだ。そんな嫌いな学校のために早起きしないといけないからーー


「俺は今日、学校に行ったら屋上から飛び降りて死んでやる」


そんなことを考えながらのそのそと学校に向かう準備をしていた。

時刻は9時30分、圧倒的に遅刻である。まあ、遅刻だから何だという話だ、どうせ死ぬんだし、ゆっくり行こう。

そんな事を考えつつ準備を終わらせ、家族に向けての遺書を書く。まず母さんに、次に親父に、妹へも一応書く。

あらかじめ書く内容は決めていたので割とスムーズに書くことができた。我ながら上出来である。

両親は共働きで朝早くに家を出ており、妹は中学校に余裕を持って登校していった。

よって、この家には俺一人だけしかいないのだ。


「最後の朝飯は、母さんの卵焼きが良かったな……なんて」


一人ぼそっとつぶやき、焼き立てのトースターを頬張る。

食べ終わった食器を片付け、手早く制服を着替えを済ませ、カバンを持ち家を出る。


「暑いな……」


夏だからだろう、ムシムシとした気温が運動不足の俺の体にダメージを与えてくる。

自宅から学校までは3km位の距離を自転車で登校しながら、学校が心から嫌いになった日のことを思い出す。


俺は高校生に中学生の時から憧れがあった、青春、恋愛……ラノベが好きでずっと読んでいたからそういうのがキラキラとしていたのだ。だから俺は高校デビューで髪はセンター分けにして眼鏡からコンタクトに変えた。

それがだめだった。

たまたま高校が同じになった中学生の時の女子のクラスメイトが俺のことをイキってると感じたのがきっかけで奴らの言う弄りが始まった。そこからはもう速かった、弄りはヒートアップし、いじめになった。もちろん担任に相談した。だがなぜかあのクソ教師は


「ただのじゃれ合いだろぉ、学級委員なんだからクラスの雰囲気を良くしようとしてくれたんだろうがぁ」


なんて言いやがったのだ。マジでクソだろ……。それで俺が学校行きたくなくて登校が遅くなった日は


「藤田ぁ、お前何やってんだぁ……どうせ昨日の夜ゲームのやり過ぎで眠れなかったんだろう、お前オタクだしw」


マジで嫌いだ、あいつ……いつか◯してやろうかな……無理か、俺今日死ぬし

そう考えていると憎たらしい「私立 雲天高校」と書かれた学校の校門が見えてきた。駐輪場に向かい自分の自転車を止める。ゆっくりと昇降口に向かい靴を履き替え職員室に向かう。職員室に向かっている途中数人の教師に出会ったが全員俺と目が合うと驚いた顔をして通り過ぎていった。なぜだろうか……


職員室の扉の前に立ち軽くノックをし扉を開ける


「…1年C組、藤田です遅刻しました」

「藤田ぁ、しゅうごーう」


職員室内の来客スペースのソファーで担任の東山が手招きをしている。見た目はザ・体育会系で実際担当教科は体育だったはずだ。見た目がもう暑苦しい。大人しく入り、来客スペースに東山と向き合う形で座る。


「お前またかぁ、藤田ぁ…それじゃいかんだろてぇ…」

「……っす、さーせん…」(小声で)

「もういいから教室もどれぇ、あとお前顔色ひでーぞぉ」

「……っす」


適当に返事だけして職員室をあとにした。ーー死んでやる、死んでやると小声でブツブツ言いながらのそのそ廊下を歩く。どうやら今は三時間目の終わりごろらしく教室に着くとちょうど数学をやっていた。教室の後ろの扉を開け中に入る。クラスの奴らが扉の音に反応して数人振り返り、ニヤニヤしたり、目線を気まずそうに逸らしたりする。


「藤田、早く席につきなさい」


数学の教師が落ち着いた声で言う。俺は無言で席につき鞄を机の横のフックに掛ける。教材を机の中にいれることはできない、ゴミで溢れ返っているのだ。

顔を伏せ、寝たフリをする。昼休みに屋上へ行き、飛び降りるそれまではのんびりしよう。そう考えた。


数学の授業が淡々と進み、やがて終わりを告げるチャイムが鳴る。

休み時間になり、各々が休憩に入る中、二人の足跡が近づいてくる


「おぉい!藤田ぁまた遅刻かぁ!?」

「おい…やめとけってww」


茶髪のチャラいやつとちょっと太ったやつが近づいてきた。…来んなっ◯ねっ!

ゴミを入れてるのはコイツらの仕業で何回もこうやって絡んできて俺が上げたケシカス使ってねだの頭の悪そうなことばっかり言ってくる。コイツらは基本無視だ。


「つまんないねぇw」

「だから言ったろ陰キャは喋れねーんだよw」


離れていったのを感じ、寝たフリを続ける。この生活の終わりを待ってーー


4時間目も終わり足早に教室を出る。向かうは一直線に屋上へ。


終わるーー


やっとーー


地獄から開放されるーー


屋上の固く閉ざされた扉を前にしてあることに気づく。


(南京錠が外れてる……)


屋上への立ち入りは禁止でいつもは南京錠で固く閉ざされていたはずだ。俺は南京錠を壊して屋上に入ろうと考えていた。少し動揺しつつ扉を開けた。


ぎぃ…


「ふふ、やっぱり来た」

「……!」


そこには屋上の彼女の腰の高さほどの柵に手をかけこちらを微笑みながら見つめる女子の姿があった。肩にかかるほどの長さの黒髪は光沢を放っており、整った目鼻立ち、そして遠くからでもわかる大きくきれいな瞳はこちらを見つめていた。一瞬呆然としてしまったが俺は気にせず屋上へと出て、柵に手をかけた。眼の前で死んでやる。そう考えた瞬間ーー


「あ!ちょっと君、だめだよ!」

「……!」


腕を捕まれ体を引き寄せられてしまい、体がよろめき彼女の胸に収まる形になってしまった


「……死なせないよ」

「……なんで」


正直とても混乱しており頭がパンクしそうなので冷静に今の状況を整理する。俺はここから飛び降りるために屋上に来て、何故か屋上の扉の鍵が開いていて…屋上には美人の女の人がいて、何故か俺が飛び降りることを知っていて、止められて……


彼女は俺の手を握り屋上においてあったベンチに腰掛け、隣に誘導され、俺もまた腰掛ける。頭の中がはてなでいっぱいになっていると


「わかんないって顔してるね、教えてあげるよ私がここにいる理由を……」


そう言って彼女は優しい口調で語りだした。彼女は俺が遅刻して学校に来ていたのを見ており、職員室から死んだ魚の眼をして、死んでやると小声で呟いていたのが聞こえたらしく尋常じゃないことを察し、急いで屋上の南京錠を破壊し屋上で俺が来るのを待っていたらしい。3時間目の終わりからずっと。


「なんでそんなこと…」

「当たり前じゃん、遅刻したーと思って学校に来たら同じく遅れてきた後輩くんが死んでやるってマジな感じで呟いてるんだもん。そりゃ止めるよ」

「後輩くん……?」

「あぁ、スリッパだよ、ほら」


そう言うと彼女は自分の足元を指差し赤色の学校指定のスリッパを見せてきた。ここの学校のスリッパは学校側から指定されたスリッパを履かなくてはいけない。色は1年生が緑、2年生が赤、3年生が青。そして俺のスリッパが緑だったことから後輩だと分かったらしい。


「ねえ、なんでこんなことしようと思ったの……?」


彼女は優しく微笑み問いかける。


「…嫌いなんすよ、学校が……教師もクラスの奴らも……もう嫌なんすよあんな生活……」

「…………」


俺はなぜか先輩にこれまでのことを淡々と語りだした。いじめられていたこと、担任が取り合ってくれないこと、自分でもびっくりするほど話してしまった。


「学校に行こうと思っても朝布団から出られなくて、頭でわかってても体が…だから…死のうって…」


すべてを話し終えた頃、俺の瞳には涙が浮かんでいた。最後の方はもう嗚咽に近かった。

するとなにか温かいものが視界を覆う。ふわっと甘い香りが鼻腔をくすぐり、先輩の腕が背中に回される。


「そっか……」


先輩はそれ以上は何も言わず、ただ優しく背中を擦り、抱きしめてくれていた。

それから5分位経ち俺は落ち着いを取り戻していた。そう、冷静になったのだ。すると、この状況がいかにまずいことか気づく。


「先輩…もう大丈夫なんで離していただけると……」

「……わかったよ」


先輩も俺が冷静になったことに気づいたのか渋々といった様子で腕を離す。


「まだ辛い…?まだ…飛び降りたいって思う…?」


先輩は恐る恐る尋ねる。俺は答える。


「……いや、もうやめます…冷静になったらやる気が無くなっちゃって……まあ、学校は嫌いだし、多分これからも朝は起きられないんでしょうけど……」

「そっか……じゃあさ、私が毎朝モーニングコールかけてあげるよ」

「……え?」



読んでくださって本当にありがとうございます!!!!!

この一話を書き終わるのに2〜3時間ほどかけたド素人です!!

このお話はいじめを受けていて、もう死にてぇって思った主人公を優しくフレンドリーな先輩がモーニングコールで癒やし、救う的な?ラブコメになっています。

少しでも面白いと思っていただけたら幸いです!!!


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