【第四話】適性検査-2
ー都内某所
「奴らの痕跡です」
「やはり不可解だな」
「ええ。自力で閉じるゲートだなんて。」
「ああ。そろそろただの魔物退治じゃ済まなくなってきたな。」
試験開始から15分経過。
辺りには魔物の死骸が転がり、魔物特有の臭いを放っている。
「うおおおおおりゃああ!はあはあ、これで十体かよ」
15分もの間走り続け、魔物を狩り続けた。
蛭間やサヤ、イツキは今どのくらい狩っているのだろう。
「何、違うこと考えてんだ俺」
ユウキは自分を戒める。辺りには魔物がいないため更に奥に進む。
「きゃあああああ」
声を聴き急いで駆けつけると魔物が少女を襲っている。
「あれは」
更にイツキも近くにいるようだ。
「大丈夫か」
「ユウキくんすぐ助けを呼んで。こいつはここにいていいやつじゃない」
「なんだって?」
「こいつは三級の魔物だ」
「助け呼んだらお前らはどうなるんだ。絶対に倒せないなんてことないだろ」
ユウキは剣を強く握る。土踏まずに力を込め大きく一歩を踏み出し切りかかる。
「硬い!?」
「危ない」
「があぁはっあ」
通常、魔素を体に多く取り込み身体強化をすることができるのだが、ユウキに至っては全くの別である。
「どうすれば」
「ユウキ君!危ない」
「うああ」
「大丈夫?本当なら富士の樹海は魔素の濃度が高いから強くなれるのにごめん、僕魔素を操るのが苦手なんだ」
「のんきにしゃべってる場合か!倒すのは俺たちなんだぞ」
「だって剣士かとおもったら、ユウキ君ほとんど素人じゃないか」
そうなのである。ユウキは剣を持たされてはいるが、まったくの素人なのである。
考え込むユウキはイツキに言う。
「秘密にできるか?今から俺の能力で倒す」
「ああわかったよ。僕の能力は右手は温風、左手は冷風をだせるんだ」
「よっわいな」
「ああわかってるよ!!!」
「絶対倒そうな」
「うん」
ユウキは腹の下あたりに力を籠める。徐々に見た目が変わっていく。足はかぎ爪が手は太く鋭い爪が見える。
がむしゃらに飛び掛かる。敵をひっかき無我夢中で攻撃する様はまるで獣である。
この時無意識ながらユウキは体内に魔素を取り込み、身体強化をしていた。
「うりゃあああ」
つたない剣術よりも鋭い本能からなる攻撃を繰り出す。イツキが自身の能力により、空気の温度を変え霧を作り出す。人の何倍もある嗅覚でユウキは敵の背後から強靭な一撃を繰り出した。
「はあはあ、やった、のか?」
「そうだよユウキくん!僕たちが倒したんだよ!」
自分の体の何倍もある怪物を自らの手で倒した。時間は四十分を回っており、また、二人は大きく疲弊している。
「俺はまだ魔物を倒しに行くよ」
「僕はもう無理そうだ。この試験は厳しそうだよ。次の試験で会おうね」
「おう」
イツキと別れ、ユウキは魔物を探すが、周囲には魔物の気配がなかった。
ただ離れたところからはまだ音がしたため、急いで向かった。
目の前に魔物が現れ無我夢中で倒す。
大きいブザーが鳴り試験終了の合図がした。
「ちょっと君こちらへ」
第二審査会場へ向かおうとしたユウキを試験官が呼び止めた。
俵原樹(17) 好きな食べ物チョコポテトチップス
好きな女性のタイプは『ふくよかな人』理由は料理がうまそうだから。