アナル
この時めちゃくちゃ緊張しました
指定された席につくと前にいたデカいやつに話しかけられた。
長ランにハイウエストドカンにリーゼント、エナメルのベルト、エナメルのシューズ……絵に描いたような不良やなって今70年代ちゃう!!
「俺、細川真宏って名前やからよろしく。好きに呼んで」
「よろしく。達哉って呼んで」
「…………いやもうちょいなんか聞いてや!それ待ちやってんから、ほい!聞いて!!」
なんか尻尾ブンブン振ってくるワンちゃんみたいで、ちょっと可愛いかも?
細川くんへの質問を考えていると教室のドアが勢いよく開き、若い男性が入ってきた。
「自己紹介やんぞ、移動しとー奴は自分の席戻れ。まあお前らもう結構打ち解けとーし適当に流したらええ。なんか考えるんもだるいしな」
なんか色々と問題発言が耳に入ってきたような気がする。
そうか不良高校は生徒も生徒なら先生も先生なのか。
そして自己紹介が始まった。
最初からインパクトが強すぎた。
中ランに煙突でエナメルの靴、ベルト、頭は坊主、ここまではよくいるから全然良いんやが名前が『アレクサンドロス・ロビー・ノーソリア』だった。
名前長すぎな?ゴリゴリのマッチョで、しかもスペイン王家の末裔とか属性モリモリやんけ。
……やばい、アレク君が印象強すぎて後が覚えられへん。
細川くんも無事終わり、間に1人挟みすぐ僕。
「(大丈夫、言うても自己紹介よ。すぐ終わるし緊張することない。出身中学と趣味、それと基本的な自己紹介)よし!」
「あ、待って待って!」
唐突に男性教師が口を挟む
「お前の顔、なんかアナルみたいやな!今日からあだ名アナルな!上から生えてるんケツ毛?」
「だれが顔面アナルや!ケツ毛どんだけ多いねん!」
男性教師はなぜか怪訝そうな顔をする。
「毛そんな特別多いか?いやむしろ……」
「誰がハゲや!ケツ毛ハゲとるは普通に嫌やろ!」
終始男性教師と漫才のようなやり取りを繰り広げた。
緊張していた人も笑顔になってくれていたので結果オーライなのかもしれない。
全員の自己紹介が終わり、授業時間である50分に到達する。
「ここまでにしよか、あとはお前らで勝手に仲良くなっといてくれ」
学校初日は平和に終わった。