始まりの日
波瀾万丈、ある人間の過去の記憶、人生です。皆さんも共感出来るようなものもあれば、はぁ!?なんやそら!?っていうものも沢山あります。
珍しいと思いますが全て関西弁です。
是非追体験していってください。
風は静かに吹き、その中で過去の記憶がやわらかな音となって耳に響く。遠くの山々が物語の始まりを囁き、枝葉のざわめきが過去の一篇を呼び覚ます。
深呼吸すると、その時の香りが再び感じられるかのように、過去の風景が眼前に広がっていく。
中学3年が始まってすぐだった……。
僕は野球の練習をやりすぎたために腰を壊し、その場に倒れた。もう野球は出来ないと宣告され、プロ選手になるという夢も失われた。絶望した。
野球しかしてこなかったバカだから中学3年生にして引き算の筆算が出来ない。
「ここしか行けるところあらへん」
先生も必死に色々探してくれた。そして県内で1番の不良高校に進学。
「なんやかんや初登校は楽しいもんやな」
「まあせやな」
よくある会話をしながら同じ高校に進学した友人の恭平と登校する。
周りを見渡せば剃り込みを入れてる奴、金髪の奴、赤髪の奴、制服改造してる奴、身長が2m超えてる奴(これは1人やった)がウジャウジャといる。
「いや並べるん失敗したテトリスか!」
恭平が唐突にツッコミを入れる。さすが関西人というところだ。僕も見習わなくてはならない。
席には名前がふってありそこに座る。
ああ高校生活が始まる……。