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まおちゃんとゆみちゃん  作者: 世々良木夜風
第一章 魔王の襲来
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Mao 3. 下着は防具ですか?

「私、今、下着をつけてないの!これ以上捲れ上がったら見えちゃうじゃない!!」

それを聞いた、まおちゃんの顔が固まる。ゆみちゃんは失言に気づく。

「ち、違うの!!下着、全部洗濯しちゃって替えがなくて...本当よ!好きでこんな格好してるんじゃないのよ!!」

ゆみちゃんは必死に言い訳する。するとまおちゃんは、

「下着??なんじゃそれは?防具の一種か?」

と、とんちんかんな返事をする。

「下着は下着じゃない!!まおちゃんもパンツくらいはいてるでしょ!!」

ゆみちゃんはつい、大声を出してしまう。

「パンツ?(わらわ)が装備しているのは、頭にこのサークレット。体の上下はセットでこの漆黒のドレス。両腕に手袋と両足にブーツだけじゃが...」

まおちゃんは要領を得ないようだ。

「もう!パンツもはいてなかったら変態よ!ちょっとそのワンピースの裾、捲ってみて!」

そのセリフは『自分は変態だ』と言っているようなものだが、ゆみちゃんは気がつかないようだった。

「捲る?こうか?」

まおちゃんがワンピースの裾を掴み、軽く持ち上げる。とっても可愛らしい。

「もっと!胸の上まで!」

その言葉で、まおちゃんは思いっきり、ワンピースを持ち上げた。

お腹のあたりまで丸見えになる。下着は...はいていなかった。

「キャッ!ち、ちょっと。もういいから下ろして!」

ゆみちゃんは赤くなりながら言った。

「全く、我が儘なヤツじゃのう。捲れと言ったり、下ろせと言ったり...」

まおちゃんはブツブツと文句を言っている。しかし、恥ずかしがっている様子はない。

ゆみちゃんはその様子に戸惑い。必死に考える。

(ほ、本当にはいてないなんて...それに恥ずかしがってる様子もない。あのくらいの年齢なら、もう、恥ずかしいと思うはず!どうして...)

そこでゆみちゃんは昔に聞いたことのあるフレーズを思い出した。

(『寝るときはシャネルの5番』...セレブは寝るときは何も着ないんだっけ...じゃあ、もしかして普段も下着をつけてないのかも!!)

ゆみちゃんの仮説は荒唐無稽のものだったが、現状を上手く説明できた。

(そっか...セレブってつけてないんだ...今度から見る目が変わりそう...でも、まおちゃんは...)

ゆみちゃんはみけと遊んでいるまおちゃんを見る。

(守ってくれるボディーガードもいない...やっぱり、下着をつけることを覚えさせなくちゃ!!)

ゆみちゃんは決心するとまおちゃんに向けて話し出す。


「あのね。まおちゃん。女の子は下着をつけるものなのよ!」

男の子もつけると思うが、この際、それはどうでもいい。

「しかし、ゆみはつけておらんのだろう?」

「うっ!」

それを言われると辛いのだが、ゆみちゃんは何とか後を続ける。

「それは今、洗濯中だし、家にいるから...外に出るときは必ずつけているわ!」

普通は家の中でもつけていることはこの際、置いておく。いずれ、教えるつもりだが...

「その『下着』とやらはどんな効果を持つ防具なのじゃ?」

まおちゃんが聞いてくる。

(ぼ、防具って...確かに大事なところを守るためのものだけど...)

「え、えっと、それがないととっても恥ずかしい思いをするのよ」

当たり前すぎて答えに困るが、何とかそれらしい返事をする。

「『恥ずかしい』...それは状態異常の一種かの?しかし、妾は全ての状態異常に完全耐性を持っておるしのぉ...」

まおちゃんはあまり乗り気ではないようだ。

「お、女の子は下着の中を見られたり、下着をつけてないことを知られると、とっても恥ずかしいの!」

下着自体を見られても場合によっては恥ずかしいが、まだ、それを教える段階にない。

「そうなのか?状態異常とは違うのかの?...しかし、ゆみは妾に知られても恥ずかしがっておらんようじゃったが...」

「そ、それはその...私はまおちゃんのしもべだから...」

しもべになった気はないが、この際、嘘も方便である。

「なるほど!妾は特別か!なかなか良い心がけじゃ!...まあ、そこまでいうのなら装備してやらんこともないが...」

まおちゃんは機嫌が良くなったようで、やっとオッケーを出してくれる。

「そ、そう!じゃあ、早速...」

と言うが、子供向けの下着など持っていない。

(そ、そうだ!)

ゆみちゃんは何を思い立ったのか、タンスの奥の方を探しだした。

「あった!小さくなって、はけなくなったパンツ!ちょっと大きいけどこれならまおちゃんもはける!」

そう言って、ボロボロの下着を取り出すと、まおちゃんに差し出す。

「さあ、はいてみて!」


まおちゃんはそれを受け取ると広げて見せる。

「随分、頼りないのぉ...これで本当に防御力が上がるのじゃろうか...それにあちこちほつれておるし...それにここにある色の変わった場所はなんじゃ?何かシミに見えなくもないが...」

まおちゃんが何かに気づいたようだった。途端にゆみちゃんが赤くなる。

「そ、そ、それは女の子なら仕方のないことなの!ちゃんと洗ってあるから気にしないではいて!!」

「仕様がないのぉ...」

まおちゃんはしぶしぶ下着を身につけた。

「どう?」

ゆみちゃんが恐る恐る聞くが...

「う~~~む。あまり強くなった気はせんが...」

「だ、だ、大丈夫よ!そっちの方が断然、可愛いから!!」

高級なドレスにボロボロの下着が似合うはずがないが、ゆみちゃんはとりあえず褒めてみることにした。

「そ、そうか。こっちの方が可愛いか!それならこの『下着』とやらが見えるような着方を...」

そう言うと、ワンピースを捲り、下着が見えるように着ようとする。

「そ、それは見せないのが可愛いの!!中に着てると思う気持ちが全体を可愛く見せるのよ!!下着自体を見せちゃったら逆効果だわ!!」

ゆみちゃんは慌ててそう言う。それと共になかなか良い説明だったと悦に入っていた。

(これで下着を隠すことを覚えてくれる!)

するとまおちゃんはワンピースを元に戻すと、ゆみちゃんの前でポーズを取る。とても可愛らしい。

「どうじゃ!妾は可愛いか?」

「うん、うん。前も可愛かったけど、もっと可愛くなった!」

ゆみちゃんは作り笑顔でそう言う。

「ほう。下着とやらも悪くないのぉ...みけはどう思う」

まおちゃんはみけにも聞いているようだ。

(ふふ。猫にまで聞くなんて可愛らしい)

ゆみちゃんが微笑ましく見ていると、

「ニャ~~~!」

みけは明るい声で鳴く。

「そうか、そうか。妾は可愛いか」

そう言うと、まおちゃんは、ワンピースの裾を広げ、ご満悦の表情になった。

一方、ゆみちゃんは、

(ん?猫としゃべった?...まさかね!確かに、みけの声音はそういうニュアンスだったわ!)

とりあえず、そういう事にしておいた。

しばらく、いろんなポーズを取っていたまおちゃんはゆみちゃんの方を見て言う。

「次はゆみが下着をつけよ!今より可愛くなるのじゃろう?」

それを聞いたゆみちゃんは、

「今、洗濯中だから終わったら...」

「ピーーー!」

ちょうどその時、洗濯機から電子音がした。

「なんじゃ?」

まおちゃんが不思議そうな顔をするが、

「あっ、洗濯、終わったみたい。干すからちょっと待っててね」

そう言うと、ゆみちゃんは洗濯機から洗濯物を取り出すと、ベランダに出た。


「ふん、ふん、ふ~ん」

ゆみちゃんが手際よく洗濯物を干していく。

「ほほぉ。これは下着じゃな。やはりここに色がついておるのじゃな...」

まおちゃんが洗濯物を見ながら言う。

「つ、ついてないのが普通だけど、これは使い込んでるから...そのうち、新しいのに替えるつもりよ!」

赤くなりながらそう言うと、続いてブラジャーを干す。するとまおちゃんが興味深げに聞いてきた。

「それはなんじゃ?何か膨らんでおるが...」

「これは下着の一種で『ブラジャー』っていうのよ!胸を守ってくれるの!」

ゆみちゃんが説明する。

「妾はつけなくていいのか?」

その質問にゆみちゃんは答える。

「もうちょっとしたら、胸が膨らんでくるから、そしたらつけましょうね!」

「そ、そうか。妾もゆみくらい膨らんでその下着をつけたらもっと可愛くなるのじゃな?」

「ええ、そうよ!」

まおちゃんの答えにゆみちゃんは満足していた。

(ふふふ。下着の重要性に気づいてくれたみたい。これで一安心ね!)


洗濯物を干し終わったゆみちゃんは、部屋に戻る。

「じゃあ、私は勉強するから、まおちゃんはみけと遊んでてね!」

そう言って、参考書を再び開くが、そこで何かに気がついた。

(ん?まおちゃんっていつまでここにいるの??)


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