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プロローグ 追放決定の日

 ……ヤバ、やっちゃった。

 鼻血を垂れ流しにしながら、間抜け面を晒して倒れている王様。

 その姿を見て我に返った私は、冷や汗を流しながら誤魔化すように頬を掻いた。

 今日は大事な大事な謁見の日。

 私のような泡沫貴族の娘にとっては、一発逆転の大チャンス。

 ここでもし王様に気に入られれば、晴れて妃候補の一人になれる……はずだったのだが。

 これじゃ妃どころか、首が繋がるかどうかも怪しいものね。


 けれど、元はと言えば王様の態度と発言が悪い。

 私が挨拶を終えるや否や、身体を上から下まで舐めるように見回して。

 最後に胸をじーっと見ると、露骨にがっかりした顔をして言ったのだ。

 ――お前、あの母の娘にしては小さいなって!

 そしてあろうことか、とっとと帰れとまで言い出したのである。


 ええ、悪かったわね! 期待に添えなくて!

 どうせ私のは、母さんのに比べれば小さいわよ!

 母親を抜けずに成長期が終わっちゃった残念娘よ!

 でもいきなりそんなこと言われたら、さすがに頭に来るわ。

 だからつい我慢できなくて……その……。


「うん、まあこれは事故よ」

「そんなことあるか!!!!」


 その場にいた全員から、強烈なツッコミが入った。

 ……そりゃそうだ、いくらなんでもそれはない。

 ど、どうしよう。

 まさかこれで本当に処刑されたりは……しないよね?

 うちの王様って、ハーレム作ったり散財したりで評判はあんまりよくないけどさ。

 処刑をバンバンするようなタイプでは……たぶんなかったはずだ。

 さすがにこんなしょうもないことで処刑されるのはいろいろとキツイ。


 困った私は、助けを求めるように宰相閣下の顔を見た。

 すると閣下は関わりたくないとばかりに身体ごと顔をそらせてしまう。

 この事なかれ主義の権化め、うまく逃げるつもりだな……!

 私はどうにか宰相閣下と眼を合わせようと、スススっと移動した。

 それに合わせるように、宰相閣下もまた動く。

 こうして二人して不毛な動きを続けていると、気絶から回復した王様が頬を抑えながら立ち上がった。


「この……生意気な小娘が……!!」

「も、申し訳ありませんでした! 誠心誠意、謝罪いたします!」

「もう遅いわ! ええい、王に従えない者などこの国には必要ない! 

 今すぐ出ていけ、一族もろとも国外追放じゃあ!!」


 ……やっぱり、そうなっちゃうわよねえ。

 こうして私たち一家の国外追放が、その場の勢いで決定されたのだった。


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