酒とタバコと薬と俺
酒とタバコと薬を呑んで
日がな一日ゴロゴロしている
昼とも夜ともしれず
眠れるだけ眠って
退廃した一日を過ごす
心療内科の駐車場の裏でタバコを吸う
朝からダムダム
シューズの摩擦音
チームメイトの掛け声
吹奏楽部の音合わせの音
ラーラーラー…
AーAーAー…
たわいもない笑い声……
それらを
曇り空にのせて
口からブワーッと煙を吐き出す…
あのころ
何想ってたっけ?
サラリーマンにはなりたくねぇ…なんて
反社会的な歌が流行り
サラリーマン以下になってしまった今の自分…
自由…自由…自由…
いや自由も結構
けれど
泥臭く金稼いだ自分を否定しないでくれ
恥さらしても
無気力でも
やれるだけのことはやった
あのころの自分がみたら
幻滅するだろう…
こんな疲れ果てた夢のない大人になりたくない…
なんて…
それでも…
生きてきたんだよ…
君は臆病だった
子どもだったし知恵も力もなかった
周りの大人たちは目が曇っていたし
誰の助けも得られなかった
ただ臆病だった
勇気が足りなかった…
勇気。
本気でそう思ったなら
命を懸けなきゃいけなかった…
ただそれも
一人じゃ出来なかった…
今となっては…
ブワーーッと空に向かって煙を吐きかける…
あのころ好きな娘なんていたっけな…?
何も分からない…
ただ青臭い性欲だけが身体と脳を支配していたような…
好きって何?
やさしさって何?
可愛いからって好きになるの?
よく分からない…
ただドンピシャな娘は一人だけいた
運動出来たけど性格悪かったなー
ちょっと悪ぶった感じで…
恋ってゆうならそれくらい?
後は性欲が支配する…
遺伝子的に求めてたんだろーか…?
15になったらもう大人じゃね?
くだらねぇ…
今なら優しくされたらホイホイ結婚しちゃう
絶賛婚活中だ
身内に知れたら殺されるな…
ブワーッと煙と息を空に吐きかける…
曇った空に消えてゆく
青春がどこにあったかなんて知らない
夢なんてとうに消えちまって知らない
運命なんてとうになくなって知らない
今さら引き返せぬ平凡な毎日に手を合わせる
不遜な己に手を合わせる
ひとつも欠けてはいけない日常に手を合わせる…
心なしかこれでいいのだと思える…
やり残したことなどもう無いよというほどに…
もう一度
空に向かってブワーッと煙と息を吐きかける…
タバコしまって待合室に戻る…