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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

犬の気持ち

作者: サーモンいくら丼

『みゃう』

そんな奇妙な鳴き声が耳に飛び込んで来る。

私はその声の主を見つけるべく声の聞こえた方向を向いた。するとそこには九つの尻尾を揺らし真っ赤な眼を持つ黒猫がこちらを睨む姿があった。私の心に不思議と恐怖は無く代わりに好奇心がふつふつと芽生えていた。

暫く黒猫を見つめているとまた『みゃう』と一鳴きして路地に消えた。私は好奇心を抑えることはできず足はまるで独立した一つの生き物のように黒猫を追い始めた。

都会の喧騒に溺れる街中、暗く湿った怪しい路地裏、都市から離れ静寂を歌う平原。

黒猫を追うことに夢中になっていたせいで気づいたときには知らない土地に来てしまったようだ。

辺りを見回しても私の元居た都市はおろか人気も無く私だけが世界に取り残されたようだ。いつの間にか追っていた黒猫もまるで夢だったかのように消えてしまっていた。

黒猫がいないことに気づくとさっきまでは感じていなかった恐怖も元から存在していたかのように私の心を掻き立てている。

「ミョウ」

さっきの黒猫の声と似た鳴き声を耳が拾った。私は反射のようにその声のする方を向く、だが目に映った生き物は黒猫ではなかった。

それは海の底のように暗く深い藍の目をした白い猫のような生き物だった。

なぜ猫のようなと呼んだかというと体長は3mはあろうかという巨躯に全てを切り裂くような鋭い爪をもっていたからだ。あまりの非現実に私はただ立ち竦むしかなかった。

白い化け物が私に対して爪を振るう。その瞬間、私は視界の端に追いかけていた黒猫がこちらを眺めて嗤っていたのを見た。

化け物の爪が私の体を引き裂く。薄れゆく意識の中で私は確かに聞いた。

「みゃう」

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