魎華(禍月尊)×ハルヴィア(寝起きのねこさん)①
禍月「今回は結構シリアスですね。それではスタート!」
白玉楼の剣士、緑斬 魎華は人里で買い物をしていた。今回は食料ではなく、妖夢から聞いていた駄菓子屋を探していた。しかしその駄菓子屋は探せど探せど見つからない、疲れて休もうと思った矢先、魎華はお洒落な喫茶店を見つけた。
「喫茶店……入ってみるとするか…」
魎華は肩に乗っていた木の葉を軽く払うと喫茶店に入った。するとそこには店主と思わしき女性が珈琲を飲みながら本を読んでいた。
「失礼、珈琲を一つ、もらえるか?」
「おや、珍しいお客さんだね。待ってな。今淹れるからそこらへんに座っててくれ。あと、刀は申し訳ないが預かるよ。」
「わかった。」
魎華は疑いもせず腰に差していた刀を店主に渡し、席に座る。
「…お前さん、白玉楼の剣士かい?」
「……ん…その通りだ。」
魎華は何も話していないし、半霊も刀の中に隠れさせてただの人にしか見えない筈なのに白玉楼の剣士と見抜いた店主を警戒して袖の中に隠し持っている小太刀の柄を音もなく掴んだ。
「………はい、珈琲。ミルクはいるか?」
「……砂糖で十分だ。」
魎華がそう言うと店主は角砂糖の入った容器を魎華の前に置いた。それを手に取ろうとすると店主は腕を掴む。
「失礼、ちょいと袖の中見させて貰うよ。」
「っ!?」
「うん、予想通り。」
店主は見えない筈の袖の中の小太刀を迷う事もなく取り出せば満足そうにその小太刀を魎華の刀と同じ場所に置いた。
「警戒心が半端じゃないけれど…何か悩みがあるのなら私に言ってみないか?私はハルヴィア、この喫茶店の店主だ。」
「白玉楼魂魄妖夢剣術指南、緑斬 魎華。」
魎華が名乗るとハルヴィアは何か思い当たる節があったのか頭を傾げる。
「緑斬?緑斬といえば夢響村の刀巫女の姓じゃないのか?」
「っ!…何故その事を知っている………?」
「これでも1500年前は月では有名な鳳凰さね、情報は結構ある。で、そんな夢響村の刀巫女様が何故幻想郷に?」
「………………夢響村は滅んだ…」
予想外の魎華の一言にハルヴィアも唖然とした様子を見せたがすぐに真面目な表情に変わった。
「…どうして?」
「………私が殺した。夢響村の皆を……私の所為でっ……皆……命を失った……」
「……本当にお前さんが手を下したのか?」
ハルヴィアは魎華の様子から一つの仮説が立っていた。本人は『殺した』と言っているが本当は『助けられなかった』の間違いではないかと。
「……私は…村を守る立場でありながら…その守るべき村の人々に守られ…幻想郷に来た…これを『殺した』と言わずして何と言う………?」
自らを責める魎華の頰には涙が伝っていた。その話を聞いていたハルヴィアは何も言わずに魎華の隣へ座った。
「やっぱりか…」
ハルヴィアは魎華が泣き疲れ、眠りに着くまで魎華の隣で背中をさすり続けたのであった。
禍月「さて…次回の組み合わせでも考えよう…」