第六話
「どうぞこちらへ」
改めて、Teroは俺を案内する
草原はどこまでも広がっているように見えるが、空から見えた景色では、さほど大きくないように思えた。
臨時の飛行場といった役割なのかもしれない。
「ここには俺の前に3人来たっていったよな」
俺はそれに驚いた。
誰も来ていないと思ったからだ。
「ええ、全員がこの地球上で死にました。子もいません」
誰も知らない間に訪れて、そしてここで客死したということだろう。
「君は、Teroさんは、いったいここで何を……」
「先ほども言いましたように、地球を護っています。あなたがおそらく邂逅したであろう警告は、この惑星が正式に惑星と認められるまでの間、人類をここから遠ざける役割を持っています。あまりの環境汚染、地球温暖化をはじめとする気候変動、地殻異変、さらには極めて活発となりつつあった火山活動などにより、人類はこの土地を後にしました。すでに宇宙各地へと散っていた人類でしたから、ここを捨ててもいずれ帰ってこれると思ったのでしょう」
突然のTeroの1人語りはさらに続いていた。
続きながらもなにやら小高いところへとやってくる。
「ああ、こちらからお入りください。お客様は歓待するのが決まりですから」
丘のようなところには、金属でできた巨大な扉があった。ほとんど足元全部がそれだといってもいい。
その極々一部が音もなく開いた。
「さぁ、どうぞ」
押し込まれるようにして、俺はその扉をくぐることとなった。