第四話
今までの加速度と、重力によって地球へはすぐに到着する。
「きれいだ……」
俺はそれしか声に出せることができなかった。
環境汚染の悪化、地球軌道のずれ、氷河期。
いろいろな話が出ては消えていく。
いまの地球を見たものはいないのだから、全ては噂に過ぎない。
それでも、本当のところを知りたいという人はいる。
俺もその1人で、それゆえにこうして危険を冒してまで見に来た。
ただ、ゆっくりできるのも束の間だった。
「立入禁止区域です」
そんな警告が聞こえて来た。
「誰かいるのか」
何百年も昔に放棄され、以来人類は住んでいないとされるこの星に。
そんなことはないはずだと思いながらも、その声はさらに俺に話しかけてくる。
「立入禁止区域です。今すぐ退去してください」
「分かった分かった」
俺は言いつつも、スイングバイをしつつ、航跡を残す。
だが、エンジン始動と同時に、破裂音がした。
「なっ」
そして、またあの声。
「非常事態を確認。地球圏に着陸を許可します。ポイントは43-88-011」
すると、俺は動かしていないのにもかかわらず、船が予定していた航路を外れていく。
「おいおいおい、マジか。これ」
強制シャットダウンすることを試みても、接続を拒否される。
こうなると、あとの手は、脱出だ。
「脱出の必要はありません。私が安全に着陸させます」
今までとは違う声。
「誰だ」
「私はTero。地球の総支配人です」
全く聞いたことがない名前だった。