第二十話
科学の案内で、あちこちを見て回ったが、その多くはすでに壊れて久しい状態になっていた。
「ほんとに人がいないんだな……」
「ええ、地球環境に関係がないところはそのまま放置されているわ。原発は真っ先に解体してしまったけれど、他に様々な発電方式で電力を確保しているのが実情ね。ただ、こうやってまだ生きているところもあって、私は、こんなふうに生きているの」
急に話が変わった。
でも、科学は気にしていないようだ。
「あ、そうだ。面白いところに連れて行ってあげる」
まるで無邪気な子供のように、科学は俺の腕を引っ張っていく。
瓦礫を抜けて、後ろからは大慌てでロボットが追いかけてきていた。
地下街も端っこまで来ると、まだ壊れている範囲は小さい。
「ここだよ」
何キロも走ってきたような気がするが、そもそもこの地下街の大きさが分からないから何とも言えない。
その出入り口は塞がっていなかったためか、空から光が降り注いでいた。
すでに天国へと昇っていけそうな、そんな階段だ。
そこを一段一段、科学にひかれて俺は上っていった。




