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第十七話
初めは真っ暗だった。
ロボットが俺の歩く速さや向きに合わせて、電気をつけてくれる。
どこまでも広がっている地下街が、この地球がまだ繁栄していたころの面影を残している。
ただ、何百年も昔の地下街だ。
あちらこちらで雨漏りや落盤が起きていた。
「こっちは通れないか……」
俺は、落ちた跡を見ながら言う。
深い穴の向こうには、水が通っている音が聞こえる。
天井の電気が生きているとはいえ、歩いていくにつれて、天井に穴が目立つようになった。
タイルは剥がれ落ちて、店はシャッターがあったり、すでに破られていたり。
中には当時、放置された服の残りかすが積みあがっていた。
「……当時はにぎわっていたんだろうなぁ」
「当時をご覧になりますか」
急に流ちょうな言葉が聞こえる。
ウインドウショッピングもどきをしていた俺は、その声が聞こえた進行方向へと顔を向けた。




