13/28
第十三話
「これですね」
古びた一冊の本を出す。
買った時に適当に見ていただけで、それ以外は物置の奥底にしまわれ続けていたものだ。
今では使わなくても運転ができるようになった。
だからだろうか、表紙は綺麗なもので、変色も見られない。
「お借りしますね」
Teroが俺からその冊子を受け取るとすぐにページを手繰っていく。
その手もあるページで止まった。
「……分かりました」
パンと閉じ、冊子を返してきた。
「もう分かったのですか」
俺は驚いて聞く。
ザッと目を通したくらいで、何が分かったのだろうか。
「このエンジンの燃料が、焼き付いているようですね。これを取り除かないことには動くことはないでしょう」
「それって、すぐ直りますかね」
「どうでしょう。まずは中を見ないと」
どうやら、まだまだ地球にいないといけないようだ。




