第十話
「こちらです」
主調整室からさらに枝分かれしてい部屋の一つに通される。
12畳ほどの和室だ。
真ん中はカーテンで仕切ることもできるようになっているが、肝心のカーテンはかかっていない。
レールだけがさみしげに天井についていた。
トイレ、風呂は別、あと目に就く者といえば、部屋の隅に3つ折りに折られて置かれている布団とその上の枕、そして壁の一面を占領している本棚だろう。
だが、本棚の中に本は入っておらず、御飯もどこで食べればいいのか分からない。
「ちゃぶ台があるので、それを置いておきます。3食お持ちしますので」
Teroがそう言うが、ここに本当にちゃぶ台があるのかどうかを疑いたくなる。
少し待っていてほしいといわれたので、5分ほど部屋の中を見て回る。
天井についたシミや、壁で何かを刺したような小さな穴があった。
きっと画鋲か何かを刺した跡だろう。
そんなことを思っているうちに、Teroが帰って来た。
「これをお使いください」
4畳ほどの大きさがある円形のちゃぶ台だ。
それも、座布団が3つついている。
「ありがとうございます」
「いえ、船の修理はお任せください。必ず外へとお連れしましょう」
外へ、というのが引っかかったが、特に気にしなかった。




